書籍「小・中学校9年間の算数・数学を10時間で復習する本」を読んだ

Processingでサインコサインをやるにあたって、その辺はなんとなく本やWebで調べたりもしたのですが、サインコサイン以前の内容については何をどう習ったかあんまり覚えてないな、ということで読みました。
見開きごとにひとつの内容について扱われているのでとても読みやすく、どの分野においてもすっと頭に入りやすい設計になっている本でした。
そしてサインコサインは高校数学の領域でしたね。この本によると中学数学では三平方の定理まで習うようです。

表紙にもあるように、算数・数学に苦手意識をお持ちだったり、復習したいと思っている方にオススメです。
しかし、特に苦手意識のない方にもオススメしたい本だと読んでいて感じました。つまり万人にオススメ。
というのも、例えば分数のかけ算や式の分配方法を図で説明するとか、ゼロ除算がなぜできないか文章化するとか、そういう「そういえば当然の事と思ってたから『なんで?どうやって?』って言われるとパッと説明できないな…」ということがわかりやすくフォローされているからです。
算数・数学について急に尋ねられても困らない人になれる本だと思います。

私がこの本を読んで一番衝撃を受けたのはスタート地点、小学1年生で数の概念を獲得するところです。
以下、上記書籍より引用です。

数の概念がない子どもにとっては
・カエルが1匹いる
・アメが1個ある
・牛が1頭いる
・男の子が1人いる
・車が1台ある
………
というのは、すべて違うものです。それを同じ「1」と読んでいます。このことに子どもは混乱してしまいます。

子どもは最初に1匹、1個、1頭、1人、1台、…の中から「1」という概念を抽象しなければならないのです。

この話を読んで「なるほど、そもそも数の概念を会得するだけでも実はすごいことなのか!」とびっくりしました。
カエルは小さい。アメは食べられる。牛は牛乳を出してくれる。男の子も色んな子がいる。車だって色々。それらを全て同じ「1つある/いる」で表すって冷静に考えるとかなりの横暴です。

この話の後、単位の違う物同士の引き算の話が出てきます。

カエルが7匹とイスが5個(5脚)あります。7匹のカエルがすべてイスに座るには、あといくつのイスが必要でしょうか。

7匹 - 5個 = あと 2個 必要、が答えです。
たしかに不思議な話です。カエルはカエル。イスはイス。かたや生物、かたや物。なんで同じ土俵の上にあがってくるの?
このように、小学1年生の引き算レベルですら不思議で抽象的なことをやっているんだと気がつきました。

そしてこの本を読んでいて思ったんですが小学校で習う算数って全部が全部「大事すぎ」ますよね。
算数について見ること聞くこと、全て「覚えて使えるようにならないと社会で生きていけない」ものですから、小学生は大変だな…と思いました。小学生のうちは基礎をやるわけですから当然といえば当然のことなんですが、足し算引き算かけ算割り算はもちろんのこと、距離・時間・速度といった生活に即したものまで、大人から見れば「できるようになってもらわないと困る」ものばかりです。
我々大人ですら、毎日毎時間、上司から「この仕事できるようにならないとお前、社会で生きていけないぞ!」と言われたら気が滅入っちゃうと思うんですよ。
それを小学生は(変な圧力をかける上司はいないにせよ、親や先生から多少は何かしら言われながら)やっているわけです。これは骨の折れることだと思います。
数の概念を会得するだけでも大変なわけですから、そこからさらに発展的なことを学ぼうとしたり、あるいは使えるようになるというのは、その人にとって素晴らしい頑張りと進歩なんだよなぁ、とこの本を読んで思いました。

Processingとp5.jsとクリエイティブコーディングが大好きです。 めちゃくちゃ元気!