今日、参院選公示日に「SENKYOが好きすぎる」という番組(録画)を見た。

今日、参院選が公示された。
3日ほど前にNHKで「SENKYOが好きすぎる」っていう番組をやってて、録画してたのを思い出して、見てみた。
出演者はみな18歳〜21歳の若者。司会はパンサー向井で、明らかに、若者だけをターゲットにした番組だ。

「選挙が好きすぎる」という3人の若者の選挙マニアっぷりを紹介しつつ、その流れの中で、簡単に選挙の仕組みを解説したり、スウェーデンの参加のハードルが低いカジュアルな選挙戦を紹介したり、選挙の開票速報をみんなで見る「選挙バー」を作った高校生の話などを紹介する。

ただ、これらの話を紹介するときの切り口が、終始「選挙は祭りだ」「選挙に興味ない人も、まずは祭り感覚で参加してみよう」というもので、選挙速報を祭り的に楽しむだとか、各候補者の選挙戦の戦術を楽しむだとか、そういう部分ばかりが映像化される。

登場した3人若者のうち一人は政治学を学びにスウェーデンに留学している20歳。高校生の時「選挙バー」を作った19歳は子供の頃から政治について興味があったものの、政治を語る友人も場所もなくて、バラエティ番組を見ては友人に話を合わせているうちに、体調を崩して不登校になってしまったという過去がある。他のメディアの過去記事をググると、やはり彼は原発事故や安全保障問題など国や社会の反応を掘り下げて調べていたとあった。

彼らは必ずしも祭り的な楽しみだけで選挙が好きなわけでもないんだろう。実際には「選挙が好きすぎる」というよりは「政治が好き」なのだが、番組が「選挙が好きすぎる」だけに、選挙好きな部分ばかりがクローズアップされたんだろう。

番組中、「選挙バー」づくりに協力したという男性(大人)がなぜ高校生の彼に協力したのかと聞かれてこう答えていた。

「選挙って大人の世界からいうとタブーな世界というか、ある意味、ちょっと怖い部分も孕んでいたと思う。やってる間も、地域の人も含めて『政治を扱っていいの?』ってところはあったはず。しかし、そこは若い方、高校生ならではの無垢な気持ちがね、やりたいという気持ちがそういう課題をクリアしていくというか、おかげで政治について語り合うことができたという意味ではすごくいい機会をいただいているっていうふうに思います。」

こういう言葉を紹介しておきながら、皮肉にも、この番組自体が「政治を扱うこと」を避けている。「選挙という制度で遊ぶ」ことをあたかも「政治にコミットすること」のようにすり替えている自己矛盾に制作者は気づいているだろうか?

選挙に行くことなど考えたこともない若者に、少しでも興味を持ってもらうために、本質には遠いけれど、ちょっと面白げなところからアプローチするという手法はもう時代遅れだ。

チャンネルを変えると、芸能人26人による「#わたしも投票します」のVTRが流れていた。今の時代、こういうストレートな呼びかけの方がよっぽど有効なんじゃないかと思う。

この「選挙が好きすぎる」という番組、現場の担当者には特に何の思惑もなく、公示前だから選挙の争点に関わるようなことには触れるなという厳しいお達しのもとに作られたがゆえにこうなってしまった感じもする。

昨今の選挙前の報道自粛っぷりはすごいからなあ・・・
選挙の前こそ、政治を論議するべきなのに、公平性云々と言ってそれを避ける日本の政治とメディア。その自粛っぷりは年々ひどくなっている。
こんな日本で、生活の一部として政治を語れる日はやってくるのだろうか?

企画制作の経緯はわからないが、出来上がった番組だけを見ると、政治的争点などはそれほど考えもせず、祭りのノリで選挙に行ってくれる若年層を増やしたい与党のために作った番組じゃないかと勘繰ってしまったのでありました。

パンサー向井の司会も悪くないのに、もったいないなあ・・
今度は30〜50代の選挙に行かない層に向けた番組も作ってほしい。その場合、どういう切り口になるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?