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技術同人誌執筆は大変だからこそオススメしたい話

今まで4冊(版を重ねているので細かくいうと5冊)の技術同人誌を執筆してきての一番デカい感想がコレ↑です。

同人誌制作を大変たらしめる3つの要素

冒頭のツイートにもありますが、同人誌制作というのはつくづくクリエイターとしての総合戦力を問われるなぁという印象です。
複数人で役割分担すればまた変わってくるとは思いますが、私のように全部1人でやっちゃってると本当に孤独な戦いです…。
自分との戦い、しめきりとの戦い…。

制作を通して、技術同人誌…というか同人誌制作というのは3つの要素でなりたっていると感じています。
すなわち、表現発信管理です。
この3つを全部1人で回していかないといけないのがとんでもなく大変だな…と感じる所以です。

同人誌制作の「表現」の部分

「表現」は同人誌のコンテンツ部分をどうするかという話です。
漫画・イラスト・文章・写真などなど、自分の愛や創作意欲をぶつける一番本質の部分です。

「表現」で大変なのは脳内にある内容を出力できるかどうか?という点です。
同人誌は自分を満足させるためにあります。
自分の世界を目で見える形に出力して、自分の愛を再認識したり、心の風景を世に向かって叫ぶためのものだと思います。
そのためには、心の中のはっきりしている部分もあいまいな部分も整理しながら、できるだけ100%に近い形で、脳内にある世界を出力しなければなりません。

これがそもそもクッッッソ難しい。
叫びたいことが多すぎて「結局何が言いたかったんだっけ?」みたいなこともあるし、いっぱい考えていても忘れちゃうし、そもそも脳内で考えてることを言語化したり絵として起こしたりする時点で一度フィルター通すようなもんだから…産みの苦しみを抱えながらとにかくペンを走らせたりキーボードを叩いたりするしかありません。

また、脳内出力を伝わりやすい内容に噛みくだくスキルも時として必要になってきます。
もちろん自己満足100%が最優先なのは間違いないのですが、せっかくなら読者に「読んでよかった」「共感した」「書かれていることに興味がわいた」と思ってもらいたいのもたしかです。
そのためにはある程度内容をコントロールする力も持たなくてはなりません。
いわば設計・デザインの部分です。
これと関連して、組版など紙面自体が伝わりやすい見た目になっているかも十分気を使わないといけません。
友達が家に遊びにくる前に必死に掃除するがごとく、読者に内容に集中してもらえるように整える必要があるのです。
組版……これがまた沼なんですよね………。

技術同人誌でいえば、文章自体の伝わりやすさや組版の他、コードを掲載する場合はそのコードも伝わりやすいかどうかを考えなくてはなりません。
普段の手クセで書いたものを書き直す作業って実はめちゃくちゃ大変なんですよね…。
さらにいえば、文章を書いたり図で解説したりする脳みそとコーディングする脳みそは別な感じがするので、その切り替えにも苦労します。

同人誌制作の「発信」の部分

せっかく書いたんだから、たくさんの人に読んでもらいたい!喜んでもらいたい!
この気持ちを原動力に、しっかりと告知をやっていきます。
今やSNSなどでの頒布の事前告知はマストですよね。

これもほんと〜〜〜〜〜に難しい難しい。
どんなにフォロワーがいても、いつでもツイートが見られているとは限りません。
ツイートを見た人全員がRTしてくれるわけでもありません。
フォロワー以外の、この世のどこかで「こんな本待ってた!」と言ってくれる人にもリーチさせたいという情熱もあります。
しかし、どうやって?

特に頒布開始日は忙しくて仕方ありません。
TwitterやFacebookで告知、フリートを投稿、コミュニティのDiscordでお知らせ、BOOTHの一斉送信メッセージで挨拶、noteにはお品書きを掲載…
1日をかけて告知三昧です。

「表現」とややかぶりますが、同人誌のタイトルや表紙も「発信」に関わる要素だと感じています。
一発で見て内容が連想できるタイトルや表紙か?
検索でたどり着きやすいタイトルか?
手にとってみたいと思われる表紙か?
そもそも内容と離れてしまっていないか?……
ここを工夫するかしないかで頒布数が決まるとも思うので気が抜けません。
何度も何度も考えては「本当にこれでいいのか?」と問いかける作業を繰り返します。
このような自分を疑う作業はだんだん正解が見えなくなるので大変です。

