ブライアンインタビュー(The i紙 2020年9月)

ブライアン・メイ:「この国には守旧派の一掃が必要だ」

クイーンのギタリストが動物保護への情熱や当分活動をやめない理由を語る

Tom Bawden
2020年9月26日

ブライアン・メイは、近頃自分がどんどん「怒る老人」のように聞こえるようになっていると思っている。金銭の追及のための地球破壊を激しく非難しながら、73歳のクイーンのギタリスト兼環境運動家は、最もよく知られた自作曲のひとつの登場人物に自分が似てきていると考えている。

「我々はこの星を身勝手さや強欲、金銭への執着のために破壊している。僕は怒れる老人のように聞こえるし多分そうなのだろう」と彼は言う。

「まるで自分の曲 "We Will Rock You” でそれを予見していたみたいだ。あの曲には3つの年代の人物が登場し、最後の語り手は自分が無力なことに慣れっこになりつつある」

相変わらずの不条理

「人が大きな声をあげ、一生ずっと身を粉にして働いても結局は同じ不条理が起きる。金の利権が最終的には勝つからだ。僕はとても幻滅し、とても失望している。確かにこの政府に対してもだが、これは長い間続いてきたことだ。

「僕は数々の抜本的な改革を見たい。しかし、そのどれかをでも自力で実現させるには、悲しいがおそらくもう老い過ぎている。新しい世代、つまり後を引き継ぐ若者たちが世界を変えられるよう願っている。変えられるべきあり方にね」と、エクスティンクション・リベリオンとグレタ・トゥーンベリを支持するメイは言った。

「ただ、それが実際の変化に結びつくのは難しいのでは。僕が成長したヒッピーの時代、自分たちは世界を変えられると僕らは思っていた。平和と愛、どんなことも変えられる。しかしできなかった」

「僕らの世代はそれを成し遂げられなかった。我々が今もなお拝金主義に支配されているのを大変悲しく思う。もしかすると、インターネットがもたらしたより良いコミュニケーションが新しい世代にパワーと気づきを与えて、この国の支配者たちが突き破れない障壁の後ろにものごとを隠すのを阻止できるかもしれない」とメイは言った。

一掃の必要性

「この国には守旧派を追い出す大掃除が必要だ。我々はいまだに金持ちと特権階級に支配されていて、うまくやっていける人たちと、そのための資力がない人たちとの隔たりはかつてないほど大きい。そして動物たちは配慮リストのずっと下の方にいる」

メイが億万長者で、ツイッターやインスタグラムに膨大なフォロワーのいることを考えれば、彼の異議申し立てはうわべだけに聞こえると言う人もいるかもしれない。または、名声や富にもかかわらず自然や社会を気にかけているとも言える ― よりフェアな分析に思えるのはこちらだ。

「君の言うことは分かる。僕は世界をより良くしようと金の使い方には最善を尽くしている。僕は完全な人間ではないが、自分にできることをしている。この国で富がどのように分配されるか気にかけている。動物たちが僕にとって聖戦以上のものになったのは、彼らのために立ち上がる人間が必要とされているからだと思う」とメイ。

他にもいろいろあるが、メイは Save Me という動物福祉チャリティ(名前は彼の有名なヒット曲にちなんでいる)を設立し、サリー州ウィンドルシャムの自宅敷地内のハーパーアスプレイ野生生物レスキューセンターで活動している。

音楽の力

「音楽は世界での認知度やある程度の力と声を自分に与えてくれて、僕はそれをできる限り責任あるやり方で使おうとしてきた」と彼は言った。

ものごとの道理に対する怒りはともかくとして、天体物理学の博士号を持つ実際のメイからは、知的なのはもちろんのこと、とても穏やかで、大変分別があり優しい印象を受ける。

長く、突き刺すようなギターソロを別にすると、メイが最も知られているのはおそらく、注目をひくそのアナグマ殺処分反対キャンペーンだろう。完了からはほど遠いままの活動である。

アナグマ殺処分

「戦いにはまだ勝利していない。話は多くあったが政府は過去最大規模の殺処分に乗り出そうとしていて、それは僕にすれば破滅的状況であり、悲劇であり大きな不幸だ。殺処分に効果があるという証拠はないのだから。7年間、幾千幾万ものアナグマたちを殺した後もこの国の牛結核の発病率は下がっていない。野生動物を殺さずに酪農/畜産業から結核を根絶できるという、誰もが相当確信できる証拠は十分にある」と彼は痛切だ。

殺処分の有効性についてメイと意見が合わない人は多いが、全体的な科学的コンセンサスは彼の側にあり、撃ち手から逃げた保菌アナグマが状況を悪化させるという証拠もいくらかある。そして、アナグマよりも牛同士の方が感染源としてはるかに大きいことは広く認められている。

メイは今年、心臓発作で危うく命を落としかけるという恐ろしい経験をしたが、キャンペーンをやめるつもりはない。

「追い求めていることを続けていくだけだ。でも楽しみのための余地もある。僕は音楽を作るのが大好きだ ― 喜びと強さを与えてくれる。最近はとても困難な健康問題を克服しようとしているが、音楽 ― 書いたり奏でたり耳を傾けたり ― は再生とリハビリテーションの大きな力だ」

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