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小説|ユリテルド村の村長

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3大国の中央に位置するユリテルド村。 これは、その村の村長として暮らす、1人の少女の物語ーー。
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2022年9月の記事一覧

小説|ユリテルド村の村長(15)

小説|ユリテルド村の村長(15)

ホールに音楽隊の軽やかな音楽が響く。
くいっと手を引かれ、ランシェルもフィルの動きに合わせて、足元ばかり見ないよう注意する。
右、右、左、斜め右下に下がって……回る。
くるりとランシェルが回ると、ほぅという感心した声が貴族達から溢れた。

「お上手ですね」
「…………練習したので」

フィルの褒め言葉に、苦笑いを浮かべながら答えた。
だが実際、ここまで順調に踊っていられるのは、フィルのフォローがあ

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小説|ユリテルド村の村長(14)

小説|ユリテルド村の村長(14)

あれから数時間が経って、漸くフィル達の馬車がクレブレム洞窟に到着した。後は大人しいもので、ガーデュオ達が連行されていく。
それを先導していたのは、リュウであった。
父を見送っていたアレンは、リュウの背を見ながら茫然と呟く。

「どうしてあの人が、ブラウン王国にいるんだろう……」
「……どういうこと……?」

すると、アレンは驚いたように目を見張る。
知らないのかと、アレンはランシェルに目で問いかけ

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小説|ユリテルド村の村長(13)

小説|ユリテルド村の村長(13)

「……っはぁ、はぁ……っ」

元々体力のないランシェルにとって、全力疾走で地下通路までやってくるのは至難の技だ。それに、昨日訪れた部屋に行ってみても、アレンは見つからなかった。
一体どこに……。

「ーーーーせよ……っ!」
「!」

今のはアレンの声だ。ランシェルは部屋から飛び出し、声のしたほうへ走り出す。

「ーー、ーーっ!」

言い争う声が聞こえる。どうやらすでに、アレンの父も彼に気付いてしま

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小説|ユリテルド村の村長(12)

小説|ユリテルド村の村長(12)

クレブレム洞窟内部。
東の空はそろそろ暗くなり、もうすぐ西の大陽も沈もうかという頃。
酒場のカウンター内でも、開店に向けて準備を進めていた。
ランシェルも、店内の掃除を任され、モップで床を拭きながら、一つ一つのテーブルの水拭き、木椅子の整列、ジョッキのから拭きに、その他食器の皿洗いなど、意外と忙しなく働いていた。アレンはどちらかというと立場は上のほうであるため、他の従業員に指示を送るほうが多い。ラ

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