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Week12: アタカマ砂漠の捨てられた服の墓場と会計学〜社会人17年目のイギリス留学🇬🇧

今日の写真は、クリスマスに遊びに行ったロンドンのコベントガーデンのクリスマスツリーです。
サセックス大学からロンドンは、2時間くらいで行けるので、授業がない期間はちょくちょく遊びに行けるのが良いところ。
日本に例えると、温泉がない箱根と、東京みたいな感じですね。

さて、授業が終わって羽を伸ばしたあと、そろそろ年明けの3本のエッセイ提出に向けて徐々にまた勉強が本格化しています。合計8000word。。
クラクラしますが頑張ります。

まず最初に控えているのは、"会計と説明責任が環境と社会の発展のために果たす役割を論ぜよ"というものです。

英語で会計はAccounting, 説明責任はAccountability、と言います。この2つの概念を理解しているか示しつつ、何か一つストーリー(事例)を用いて分析せよ、というものです。
私は、"価値あるにもかかわらず捨てる"、という一方向の経済の仕組みを変えたいと思っているので、チリのアタカマ砂漠の衣服の不法投棄について取り上げ、企業と個人の間の説明責任を扱うことにしました。

アタカマ砂漠の服の墓場

チリのアタカマ砂漠という場所は、世界で最も乾燥している場所、と言われることもあり、空が澄んでいるため、天体観測の拠点としても有名です。
また産業としてはリチウムの産出、風がよく吹いて港もあるという利点を活かして、風力発電やその電力を活用した水素の製造なども試みられている興味深いエリアです。
この独特の風土がある場所に、ファストファッションが台頭してきた2000年代から、古着や中には新品タグ付きのものが大量に捨てられるようになりました。
多くの衣服は、化繊でできているのでなかなか分解されず、長い期間を経て土地や水を汚染したり、何かの拍子に火がついて火事になる、というような問題を引き起こしています。

その廃棄の量は、年間39,000トンにのぼります。

古着の輸入は規制している国も多い中、チリは規制をしていないことと、短いサイクルで大量に洋服を生産し安く売り、余った服は在庫として持つのではなく捨てる、というファストファッションのビジネスモデルが背景には潜んでいます。

端的に、もったいない。

使い捨てではなく、リユースやリサイクル、そもそも作りすぎない、という仕組みを作って、洋服としてだけでなく、資源として循環させていかねばなりません。

衣類の循環に向けた会計の役割

捨てられたものがどれだけの価値があるのか、を数字として示していくこと、また、捨てられたことによる環境や社会の損失を数値で表すこと、が会計としてできることだと考えています。

東京ドームいくつとか、新品にしていくら分、と聞くと、びっくりしますよね。
その驚きを個人が洋服を買う時に、一歩立ち止まって考えるきっかけになるのではないかと。

ただ、ボランティア精神や個人の良心のみに頼るのでは心許ないですし、企業側も損失を積極的に開示するモチベーションは少ないはず。
もっと、放っておいても望ましい方向に動ける仕組みがこれからの経済には必要ではないか。

だから、捨てずにリサイクルする方法を具体的に考えて、捨てられる服に価値を数字で付けることが大事なのではないか。
今は、メルカリの登場で買う時にいくらで売れるかを調べたり、特に日本は古着を買う文化が広く浸透してきていると思います。
でも、破れたりシミがついて、服としての寿命が切れてしまうと、なかなか値がつきません。
服としては使えなくても、素材としての活用を見出し、ビジネスとして一定の規模まで大きくし、値段をつけて売買することも可能な仕組みとしていく必要がある、と考えています。

企業の説明責任の可能性

捨てるものの価値を消費者が知らない、という点は、企業側が説明責任果たせる部分ではないかということをエッセイでは書こうと思っています。

どういった素材、お手入れなのかはタグに書いてありますが、その素材が着なくなったときにどんな価値があるのか、3次利用まで含めて消費者が理解できると、購買行動だけでなく、手放す時の行動も変化するはず。

