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Cities: Skylines IIを遊んだ感想

Ryzen9 5900X RTX3800にて。ほぼ推奨環境。


パフォーマンス

開発元自らが最適過不足を公言するだけあってなかなかに重い。画面解像度をフルHD(1920×1080)に落として各種重くなるオプションを切ってようやく体感30FPS超えてるかなあといったところ。とはいえ基本は引いたカメラでの操作となるため慣れの問題ではある。

致命的なのはグラフィックより処理速度で、前作は(前作を今のPCの性能で遊べば)区画を引けば爆速で建物が生い茂り光の速さで渋滞を巻き起こしていたが、今作は区画を引いても建設に時間がかかり、そこから市民が入居して通勤して貨物を輸送させ利益を上げ・・・みたいな全体のサイクルも当然遅くなる。
そのため新たな建物やエリアを作ってもその結果がよくわからないまま次の建設に着手することになるので、全体的に達成感がふわっとしたままゲームが進んでいってしまう。まあ前作は前作でインスタントすぎるけども。

とりあえずコンソール版のリリースを待っている人はあきらめた方がいいと思う。開発側も半ばあきらめているのでは。


新要素

ではその重さと引き換えに何を得たのか?と聞かれるとけっこう困る。単純にグラフィックが強化され前作のようなファンシーさが薄れているので、街を眺める楽しさが向上しているのは当然ある。

ゲーム的な部分でいうと市民のAIが向上し、移動時に最短距離ではなく適切な経路を選択したり、立地や身分に応じて住宅の需要が変化したりするようになった・・・らしい。らしいというのは、それが正しく動いているかの確認は難しく、それによってゲームが面白くなったと実感するのはさらに困難だから。

確かに心なしか渋滞が起きない気がするし、都市の規模に応じて住宅の需要も変動しているように見える。しかしそれは妥当な処理が行われた結果なのか、かつこちらのアクションに基づくものなのかがよくわからない。実際、住宅の需要はどこに建設しても満たせるのでかなり怪しい。

SLGを楽しむには信じる心が必要だと思う。公式がすごいシミュレートを裏でやってますと言っている以上、それを信じてすごいシミュレートを遊びこなしている自分を楽しむべきだ。
初代シムシティは道路が不要で線路だけ作れば良いことはもはや誰もが知るところだが、それを知らずに上手く使い分けようとしていた頃の方が楽しかったはずだ。SLGは知的で論理的思考を問われるゲームと呼ばれるが、実際には妄信と思考放棄こそが必須スキルだ。


続編とは

前作Cities: Skylinesの誕生には有名な神話がある。かの邪智暴虐の王エレクトロニック・アーツは大御所街づくりゲームの最新作SimCity2013にオンラインの強制や不完全なAIを導入し反感を買った。そこに女神paradoxが現れ、「俺たちが求めていたSimCityの新作」であるCities: Skylinesをもたらし人々を救った・・・という物語だ。かなりparadox史観に寄った話ではあるものの、SimCity2013の開発者も一部認めている話である。

そのCities: Skylinesの続編はCities: Skylines 2023ではなく、前作を順当に進化させたCities: Skylines 2だった。この続編が出るまで8年かかったが、昨今のゲームのライフサイクルを考えればCities: Skylines 3が出るのは10年後だろうか。「俺たちが求めていたSimCityの新作」は20年遊ぶことになるのだ。

そう考えるともう少し、シティビルダーというジャンルをもう少し前に進めるような、レベル感の異なる作品であって欲しかったとも思う。グラフィックもUIも洗練されており、おそらくMODも作りやすくなっているCities: Skylines 2が次世代を担うにふさわしい作品なのは間違いない。ただ、あの伝説のCities: Skylinesの続編として肩透かしを感じたのは否めない。

SimCity2013は前作から変更を加え過ぎて失敗したが、オンラインでの都市間の繋がりや凝ったAIなどは先進的だった。あれを否定したのはかえってジャンルの停滞を招いたのではないか。SLGファンがその原罪から解放される日はまだ来なそうだ。

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