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バルダーズ・ゲート3を遊んだ感想

難易度冒険家(ノーマル)でクリア。一周93時間。

良かったところ

この世に生まれてきてくれたこと(日本語版が)

まず本作をローカライズしてくれたスパイク・チュンソフトには感謝しかない。確かに妙な訳や堅い文章も多かったが、これだけ大規模の、そして日本ではニッチな作品を完全日本語化してくれたのは本当に素晴らしいことです。

スパイク・チュンソフトからのローカライズが発表されたときは悲観する声もあったけど、これがよくわからない。「スパチュンだとsteam版は絶望的」などと言われていたが調べた限りでは同社のローカライズ作品はほぼ全てsteam版も日本語を選べるし、DOS2のいざこざも結局穏便な話だった。
多分、製作元以外によるローカライズという行為自体がみんなやんわりと嫌いなだけだと思う。もしくはゼニマックスアジア(検索サジェストに「ゴミ」「高橋」が出てくる)と混同しているか。

戦闘の自由度が楽しい

既に自由度の高さが喧伝されている作品だけど、確かに戦闘についての自由度(取れる選択や起こり得る展開)が多彩で、かつ楽しさに寄与している。戦闘に面白さを見いだせたRPGは久しぶり。

序盤はどうしても単純な殴り合いゆえに運の要素が強い&死に覚えな印象になってしまうが、中盤あたりからは呪文や特技などが増え、敵の種類や配置も様々で一辺倒な戦いになることが少なく、「戦略性が高く柔軟な対応を求められる戦闘」みたいなPR記事めいた感想が事実として出てくる。まあ初手ファイアーボール一択みたいな部分もあるにはあったけど。

レベルが1上がる度にかなり強力な特性を得られたり個性的な効果を持つ装備がゴロゴロ手に入るので、成長や探索がゲームを進める強いモチベーションとなっている。こんな強い魔法使えてええんか!?と喜び使ったら実際メチャクチャ強い、でも最後まで一貫して緊張感のあるゲームバランスが保たれている。偉い。


微妙なところ

前提を理解しづらいところがある

最初のマップは人間の集落とゴブリン族の対立が主なのだが、これを最初よくわかっていなかった。当初ゴブリンは血も涙も無い畜生で対話は不可能みたいな扱いをされていたので片っ端から殺していたが、ふと気づくと普通にゴブリンと仲良く会話することができた。要するに人間側とゴブリン側両方と交流してから行動を起こしてね、というゲームになっているのだ。

どうにもゲームが用意している前提についての導線が上手くいっていない感覚があった。自由度の高いゲームという触れ込みは正しいのだが、どういった自由があるのかがプレイヤーに理解しづらく、特に終盤は終わってみればこういう順番で進めてほしいという制作側の意図が感じられたが、それを読み取るのは難しかった。まあ実際のTRPGもGMに対してそうなのかもしれないが。

シナリオ分岐に選択の余地が少ない

会話時に取れる選択の幅は広いが、面白い選択は限られると感じた。むやみに攻撃したり助けを拒絶するような選択肢はそこでイベントが終了するだけで、結局物語を奥深く楽しむためには融和的な選択を取るしかない印象がある。ロールプレイと割り切っても、小悪を成敗したがためにより大きな正義を成せない(イベント自体起きない)みたいな展開もいくつかあった。

二者択一の大きな分岐はいくつかあるが、そのほとんどは決断に迷うことがなかった。例えば野蛮なゴブリンと温厚な民間人どちらを助けるかとか、いかにもな悪役と自分の仲間どちらを取るかとか、あからさまに善悪が分かれ、よほど極端なロールプレイをしない限りその選択肢は選ばないだろというのが多い。周回が楽しいゲームなのは間違いないが、別の選択肢を取りたいがために次の週をやろうという気にはならなかった。

ただ、絶対選ばないような分岐先も作り込まれているという信用が、自分の選択を確かなものにしている実感はある。
思い出すのはQuantic Dreamの「HEAVY RAIN 心の軋むとき」というADVだ。一週目でさまざまな重大な選択があり、これは二週目の別ルートが楽しみだ!と期待してみたら、実はどの選択肢を選んでも似たような展開に収束する・・・というがっかりなゲームだった。
対して本作はいかなる分岐先もきちんと作り込まれており、ありきたりな選択にもかけがえの無さを感じられた。映画監督の黒澤明が劇中で開くことはない薬棚に薬を入れていた逸話のように、プレイヤーが見えない部分が存在することで本作の凄みが生まれていると思う。

終盤のモチベーション不足

本作の最大レベルは12。サブクエストをこなしているとゲーム全体の8割程度で到達できてしまう。装備も一通り揃いきってしまうので成長や強化の楽しみがなくなり、ゲーム内容が固定されてしまう。
正直ラストバトルもエンディングも大したことはないので、飽きたらそこでゲーム終了でも全然いいと思う。


悪いところ

インターネットの人たち

バルダーズゲート3の日本における感想を見ると心底げんなりする。「自分の頭で考えない奴は楽しめない」とか「文章を読むのが苦手な方は向かないかも」みたいな一昔前の2chの洋ゲー厨(死語)みたいなお気持ちが多い。どこの国でも似たような話はあると思うが、日本国内の場合はGOTY受賞ゼルダ超えから始まったのでタチが悪い。

本作を楽しめるかどうかはリソースの話でしかないと思う。面白さを理解できるまでの時間と意識を注ぐ余裕があるか、それだけの価値を感じたか否かの話。自分もローグライクとかの楽しさがわからないし。

しかし楽しめなかった人達ももう少しプライドを持って欲しい。面倒とか難しいからとかバカにされても仕方ない理由でamazonレビューに星1つ付けるのは理性も敬意も欠けている。面倒でも難しくても楽しめている人がいるのは何故か、少しは歩み寄るべきでは。

家庭用版の操作性

拷問。星1つでいいと思う。

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