例えば、コットンの服であれば、燃料として再生する技術があります(JALがこの再生燃料を使って実際にフライトを試みています)。
ポリエステルも、再生ポリエステル樹脂を作る技術があります。
ダウンコートの羽毛も洗って再生する企業や団体が増えてきました。
もちろん、服としてまだ使えるのであれば、メルカリや古着屋さんで売れます。
ただ、今は特に二次、三次利用の産業じたいが十分に成熟していないので、消費者も一方向の使い捨てのマーケットにしか、参加できない。
サーキュラーエコノミーを前提としたビジネスモデルを作り、古着だけでなく、服としての寿命が尽きた後の素材としての利用まで含めたビジネスモデルに変えて、儲かる仕組みにしていくことが必要なのだろうと考えています。

燃料としての利用は、古着からでは品質が安定しないなどの課題はあるようですが、本質的には、業界をまたいで船舶や航空業界では喫緊の課題なので、価値づけできるととても意味があるものだと個人的には考えています。

消費者としての私たちの責任

忘れてはならないのは、このアタカマ砂漠のゴミの山は、"私たちが作っている"、ということです。
安い服には、ウラがあるのです。ゴミ山だけではありません。きちんとした契約もなく、何時間働いて何枚縫製したらいくら、といった条件もないまま、基本的人権が守られない人もたくさん、存在します。
日本で言うなら、明治大正時代の女工さんです。そんな時代を生きている人が現代にいます。

ファストファッションの仕組みの代償を地球のどこかで、誰かが負っているのです。

だからこそ、消費者として、買うときの行動がとても、とても大切。
①新品である必要があるかを考える
②レンタルを活用できないか考える
(トレンドをいろいろ試すなら、レンタルもありですね。購入するよりもお安くいろいろ試せます)
③素材を確認し、化繊など環境負荷が高いものはなるべく選ばない
(売れる服がたくさん作られます。化繊の服を選ばなければ、それだけ作られなくなります)
④洗濯表示を確認する
(無理なく日々のお手入れができれば、それだけ長く着ることができます)
⑤着なくなった時の廃棄方法を調べる
(素材によって、リサイクル方法や団体が異なります。企業も発信を頑張ってほしいですが、今は自分で調べる必要があります)

長く着ることを考えて、単なる今月の支出ではなく、長い目で資産として捉えて服を購入し、手入れするという考え方も大切。
トレンドを追うファッションから、本当に気に入ったもの(必ずしもブランドというわけではなく)を、長くお手入れしながら愛着を持って扱う、トレンドや他人に左右されない、軸のあるファッションスタイルを持つことで、文化として一方向の使い捨て文化から、循環型の文化を創って行くことに繋がります。
こうした文化が芽生えてくると、廃棄を制限するような新しい法律やルールを決める時の基盤にもなる、というようなことも授業で習ったのですが、これはまた別の機会に記事にしたいと思います。

おまけ: イギリス版メルカリのDepopで買い物してみた話。

留学開始のタイミングは9月下旬で、まだ寒くなかったこともあり、かさばるコートはイギリスの古着屋さんで買おう!と決めていました。
当初は、ロンドンのビンテージショップに行ってみたいと思っていたのですが、授業についていくのに精一杯でそんな余裕はなく、、その上、10月下旬くらいからかなり寒くなってきて、正直焦りました。
ブライトンの古着屋さん(特にオックスファムというNGO運営のお店がお気に入り)ももちろん、巡って探しましたが、なかなか良いものに出会えない。
古着屋さんって、わかりやすく今年のトレンド商品が整然と並んでいるわけではないので、玉石混交の服の山から、自分がピンとくる、質がいいものを扱っているお店を見つけるのが難しいんですよね。

そんなわけで、イギリス版メルカリ、と検索して見つけたアプリが、Depop、というもの。
これ以外にも、Vintedというアプリも有名ですが、画面の操作の感じがインスタみたいでオシャレで、選びやすそうだったので、Depopを使ってみました。

コートは古着でもお値段がはるので、日本に帰ってから売れるかもメルカリで確認し、ダウンコートを購入。
購入まではメルカリともあまり変わらない感じでしたが、届くまでは発送されるまでに1週間弱、その後到着までも数日かかりました。
日本だと郵便局もコンビニもたくさんありますし、24時間あいているので、すぐ発送できますが、おそらく発送場所が限られているんだと思います。
こうしたインフラ網の違いや、早く発送しようみたいな感覚の違いは異国ならではの経験だな、と思いました。

それでは、今日はこの辺で。
みなさま、ごきげんよう。

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