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【随想】想いの継承

ぼくがギター製作や木工に使う道具、幾度となく記事にもしている様にその大半が中古品なんですが、先日新たな道具を工房に迎え入れた時のお話をしたいなと思います。

某フリマアプリの出品を見かけ、引き取りに行った先で出迎えて下さった方は高齢のご老人。こちらへと案内された先はご自宅に併設された手作りの工房で、中には整理整頓され大事に使い込まれてる工具達が目に入ります。

「私が居なくなったあと、家族に片付けさせる訳にも行きませんから」
「こうして同好の趣味の方が引き継いで下さるのが嬉しいんです」

と少し寂しそうに、だけどとても丁寧に引き取る工具の説明をされる姿に、未来の自分の姿がふと重なって見えてちょっと感傷的な気持ちに。

譲って下さった木工旋盤と湿式グラインダ

「これももう使わないから持って帰って」と他にも色んな工具をお土産にいただき、感謝し切れない中、礼を伝え帰路に着いたんです。

今回と同じ様な形で道具を引き継いだ事は過去に何度かあるんですが、その度に道具のみならず相手の方の「趣味に対する想い」を一緒に引き継いだ感を受けます。伺った先で相手の方と趣味や仕事の話で盛り上がり、その方が過ごしてきた人生を話して下さる中で受ける刺激、触発される感情には堪らないものがあります。こうして直接持ち主の方とお会いしてお話すると、道具と一緒にその方の「想い」を継承出来る事がとても嬉しいですね。

このDELTAも同様に引き継いだもの

いつか将来ぼくにも趣味を終える時が来ますが、その時には道具達を引き継いでくれる方が居てくれるといいなと切に思います。

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