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FF14 黄金のレガシーを遊んだ感想

ネタバレですがまあ、今やっていない人はもう永遠にやらないと思うのであんま影響無いんですが、やらずに見ても無意味な文章です。


ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーとは2013年から続く新生FF14の5本目となる拡張パッケージ。初期から続いていたストーリーは前拡張で一旦の結末を迎え、新たな物語の始まりとなるのが本作。とはいえ自分が始めたのは最近なので誰もがその歴史を感じるわけではない・・・と思いきや自分ももう4年やってたりする。


ウクラマト

本作のメインキャラであるウクラマトはなんとも奇妙な魅力のあるキャラクターだ。平和を願う無垢で活発なおてんばお姫様として登場し、王位継承に参加するも主人公にすら王に相応しくないとまで言われる(あるいは言及を避けられる)。これまでFF14に登場した数々の優れた為政者に比べればまったく未熟なのは明らかだ。

では彼女がゲーム中で挫折と苦難を乗り越え大きく成長するのかといえばそうでもない。何故ならウクラマトは最初からそれなりに柔軟な判断力や王族らしい毅然さを持ち合わせており、些細なことで悩んだり大きな失敗をしたりしないのだ。単なる脳筋バカキャラだったり突如覚醒したりといった極端なキャラ付けの無い、幼いまま成熟したような危うい人物となっている。

それでも彼女がこの旅で見せてくれるのは王の器だ。赴く先々で人々に信用あるいは尊敬され、武力においても格上とみられたバクージャジャとのシングルマッチを制す(まあこれはプレイヤーが操作するんだけど)など、少なくとも王になる素質はあることを示してくれる。

見方を変えれば、黄金のレガシーの物語全体がウクラマトにとっての挫折と苦難なのかもしれない。その経験から王に相応しい人物へ成長していくかは作中ではまだ描かれないが、それについてはまったく不安は無いのが共に旅をしてきた主人公すなわちプレイヤーの感覚だろう。そう考えると拡張パッケージの完結と新たな始まりの二つを担うに相応しい人物なのかもしれない。


荒野

物語の中間地点となるシャーローニ荒野の表現には目を見張るものがあった。拠点となるトライヨラは地理的にもストーリー上の扱い的にもネイティブ・アメリカンがモチーフだが、そこに鉄道やエネルギーの採掘機械といった技術だけを与えた結果、西部開拓時代のような無法の世界として出来上がったのがシャーローニ荒野だ。ここは明らかにトライヨラより文明レベルの低い地域として描かれている。

いわゆる西部劇においてネイティブアメリカンは白人の敵あるいは庇護の対象であり、土地や文化を破壊される弱者として扱われてきた。本作ではその逆で、ネイティブアメリカンの下に西部劇が存在し、そしてテクノロジーが常に人を進歩させるとは限らないという、現実の歴史に対する強烈なカウンターとなっている。

正直なところ、黄金のレガシーを始めた当初は舞台となるトラル大陸の後進的な扱いに一抹の不安を覚えていた。大航海時代のアメリカは先のクリストファー・コロンブスを用いた楽曲PVが炎上したようにかなりセンシティブな扱いが求められているが、そのステレオタイプをそのまま持ってきた本作には、ましてや人種問題で燃えていたFF16の後としてはいささかデリカシーに欠ける表現に見えていた。しかし終わってみれば、そういった些細なことをチマチマ指摘して危惧するポーズだけ取る自分のようなスノッブに三下り半を叩きつけるような、挑戦的な内容になっていると感じた。


シャットダウン

物語の最後を締めくくるリビング・メモリーにはこれまた驚きの展開が待っていた。黄金郷とも称されFF14でも屈指の美しさ(やや悪趣味な方向ではあるが)を誇るこのフィールドをNPC含めてこの手で抹消することになるのだ。

MMOにおいてこの演出をやってしまうのは衝撃的だ。他のゲームにも「この先に進むと戻れません」みたいな警告が出る場面は数多いが、まあ言ってしまえば二周目にまた戻れるのだ。しかしMMOには今この何百時間もかけて到達したプレイヤーキャラの世界に二周目は存在しない。リビング・メモリーの美しさや生活する人々は永遠に消え去るのである・・・

いや、これは言いすぎました。実際には強くてニューゲームで戻れるし、フレンド越しにその世界を映せるMMOらしいやり方でもあり、そしてエレンヴィルの言う通り消えても遺るものがある。光を失ったリビング・メモリーはそれはそれで美しいのだ。とはいえマップの往来が当然であるMMOで、それなりに予算をかけて作り上げたフィールドをこうして消してしまえることはなかなかの英断だと言わせてもらいたいです。


良くないところとか

概ね満足な内容であったものの、世間では(特にnoteでは)本作に批判的な意見が多い。よく聞くのがゾラージャのキャラの掘り下げ不足で、確かに子をなせない双頭のマムージャ族から生まれたこと、力での支配に固執することは何かしらのオリジンがあるはずで、そこをあえて語らないのは何かしらの意図があるはずで・・・その意図がよくわからなかった。

まあしかし、こうストーリー部分の話ばかりするのも変だ。いくらFF14がストーリーを売りにしているといってもそれは売り文句であって、MMOの本編は毎日ログインしてエンドコンテンツの強大なボスに挑戦して・・・みたいなところだ。

じゃあそこはどうなのと聞かれると・・・やっていないので語れることはない。正直FF14のスキル回しとかギミック処理とかのゲーム部分に当初からイマイチ乗れておらず、自分はパッチが出るたびにメインストーリーを進めるだけのお客さんでしかないのだ、いやお金払ってない時期も多いのでお客さんですらないか。

拡張が出るたびにこうして復帰して遊んでしまうほどの魅力がある一方、2024年の最新ゲームに比べれば順当に陰りのある部分もある。だからゲームから離れる人が出るのも当然で、そこに運営のコミュニケーションがどうとか社内の体制がとか理由を外に求める必要も無いと思う。


グラフィックアップデート

なんかキャラの造形で荒れているらしいけど、基本フルフェイスの兜で顔を隠すキャラでやってるので・・・

著者近影。たまにある頭装備を外されるイベントシーンが好き。

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