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【随想】DIYしたいなって人へ

ここnoteにはDIYerさんの記事が溢れてて、ぼくもその片隅で記事を書いている訳ですが、ぼくを含め皆イイこと、上手くいったことを記事にしています。なのでそんな記事を読んでDIY始めよう!と思った人がいざやってみたら「こんな筈じゃなかった」と意気消沈しちゃう様な罠が実は記事の随所にあるんですよね。

そこでDIYしたいなって人へ、DIYしたい気持ちを持ち続けられる為のヒントを思いつくまま挙げてみようと思います。中には耳が痛い話も含みますが、参考となれば幸いです。

1.DIYの楽しさとリスク

 家具の隙間にちょっとした棚が欲しい、本棚の段を増やしたい、拾った流木で写真立て作りたいといった「既製品じゃ手に入らないモノ」を自分で作り上げる楽しさ、プロに頼まなくても自分ですればお金掛からなくてお得っていう嬉しさ、市販品と同じ構成を自分で作り上げて製品の製造工程や設計思想を汲み取る楽しさなど、DIYすると様々な楽しみを得ることが出来ますし、また自分にできることが広がる事そのものがDIYの楽しさなんですよね。

一方で、自分で行うという事はリスクも自分が背負うことを理解しておくことが大事。DIYerにとって最大のリスクは怪我や疾病といった健康被害、特に電動工具や化学薬品を使用するなら最大限の注意と保護具の使用、そして基本作業の遵守がリスク回避に必要です。作業着、保護メガネ、防塵マスクと耳栓なしに作業しちゃダメですよ。以下の記事でも少し安全性について触れていますのでご参考に。

またDIYの対象自身もリスクとなることを理解する必要があります。作った棚が崩れた、座ってる椅子が折れた、程度ならまだ笑い話で済む?かもしれませんが、乗り物の整備不良による事故やウッドデッキの倒壊、化学反応や電気工事不良による火災等、人の生き死に関わる事故も起こり得ることを心に留めてDIYすることがリスク回避となります。特に有資格者による作業が必要な事に手を出すなら、資格を取るか相応の覚悟で挑みましょう。

そして製作失敗のリスクも。「市販品みたいな仕上がり」を最初から期待しちゃ一作目でテンション下がってやる気が失せます。鋸は真っ直ぐ切れないし、木ネジ締めたら木が割れる。色を塗ったらまだらザラザラ、置けばグラグラ。中学の時の技術家庭科を思い出せば誰しも哀しい記憶が呼び覚まされるでしょう。そうならない様にする方法は勿論あるし学べばいいけど、それでも初めは大概失敗します。技術力が伴わない間は全ての失敗を「味」と受け取り、次に活かす心の広さを持つことが大事です。

これらのリスクを回避するためにぼくがやってる事は、作る過程から使う過程までの全てをイメージ出来るまで反芻すること。いわゆるイメトレですがコレが効くんです。どこにリスクがあるか、どこの作業が分からないかを同時に考える事で失敗を未然に防ぐ事が多少はできるはずです。
(※それでも失敗する時はします)

2.DIYに掛かるコスト

市販品の売価は言うまでもなく材料原価、製造費、間接費に粗利を載せたものです。ここで一般的な木工DIYは市販品より高くつくことが多いものですが、その内訳を考えると

1)材料原価
市販品:化粧板貼りの集成材等
DIYer:
ホムセン建材(ベニヤ、SPF、集成材、杉、檜)
材木屋さんの木(国内外の銘木一枚板、古材)
廃材(廃パレット、製材所端材、家屋解体材)

2)製造費
市販品:海外での大量生産による低コスト
DIYer:設計・製作は自分の時間だからタダ

3)間接費
市販品:設備投資、消耗工具、消耗品、経費
DIYer:道具代、家族の理解を得る為の経費

4)粗利益
市販品:企業により様々(30~80%程度)
DIYer:自分の楽しみだからタダ

以上の比較から、DIYが市販品より高くつく理由は材料費と間接費だと分かります。ただし相手は企業、購入量が違うのだから購買力が圧倒的。なので同じ素材を同じ値段でDIYerが手に入れるのは不可能です。つまりDIYerがコスト優位性を理由に製作するならば材料費と工具費を抑える方法を、品質、木種を優先するならコストは諦める選択が必要になります。作るものがあらかじめ決まっているなら材取りの計画と共に材料費を試算した方がいい。後で「こんなお金使って!」と奥様に大目玉喰らわない様に心積りができるはず。そして材料費低減を重視するならこんな記事も参考となるかも。ぼく自身簡単なDIYはほとんど廃パレットで作っていますし、これならタダです。

あとは一から作るんじゃなく既製品を改造するのもコストセービングの有効な手段です。リサイクルショップやフリマで安く買った家具や楽器に手を加える方法ならばグッと安く作れるはず。100均もDIY素材の宝庫ですよね!

また工具を安く購入する方法については、先の電動工具に関する記事でも触れています。だけどやっぱり工具への投資は財布にツラい!いっぱい作って減価償却しましょう。また金物類は最初は必要分を少量ずつ買えばいいですが、しばらくしてよく使うと思ったものは購入単位を増やし、本職向けの店で買うと劇的に安く買えます。

3.DIYの可能性と限界

「自分でやってみよう」をDIYの定義だとすれば出来ることは文明全てがその対象になります。様々な職業を追体験することは勿論、有史の中で途絶えた過去に遡って追体験することも可能、そう捉えればDIYってトンデモない広義な趣味なんだなぁと思います。大好きなYoutuber、週末縄文人さんも凄まじいDIYerですよね。

ぼくのDIY対象のギター製作を例に挙げると国内では秘密主義的なところがあり信頼出来る情報や文献が存在しない残念な状況ですが、海外に目を向けるとプロもDIYerも情報をオープンにする事で同好の仲間を拡げる姿勢なので、容易に様々な情報を手に入れることが出来ます。これは家具作りのDIYも同様かと思います。敷居の低い入門書は多くあるけどその先が国内じゃ見当たりません。でもこの時代に生きる幸せを享受して世界と繋がれば、国内では知りえなかった情報を手に入れ軽々と限界を突破出来るチャンスに溢れています。
また隣国によるDIY工具の価格破壊によって工具購入の敷居が下がったこと、3DプリンタやCNC加工機、生成AIをDIYerが使える環境が整ってきたことも可能性を拡げる一助となっています。

一方できることが拡がったことで、超えちゃいけない一線を越えてしまう事例が増えているのも事実。SNSでも時折危険なDIY紹介が炎上するのを目にしますが、できることとやっちゃいけない事の分別は大事だなと思います。人の生き死に関わる事や倫理、法律に反する事はしないことがDIYerの品格でしょうね。

4.まとめ

いろいろと書いてきましたけど、DIYを楽しむには

- 安全第一
- 出来た品質に幻滅しないで次に活かす
- コストの損得で幻滅しない
- 可能性は無限

と思います。難しく考える必要は無いので、DIYの世界へ飛び込んで怪我なく楽しく遊びましょう!

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