デコポン讃歌

今日は朝ご飯の後冷蔵庫の中でずっと眠っていた頂き物のデコポンを食べた。デコポンなら自分の手で剥けるのではないかと思ったからだ。
普段ならヘタの部分からちぎって皮を剥き始めるのだが今日は剥きにくそうな反対側のお尻の部分に親指を入れて皮を剥き始めた。

シュパッと飛び散るデコポンの果汁そこら中に甘酸っぱい香りが広がる。どんな果物も大概良い香りがするが柑橘の皮をむくときに飛び散る果汁の香りほど爽やかで気分を一新させてくれるものはない。剥いた皮は紙に包んだり袋に閉じ込めたりせずにしばらくその辺に置いておくと部屋中にオレンジのアロマが広がりお手軽なアロマテラピーとなる。


『そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンをあなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁はぱつとあなたの意識を正常にした』

高村光太郎が愛する智恵子の死に際して書いた詩集「智恵子抄」の中の「レモン哀歌」の一説である。

柑橘の果汁が迸り、あたりに甘酸っぱい香りが広がる時、私はこの詩を思い出す。

硬いレモンを最後の力でがりりとかじった智恵子。飛び散るトパアズいろの香りはもうろうとした智恵子の意識を正常にするだけの力がある。

レモン果汁の香りのトパアズいろの香気という表現に、そのキラキラと飛び散る柑橘の雫がさらに透明度を増し、天高く飛び散っていく。

しかし、私が迸らせたデコポン果汁ではあまり絵にならない。それに、私は死の床にいるつもりもないので、言ってみれば私を取り囲む風景は「デコポン讃歌」といったところか。

レモンより濃いオレンジ色、甘みもあり.果汁も溢れんばかり。部屋は甘酸っぱい香りでいっぱいになる。トパアズのような硬くて透き通った酸っぱいレモンの迸りが天のものだとすれば、甘酸っぱいデコポンの香りはこの世の生命力の迸り。命をつなぐ水のようだ。

デコポンと言う名前も可愛らしくて、微笑ましくていいじゃないか。デコポンを手で剥いて果汁をほとばしらせながら口を果汁でいっぱいにして、半分を食べた。これが私の体を作り生命力を高め命をつないでくれるのだろう。

剥いた皮はしばらくその辺に置いておく。部屋はデコポンの香りで満たされる。デコポンのアロマでリラックスして過ごせそうだ。

今日はデコポンだったが、他にも尾道で自然栽培でネーブルやはっさくを作っている友人から無農薬のネーブルと秋マリンなどとれたての柑橘ももらっている。それらは農薬も撒いてないので皮も一緒に食べることができる。ちょっとほろ苦いけどそのほろ苦さが強い命につながりそうだ。
明日はネーブルだな。
みんな差し入れありがとう。

今日は徒然、草じゃなくて、徒然橘かな。
ちなみに、橘ってみかんのことです。雛壇にはお雛様から向かって、右に橘、左に桜が配され、左近の桜、右近の橘と呼ばれています。橘には不老長寿、魔除けや邪気払いの意味があるそうです。

🍊みかんって、古い歴史のある果物なんですよね。
今なら、冬の風邪にはホットみかんがおすすめです。
ぜひお試しください。ホット赤ワインにホットオレンジジュースにシナモン、クローブなど入れるのもいいですよー。みかんの皮を干した陳皮も効きます。

話がまた拡散してきました。この辺でやめておかないとさらに拡散していくので、今日はこの辺で。おやすみなさい。

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