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純資産総額 500億円超、日本の会社を主な投資対象とするアクティブファンドの月次レポートで確かめたいこと

月次レポート研究所 です。

モーニングスター さんで「国内株式型」の”インデックスファンドを除外”、純資産総額順に並べてみた結果、2022年1月14日時点ではこうなりました。

https://www.morningstar.co.jp/FundData/DetailSearch.do

純資産総額 500億円を超えるファンドは12本。
13本目のファンドは前日まで500億円超でしたが、1月14日、基準価額が下がったことで500億円を下回りました。

ということで、まず、この13本目のファンド、

年金積立Jグロース 『愛称 : つみたてJグロース』 の最新の月次レポートを確認してみます。

https://www.nikkoam.com/api/reports/monthly?fundcode=358347

ポートフォリオがTOPIXとどんな風に違っているのか、説明している点は良いですね。

「運用概況」からです。

今月は、EV向け電池材料の製造装置株や株価が下がった資産運用サービス株の新規組み入れ、自動車株鉄道株などの押し目買いを行なう一方、株価が上昇した資源開発株海運株の利益確定売りを行ないました。
当ファンドの基準価額は、海運株の上昇が貢献したものの、ITサービス株小売業株、電気機器株の一部が下落したことなどからTOPIXを下回りました。

自動車「株」、鉄道「株」・・・投資先の会社の名前が出てきません。前半の投資行動の箇所は、具体的な名前を挙げることを差し控えるのは理解できます。しかし、後半のパフォーマンスの説明の箇所は、寄与が大きい投資先の会社を具体的に示した方が良いのでは、と感じます。


ということで、今回確かめてみるのは、これです。

日本の会社を主たる投資対象にしているアクティブファンドは月次レポートで、投資先の具体的な名前を挙げているか?

です。

次のファンドにいってみましょう。

ノムラ 日本株戦略ファンド 『愛称 : Big Project-N』

最新の月次レポート からです。

https://www.nomura-am.co.jp/fund/monthly1/M1140239.pdf

「運用経過」からです。

月間の基準価額騰落率は+1.62%となり、ベンチマークを1.70ポイント下回りました。ベンチマークより高い比率で保有していたソフトバンクグループの株価が値下がりしたことや、値下がりした情報・通信業の比率をベンチマークに比べて高めにしていたことなどがマイナスに影響しました。

具体的な名前が出ていますね。

「大中型バリュー」 :損保大手の一角で、介護やデジタル事業での収益貢献や株主還元策の拡充が期待される保険業株を買い付けしました。一方で、株価が上昇し割安度合いが低下したサービス業株を売却しました。
「大中型グロース」 :医療品製造開発受託事業が今後数年に亘って成長する可能性があり、中期で安定した利益成長が見込めると判断した化学株を買い付けしました。一方で、一部の地域で競争環境が激化していることなどから今後相対的に高いROE(株主資本利益率)を維持できなくなると判断した機械株を売却しました。
「小型ブレンド」 :EC(電子商取引)の新しい決済手段として拡大している後払いサービスの大手で独自の与信モデルを強みとして市場を上回る成長が期待できるその他金融業株を買い付けしました。一方で、過去数カ月の株価上昇により割安度合いが低下した情報・通信業株 を売却しました。

投資行動に当たるところなので、具体的な名前が伏せられるのも理解できますが、こんな風に「損保大手の一角で、介護やデジタル事業での収益貢献や株主還元策の拡充が期待される」と表現するくらいなら、もう固有名詞出しちゃいなよ、って思ったりします。

あと、保険業「株」なんですね。

フィデリティ・ジャパン・オープン

ファンドのページは こちら

最新の月次レポートからです。

https://www.fidelityinternational.com/legal/documents/JP-ja/mr.JP-ja.JP.F-211001.1221.pdf

「運用状況」からです。

オリンパス、SMC、・・・と具体的な投資先の名前が挙げられています。株主還元の拡大が見込まれる「企業」と表現されている点も見逃せません。上の2つのファンドは「株」でした。


JPM ザ・ジャパン

最新の月次レポートからです。

https://am.jpmorgan.com/content/dam/jpm-am-aem/asiapacific/jp/ja/literature/fact-sheet/m844.pdf

時価総額別の構成比が載せられています。

投資先の紹介に、「投資の視点」が述べられています。

3ヶ月前の上位20社を紹介。

「運用状況」からです。

個別銘柄においては、国内海運大手、高炉法と比較してCO2排出量が相対的に少なく構造的に持続的成長が期待される電炉法の独立系国内最大手、半導体や液晶パネル、医薬品などの製造時に使用される超純水装置メーカー、半導体、電力、食品など各種産業で利用される水処理メーカー、航空、宇宙、防衛、エネルギープラントなどを手掛ける総合重機大手などがプラスに寄与しました。

このパートは、投資先の具体的な名前を挙げていません。そこまで書いているなら、、、と思いました。

東京海上・ジャパン・オーナーズ株式

最新の月次レポートからです。

https://www.tokiomarineam.co.jp/pdf/web/viewer.html?file=/pdf/935010_Monthly.pdf#page=1

