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AI: ソムニウムファイルはもっと評価されてもいいという話

AI: ソムニウム ファイルはすごい面白い

めちゃくちゃ面白かった。

良かった点は概ねネタバレになるのでもうやってくれとしか言いようがないのだけれど、とりあえず言っておきたいのはビジュアル面の良さ。キャラのモデルとモーションの出来が良く全体的なライティングやカラーグレーディングがバチバチに決まっていて、ADVという括りでみればトップクラスの見栄え。全世界の非オタクに叩きつけても我慢はしてくれるであろう基礎力はある。


AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブもすごい面白い

既に出ていた続編。あまりに面白かったのでクリア後すぐに買ってしまった。

続編が出ることについて不安が無かったわけではない・・・多分リアルタイムで発表を見た人たちはもっと不安だったんじゃないだろうか。前作であれだけ物語を描き切ったのに続きなんて絞り出せるのか。まあ自分は前作をゲームパスで済ませてしまったのでご祝儀感覚で買ってみたのもある。

不安は杞憂で、めちゃくちゃ面白かった。これもやれとしか言いようがないのだけれど、前作の世界を下地とした推理しがいのあるミステリー作品に昇華されている。ゲームとして面白いのはこちらの方かな。前作は情報の提供にややズルがあったし・・・。


世間の評判

この2作品は心の底から楽しめた。それは入り方が良かったとか作風が自分に合ったみたいなのもあるだろうけど、客観的に見てもシュタインズゲートやダンガンロンパといった国内で人気のビジュアルノベルにも匹敵する作品だとは信じている。

・・・が、少なくとも国内の人気は芳しくないように見える。パッケージ版の売上初動は全機種合わせ5千本程度と寂しく、SNS等でもさほど話題になっていない。


何故あんまり人気が無いのか?実はそんなに面白くないのか?と他人の感想を見たりして色々考えてみたのだけれど、もしかしたら本作は終わり方が微妙で、それが良くないのかもしれない。

2作品に共通するシナリオの魅力として謎が謎を呼ぶ怒涛の展開とそれが気持ちよく解明されていく終盤にある。その過程は手が震えるほど面白かったのだけれど、全てが解明した後の物語の終わらせ方はやや精彩に欠け、それどころか謎の解明にも地味な部分があった。幽霊の正体見たり枯れ尾花みたいな。

なので本作を遊んだ後は「すげー!!Twitterでバズ構文で感想書いちゃうぜ!」という陽のオタク感情よりも「面白かったね・・・アレは評価分かれるかもだけど・・・」みたいな陰のオタク感情が出てきがちな気がする。2chだったらスレの伸びとかで盛り上がりを実感できたのかもしれないけど、現代のSNS社会では致命的だ。

エルデンリングでも似たように感じたことがあった。エルデンリングは間違いなくゲーム史に残る大傑作だと思うのだけれど後半のゲームバランスに難があり、それをして「調整不足、次回作に期待」みたいなことを言う人を多く見かけた。ゲームプレイの大半が楽しくても終わり際が微妙な場合やはりどうしても終盤の印象で上書きされがちというか、楽しかった部分があるゆえに「画竜点睛欠き罪」は重くなる。

漫画「新吼えろペン」に「どんな漫画でも100回に1回はつまんない話があり、天才は最終話にその1回を持ってくる」というセリフがある。確かにその通りで、例えばチェンソーマンやリコリス・リコイルの最終話が全く面白くなかったとしても今現在大盛り上がりしている事実が失われることはない。しかしゲームはNetflixの一挙配信のごとく過程の盛り上がりは可視化できない。この辺、上手く評価する方法があればいいのだけれど。


まあそんなことはどうでもいいのでAI: ソムニウムファイルを遊んでください。ネタバレを見てしまう前に、好きなVtuberが配信を始める前に。全編にわたってラッキー・カーダーが登場するようなゲームなので。


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