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セイばあちゃんの相棒

 桜も咲き、セイばあちゃんは畑の相棒を小屋から出し、畑を耕し始めた。田んぼは村の元住人、三原さんにお願いし秋に米を貰い、姉妹にも贈っているそうだ。セイばあちゃん家には小さな精米機があり毎日、自分が食べる分を精米し炊いている。私が来てから二人分のご飯を炊いてくれる。セイばあちゃんのお米が無くならないか心配する私に「二人で食べても余るくらいあるから大丈夫」といつものニコニコ顔で答えてくれる。セイばあちゃんにとって私は孫のような存在なんだって。セイばあちゃんの子どもは3歳の時、麻疹をこじらせ亡くなったと仏壇の写真を見せ、話してくれた。医者がいる村までは遠く、見て貰ったときはもう手遅れだったと普段は穏やかなセイばあちゃんが一瞬、顔を曇らせ語ってくれた。私が嫁に来た頃、もう死んでしまうかもしれない時くらいしか、医者にみせることが出来なかったんだよとセイばあちゃんは呟いた。今では、慢性疾患であれば遠隔システムで診療してくれる。具合が悪いときはまず、病院に行くのが当たり前だと思っていたけど昔は違ってたのね。今の時代に生まれてきて良かった。

 セイばあちゃんの相棒は管理機といい、小さな面積の畑ならこれで十分らしい。豆や芋を植える広い畑は、三原さんがトラクターで起こしてくれるから助かるよとセイばあちゃんは言う。大豆は味噌や醤油を作るためにたくさん作っている。姉妹や友人たちがセイばあちゃんの味噌を楽しみにしているから。今年も5月に元集落の人と作るから、一緒にやろうと言ってくれた。
私も畑仕事、手伝ってみよう。管理機を使いこなし、畑で色々な作物を作るセイばあちゃんはすこぶるかっこいい。管理機を触るのはまだ怖いけど、私にも出来ることはあるはず。頑張って挑戦してみよう。
 
 

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