通信講座で芸人になりました Vol.5(完結)
これで最後です。
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●突然の通信講座終了
2005年12月、公開オーディションから10日ほど経った時に1通の封書が届きました。
「通信講座を終了することになりました。年会費は半額お返しします」
へ?
終わり?これで?吉本に入る話はどうなっちゃったの?
問い合わせをメールでするも、今まで使っていたメールアドレスはアカウント削除で送信不可。
MAILER-DAEMONってやつです。
ちょっと待ってくれと、プロデューサーに直接連絡すると、ライブ出演の件は後日きちんと連絡するからとの返事。
ほっと胸を撫で下ろしたものの、今思えばメールアカウントすぐ消すなよ、夜逃げかよ。
今思えば、というか当時から思っていましたが、シンプルに大赤字だったのでしょう。
受講生も笑えないくらい少なくて、早めにケリをつけたのではないかと思います。
ただSkypeやZoomを利用したオンラインレッスンやワークショップ、自社のポータルサイトを利用した語学レッスンなど、現在では新しい教育の形として評価されているビジネスを思うと、NSC通信講座というのは時代を先取りしすぎていたのかもしれません。
知らんけど。
その後プロデューサーの話を信じ待つこと2ヶ月。
大学の卒業単位がぎりぎり状態の僕は、日々の単位取得作業に忙殺され、すっかりライブの話を忘れていました。
相方は留年しました。
●東京NSC11期生との合流
2006年3月。
大学の卒業も無事決まり(相方は留年しました)、周りの友人たちにも吉本で芸人をやることを吹聴していた僕は、いよいよ焦り始め、改めてプロデューサーに連絡をしました。
するとこんな返信がありました。
いや聞いてねぇよ。
というわけで、僕たち通信講座出身生(すでにこの時点で閉講済)は、リアルNSC東京11期生の卒業ライブから合流という形になったのです。
ん?
芸人になることは決まってるんじゃないのか?
もうよく分からない!
きっと通信講座の試み自体が実験的すぎて、何も決まっていなかったのでしょう。
これは当時のスタッフさんを揶揄したいわけでなく、本当に手探りでやってくださっていただんだなぁと感謝してるんです。
実際受講当時は本当になんでも質問に答えてくれましたし、公開オーディションの後に、リアルNSCに再度ネタ見せのお願いをしたら、実際やってくれたこともありました。
そして11期生の卒業ライブ。
1年間、苦楽を共にしてきた仲間たちとの集大成。
その中に初めましての通信講座生。
温度差半端ないですが、11期生のメンバーはリアルNSCで1年間じっくりしごかれ、、否鍛えられてきた人たち。
僕たちにもしっかり挨拶をしてくれました。
きっと知らない顔なので先輩だと思ったのでしょう。
僕らも数百人いるリアルNSC生たちの雰囲気に飲まれないようにしながら、先輩ヅラして佇んでいました。
そこへプロデューサーの登場。
いつも軽口を叩き合っているプロデューサーの登場に、僕らはほっと胸を撫で下ろしますが、そこで雰囲気が一変。
リアルNSC11期生の面々は一斉に起立、大声で挨拶!
まるで軍隊だ。。。
プロデューサーは厳しい人だったんですね。
(変なこと言わないでよかった)
そして卒業公演。
好きなネタを大勢のお客さんの前で出来て満足!
なんて当時は思ってましたが、今思えば全く歯が立たず、スベり散らかしていただけのように思います。
終演後にプロデューサーが来てくれて
「どうしたよ、いつもの漫才やったらよかったのに!笑」
なんて僕のお尻をポンと叩きながら言ってくれましたが、僕はすでにプロデューサーの鬼軍曹バージョンを見た後なので、引きつった愛想笑いしか出来ませんでした。
オーディションには不合格。
芸人になれないのか、、、と落ち込んでいたら、結局そのオーディションは、ライブのランクを決めるためのもので、不合格でもライブの一番下からスタートというだけでした。
リアルNSC生たちはみんな知ってました。
通信講座生にも教えておけよ!
●無事デビュー
というわけで晴れて2006年4月、吉本興業所属の芸人としてデビューすることになった蓮華。
デビュー後に、NSCに通っていなかったツケが回ってきました。
・挨拶の仕方が分からない。
・「通信講座出身です!」と社員さんに挨拶すると、「通信講座出身であることは言わないでください」と黒歴史扱いされる。
・友達がいない
これを回収するのに何年もかかりました。
特に「友達がいない」。
これかなり重要です。
ライブのオーディションとか口コミで広がってて、僕らだけ知らないとかざらでした。
もっとがつがつしていればよかっただけの話なんですが、住んでいるところは八王子、そして人見知りの僕には、ちょくちょく連絡をくれる通信講座同期だけが頼りでした。
その後徐々に11期生の同期の友達も増えて、今は楽しくやってます。
そういった環境になるのに6年はかかりました。
●これから吉本へ入りたい人へ
通信講座は今はもうありません。
たった半年で終了してしまった通信講座ですが、僕にとっては芸人になるきっかけだったので感謝しています。
ただ一つ言えることは、吉本に入りたければ、絶対にNSCに入った方がいいです、マジで。
お金高いと思う人もいるかもですけど、絶対入った方がいいです。
僕当時に戻れるならお金貯めて、13期生で入ってます。
厳しいの苦手なのでNSC卒業できたかは怪しいですけど。
ただ僕が書いたことは既に15年も前の話です。
今のNSCは当時に比べてとても優しくサポートが充実していると聞いています。
もちろん礼儀などしっかり締めるところは締めているでしょうし、厳しくないといえば嘘になるかもしれません。
でもそもそも芸人になって人を笑顔にしたいということ自体がとても厳しく難しいことですし、そういった基礎を学べるNSCという存在は貴重なものだと思います。
NSC通ってないから想像でしかないですけど。
なので今の時代に芸人を志し、吉本に入りたいという素晴らしい若者は、ぜひお金貯めてください。
壮大なNSCのステマみたいになりました。
NSCホームページ https://www.yoshimoto.co.jp/nsc/
ちなみに僕らは通信講座が半年で終了してしまったため、年会費の半分が戻ってきました。
コンビの1人だけ入っていればいいという謎ルールのおかげで、1人あたり17500円で吉本に入ったことになります。
いえーい!ラッキー!!!
でもほんと、吉本来るならNSC入った方がいいですよ、まじで。。。
ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
「通信講座で芸人になりました」
おしまい
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