平田みずき

愛のおわりはぜんぶ星屑

平田みずき

愛のおわりはぜんぶ星屑

最近の記事

ヘーゼルの瞳

ジェット機の音が怖い。 これが戦争なのだと知った時、 きみの声も思い出せなくなった。 図書室に西日がさして、 やわらかい、ヘーゼルの瞳、 これが永遠なら神様なんていらないと思えた、 これが永遠なら戦争なんてなくなると思えた、 東の空からジェット機が飛んでくる頃、 誰もいない学校が永遠になる頃、 ヘーゼルの瞳だけが知っている、 六等星の光はすべて、愛だったこと。

    • 登攀

      山を登れば太陽が嫌いになるくらい暑くて、雨が好きになるくらい降ってくる、風は吹雪くし、雲はとなりでだらしなく漂っている、夕焼けに染まった向こうの山はどんな神様が住んでいるんだろう、山小屋からみえる北斗七星を数えるのが好きだった、生きているからそれでいいんだと思えた、遠くのほうでゆれる砂粒のような光が懐かしく思えて愛おしかった、この光を瓶に閉じ込めれば百本の薔薇を贈るより、きみたちは笑顔になれると信じたから、信じてしまったから、山を登ってしまったから、もう、この世界で生きていく

      • 体内に夕陽を溜めるそのための遮断機なのだと言い聞かせる

        • たましい

          今のからだはどうだい いごこちはいいかい たのしんでるかい ねえ、たましい りんねをして よかったと 思うかい そんな 夜だ ね

        ヘーゼルの瞳

          燃えて

          わたしは燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて 美しいとか醜いとか言われても燃えて 明日は雨だからって言われても燃えて あなたを愛して愛して愛して愛して愛して わたしは燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて あなたは燃えて燃えて燃えて燃えて燃えて 光さえ抜け出せない 永遠の色に染まって 愛して愛して愛して愛して愛して愛してる

          架空現実

          言の葉を重ね合わせて こもれびのような光を 現実の中心で放っている 二人組を知っているのは あなたとわたしの二人組 ここから世界を始めれば ここが世界の中心で 世界はずっと幸せそうで あなたはずっと幸せそうだ

          あなたの色のなかでは黒が好きです。誰にも染まらずにまっすぐ愛してください。

          あなたの色のなかでは黒が好きです。誰にも染まらずにまっすぐ愛してください。

          一日

          おはよう おはよう 写真、写真、写真、写真、写真 着いたよ 写真、写真、写真 お疲れさま お疲れさま 愛/愛 ありがとう/ありがとう おやすみ/おやすみ

          星星

          この星に決めた!って選んだのは間違いじゃなかった。直感ではなくてちゃんと心で考えて選んだ。心を込めて、その時のぼくの全部をつぎ込んだ。今まで選んできた星の記憶を辿っても、これが一番、星だった。ひときわ明るいのにやさしいひかりを放っていたその星の前では、ぼくの影すらもひかりだった。ひかりが強くなればなるほど、遮りたくなるようなひかりではなかった。あなたにとって、ぼくはどんなひかりだろう。まぶしいなんて言ったら、ゆるさない。午前2時の自販機の前で見る星よりも明るいなんて言ったら、

          結局、朝だ 朝になったら 何もかも なかったみたいに なっている まぶしい まぶしい まぶしい ひかり、だ

          新緑

          思ってること、感じていること、自分のこと、 それらを言葉にしようとするわけでもなく、 ただただ、出てくる言葉を言葉にしていく、 その言葉の勢いに身を任せてみる、 自分が言葉になっていく。 そうして生まれた言葉は、 人の心の深い、深いところに届く。 それでいいんだと教えてくれた、 あなたに感謝していたら、 新緑の緑が前よりあざやかで、 ちゃんと新緑しています。 今日も元気に生きています。

          キャッチボール

          休日にキャッチボールができるならあなたはきっとしあわせでしょう キャッチボールができればそれで最高の休日だった。ひとりで壁当てをするだけでは感じられない喜びがそこにはあった。ボールを投げたら、生きているボールがちゃんと返ってきた。強すぎるボールが嬉しい。取れないボールが愛らしい。ボールが弾むとき心も弾んでいるのがわかった。太陽ってこんなにまぶしかったっけ、ボール見えないじゃん。もうどっかいっちゃったよ。一緒にボールを探す時間もキャッチボールです。ああ、そうだった、休日にキャ

          キャッチボール

          2020→2021

          一年前の今日を覚えている。 団地の最上階から見た景色を。今年最後の夕日が西の空と富士山を赤く染めながら静かに確実に当たり前のように沈んでいった瞬間を。 ありがとう。 思わず呟いた。何に対してのありがとうなのか正確にはわからない。 その日は北風がとても寒くて太陽の温もりに安心していたのは覚えている。 太陽さんありがとう。今年も大変お世話になりました。 いつも側にいるのが当たり前になっていたけれど、あたかも当たり前のように今日も顔出してくれてありがとう。たかだか46億年

          帰り道

          一緒にコンビニに寄るだけでも 一緒に晩夏の夜の生ぬるい風を肌で感じるのも 一緒に渋谷のど真ん中で一番星を探し歩くのも 全部が全部、 心が温かくなって苦しくなる過程のほんの一部に過ぎなかった。

          色彩

          あなたのおかげで、がんばれるよ。 そう言ってくれる人がひとりでもいたら、それは幸せだね。 それだけで、生きている意味があるよ。 人間はなんでも意味とか理由とか見いだしたい生き物。 意味があるから安心する、安心するから生きられる。 あなたのために、生きる人、愛、 Love & Peace 愛と平和がセットだって誰が決めたんだろう。 ハッピーセットのおもちゃですら自分で決められないのに。 ゴールドのレアなやつ、欲しかったなあ。結局いつも、赤い車。 わたしは、マジックアワ

          救命装置

          おはよう。 毎朝その言葉に救われる。 それだけで、生きている心地がする。 生きているから、こんなに苦しくて、涙が出るのかな。 羽毛布団を枕にして寝ると、あなたに包まれている感じがして安心します。 元気ですか?ご飯は食べていますか?お風呂には入れていますか? スマホを握って寝ると鼓動がゆっくり聞こえて、いつの間にか止まっている。 おはよう。 その言葉の振動で、わたしは今日も泣いています。