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父と夏みかん

「夏みかんを収穫してきてほしい」
昨日、父から電話があった。

92歳の父は先週の金曜日に、ディサービスで気を失い、その原因が心臓にあると言う診断で、急遽ペースメーカーをつける手術をした。

高齢でその上、糖尿病がある父は通常1週間で退院の予定であったがまだ退院には至っていない。

高齢ではあるが自宅にいるときはいつも裏山に行って草刈りをし、キウイやみかんが実ると収穫をして私たち子どもに取りに来るように電話んしてくる。
今の時期は夏みかんの収穫の時期で、入院している父は病床で気になってたようだ。
「できればみかんに肥料もやってほしい。肥料のお金は出すから。」
と、みかんの木の心配もして。

そういう父の気持ちを汲んで、今朝は双子の姉と2人で夏みかんの収穫に行ってきた。

できれば自分の手で収穫したかっただろうに。
いや、もっと父と一緒に収穫をすればよかった。
双子の姉と高枝バサミを使って高いところにある夏みかんを取るが、うまく取れずに夏みかんがコロコロころがるのを大笑いしながら、そんなことを考えていた。

裏山には何本もの椿も植えてあった。

赤色、ピンク色、白色。
今、花盛りだ。
みたかっただろうに…。

昨日、かかってきた電話に
「はよ元気になってもらわな、困るから」

と言う私に父は笑っていた。

もう少し、父との時間を私たちに与えてください。
父の育てた夏みかんをみつめながらそんな想いが溢れてきた。

とうちゃん、がんばってな。

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