トーキョーのOLにはどうしたってなれない

 素敵なオフィスカジュアルスタイルの服を身にまとい、アップルのPCを小脇に抱え、おしゃれなカフェに一人で入ってカフェラテを飲みながら華麗なタイピングで仕事をする―。中学生の時に私は、いわゆるオフィスレディというものはこのようにして日々をさぞ有意義に過ごしていくんだろうなあと漠然と考えていた。そして、自分も23歳になったらこういった女性になるのかなあともぼんやり思っていた。非常に無鉄砲で自意識過剰的な思春期だと、我ながら驚く。

 大学を卒業して、晴れて社会人となった。コロナ渦での就活をちゃらんぽらんとこなし、私は春から働いている。選考に落ちては人並みに落ち込む癖にがむしゃらにまた就活に打ち込む、ようなことは全くといっていいほどせず、ただ流れるように行き着いたといっても過言ではない職場で私はせっせこ働いている(唯一の内定が出たのは12月だった)。

 大学まで地元を離れるということをしなかった私だが、就職したらどこか遠くへと思っていた。初めての一人暮らしを夢見たこともあった。だけれど就活の結果として手元に残ったのは、実家から通える職場と実家を出るなんてとんでもないと頑なに娘の独り立ちを認めない親だった。親と喧嘩をしてまで実家を飛び出すことをしなかったのは、結局自分に一人暮らしなどできないのかもしれないと怖気づいてしまったからだ。そんなわけで今の私は職場と実家を往復し、母の料理を食べ風呂に入り、布団に入ってすやすやと寝る生活を送っている。

 要するに私はトーキョーで生活をする華やかな女性にはなれなかった。多分この先も、予定は無いが結婚をするまでは、この場所を離れることは無いのだろう。この選択が大失敗だったとは思っていないが、まあ仕方ないよなあと納得することで心を保つ。でもこのコロナが収束したらふらっと東京に出てくるくる飲み屋街を闊歩したいな。

 日曜日。この文章を書き終えて8時からは大河ドラマを観る。それから明日は朝のうちにやらなければならない仕事があるので目覚まし時計を5時半に設定した。

 早起きなんか嫌いだ。

 

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