このファンドも規模別(時価総額)の構成比がありますね。
個別の投資先の紹介も。

株価ではなく業績を示しているところにも好感です。

上位の投資先について概要が述べられています。

「運用状況」です。

当月は、新規組入、全売却に至った銘柄はなく、株価が上昇したことにより、割高になったと考えた銘柄から割安と考える銘柄への組入比率の調整などを実施しました。

投資行動、投資先の入れ替えを具体的に書かれているのは「スキ」です。

個別銘柄では、旺盛な半導体需要への期待が続いた半導体製造装置メーカー良好な業績への評価が進んだ土木資材メーカーなどの銘柄がプラスに寄与した一方、過去の売上の計上時期に関する調査を開始すると発表したM&A(企業の合併・買収)仲介企業新型コロナウイルス感染再拡大の影響が警戒された通信機器等販売会社などの銘柄がマイナス寄与しました。

投資先の具体的な名前は挙げられていませんね。「過去の売上の計上時期に関する調査を開始すると発表」というのはちょっと気になっちゃいますね。

いちよし 中小型成長株ファンド 『愛称 : あすなろ』

https://img.ichiyoshi.co.jp/am/pc/pdf/investment_trust/100005/f5_report01_202112.pdf

上位の投資先、企業概要がしっかりと述べられていますね。

「運用状況」からです。

2021年12月末現在の組入上位銘柄は、東洋炭素(東証1部、コード5310 等方性黒鉛を原料とする多岐にわたる高付加価値の特殊炭素製品を 手掛ける、特殊黒鉛製品に加えて複合材その他製品の受注増も継続しており、事業環境は半導体用シリコンウエハ市場の活況もあって、今後追い風が強まることが期待されます)、アルバック(東証1部、コード6728 真空技術を用いた液晶・半導体・太陽電池等の製造装置が主力、既存分野の良好 な事業環境に加え、EUV(極端紫外線露光)など新分野での事業機会、中国市場の成長取り込み等による持続的な収益成長に期待されます)などと しております。

上位の投資先について具体的な名前を挙げて説明されています。

ニッセイ 日本株ファンド

このファンドは「ガッカリさん」ですね、、、

https://www.nam.co.jp/report/monthly/m120124-220111.pdf

投資先が全部で何社あるのか、がわかりません、、、、

「ファンドの状況」ですが・・・

当月の国内株式市場は、新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」に対する過度な警戒感が後退したこと から、これまで大幅に売り込まれていた景気敏感銘柄や割安銘柄が買われました。また、大型で割安感のある半導体関 連の高収益銘柄には物色が継続しました。こうした環境下、中大型の割安度の高い銘柄の比率を高めた運用戦略を継続している当ファンドの基準価額騰落率は+4.05%となり同期間のTOPIX(配当込み)+3.45%を上回りました。

太字の部分、これは株式市場全体のお話ですよね。ファンドがどうしたか、ではありません。ファンドは「中大型の割安度の高い銘柄の比率を高めた運用戦略」ということのみで、、、

で、このファンド、

https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/detail/?ID=JP90C0001QU3

「つみたてNISA」対象ファンドなんですよね、、、

トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド

このファンド、ピックアップしようか迷いました。
月次レポートはちゃんとしてたので取り上げます。

https://www.smd-am.co.jp/fund/pdf/158246m.pdf

上位10社の収益率まで載せられています。
さらにどの投資先が基準価額の変動にどれだけ寄与しているのか、も示されています。

投資先全てのウエイトも報告されています。

「運用経過」です。

デンソー、トヨタ自動車、豊田通商が上昇し、当ファンドの基準価額にプラス寄与となりました。

投資先の名前が明らかにされています。

スパークス・新・国際優良日本株ファンド 『愛称 : 厳選投資』

↓↓ の記事をご覧ください。投資先の具体的な名前はしっかりと明示されています。

ひふみ投信・ひふみプラス

https://hifumi.rheos.jp/fund/plus/pdf/report202112.pdf

「アクティブシェア」が掲載されています。

ひふみプラスのレポートには投資先の紹介も。

https://hifumi.rheos.jp/fund/plus/pdf/report202112.pdf

レポートの中のファンド運営経過に当たる箇所を確認してみると、個別の会社の名前が特に見当たらないことに気づきました。

さわかみファンド

月次レポート からです。

https://www.sawakami.co.jp/wp/wp-content/uploads/fund_report/fund20211230.pdf

”Dip your toes” 慎重に組み入れ ってことのようです。

10月末時点の投資先が全て閲覧できるのですが

https://www.sawakami.co.jp/wp/wp-content/uploads/fund_report/port20211029.pdf

特徴は示されていません。受益者の皆さんはご覧になれるのかもしれません。

フィデリティ・日本成長株・ファンド

ファンドのページは こちら

https://www.fidelityinternational.com/legal/documents/JP-ja/mr.JP-ja.JP.F-217001.1221.pdf

情報が結構、充実しています。

「運用状況」

ソニーグループ、Zホールディングス という具合に、投資先の具体的な名前が明らかにされています。

1年後、何か変化が見られたのか、確認します!

ご意見は諸々あるか、と思いますが、どの会社に投資するのか、投資しないのか、その判断を投信会社に委ねるのがアクティブファンドです。ですから、やはり、投資先の具体的な名前は示されるべきではないか、と考えます。もちろん、目標の比率まで組み入れが進んでいない等の事情があれば明らかにしないというのは理解できますが。

ということで、今回取り上げてみたファンドについては1年後、月次レポートに何か変化が見られたか、月次レポート研究所 で確認してみようと思います。

1年後をお楽しみに!


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