また、前章で「文章や図を書く時とコーディングする時の脳みそは違う」と書きましたが、表紙デザインもまた別の脳みそを使う気がします。
これで合計3つの脳みそが出てしまいました。

同人誌制作の「管理」の部分

これは言うまでもありませんね。
原稿の進捗管理、イベントしめきりや入稿日などのスケジュール管理、印刷費や参加費などのお金の管理、イラストやデザインなどで他の方にお願いしたり共同執筆者がいる場合のメンバーの進捗管理、などなど管理しないといけないことまみれです。
さらに「メンバーの進捗管理」はコミュニケーション能力も問われるでしょうし…。

しめきりが近づくほどに焦る気持ちを落ち着かせながら「とにかく今日はここまでやれば大丈夫なはず」とスケジュールに引いた線とにらめっこするわけです。
そんな感じなので、技術同人誌を書くたび、最後の方はヘトヘトになるんですよね…。
「間に合わない!!」という状態も消耗しますが、それによりも「間に合うのかな、間に合わなかったらどうしよう…」という不安な気持ちが長引くようなスケジュールの方が激しく疲弊します。
同人誌制作はこんな感じでメンタルやフィジカルも試されている気がします。

とはいえ、私も電子版しか頒布したことがないため、ここにさらに印刷やイベント参加という要素が入ってくるともっと大変だろうな…と思います。
同人誌制作、大変なうえに奥が深い…。

それでも、技術同人誌を書いてくれ

ここまでおおよそボロクソに苦労話を書き連ねましたが、それでも技術屋さんには技術同人誌の制作をオススメしたいです。

オススメしたい理由はいくつかあります。
まず第一に「自分の持っている技術をまとめるのはさらに学びが深まるから」という理由です。
これはブログ執筆やLT登壇などにおいても言われていますね。
問題を解くだけでなく人に教えるとさらに理解が深まるというあの現象と同じです。
どんなに慣れている技術でも、人に伝える前にはもう一度調べ直したり、関連した別の情報を調べたりするはずです。
それが自分の学びをさらに深めてくれます。
いつも使ってるものでも意外と「そういえばこの技術ってよく使ってるけど、○○の部分はソラで説明できないかも…?」という部分があるんですよね。
そういった部分の学び直しにもつながります。

第二の理由として「表現・発信・管理のトライアスロンは良い修行になるから」と主張したいです。
むちゃくちゃ言ってるような書き方ですが、要はこのトライアスロンはプロダクトを作ったりプロジェクトを回したりするのと同じなのです。
そういう点においては実務にも活かせるところがあると思います。

また、冒頭のツイートにも書いていますが学生のうちに経験しておくと就活で強力なアピールポイントになると思います!
自分でor自分たちで表現・発信・管理のトライアスロンを回せるって企業としてはかなり「欲しい」スキルなのではないでしょうか。
「これを作りました!」と物としてアピールできるものがあるのも強いですよね。

第三の理由として、単純に「技術同人誌が世に増えると嬉しい」というのがあります。
技術同人誌の素晴らしいところは、どんなに細けぇ〜〜〜内容でも出しちゃっていいという自由度にあります。
ビジネスとして乗っけちゃうとたくさんの人に刺さらないと金銭的に回収できないので細かすぎて伝わらない話はなかなか厳しいでしょうが、同人誌なら情熱が第一です。
そんな情熱の塊を読むのはとっても楽しいものです!
例えるなら、tech系勉強会の後の懇親会とか交流会とかで酒飲みながら聞く濃いぃ〜〜〜〜〜〜話を濃縮還元で読むみたいな、そういう体験なんです。面白くないわけないですね。
苦労話。世界中でもその人しか知らないような話。
気になってた技術がわかりやすく解説されていたり、まったく知らなかったけどそれ面白そうって話だったり…。
技術オタクのオタク話は聞いても読んでも面白いんです!!!
読ませてくれ、そのオタク話!!!!!

というわけで、表現・発信・管理のトライアスロンに翻弄されるかもしれませんが、あなたにも技術同人誌を執筆してほしいのです。
いつかあなたの技術同人誌も読ませてくださいね!

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