見出し画像

【Vol.4】大恋愛の賞味期限

この人ほど好きになれる相手はいない、ずっと一生この人と一緒にいる。そう胸に誓ってすべてをささげるような大恋愛の賞味期限はどれくらいだろう?

かつて一世を風靡した有名音楽プロデューサーとミリオンヒット歌手との恋。ほとんどの人たちが口ずさめるあの曲のPVでは、2人の恋の絶頂を描いているような高揚感と、2人だけの世界がしっかりと映し出されている。有名人であるがゆえ恋愛の一部始終が世間に知れ渡り、いま改めてこの映像を見ると、なぜか胸が締め付けられるような苦しさを覚える。かつて熱く燃え上がった2人の恋心は、決してもう元通りになることはない。いわゆる元さやというものはなぜか第三者がみても、ありえないという確率にBETできるほどの勝算なのだ。そう、あの大恋愛は終わった。元に戻ることがあり得ないと思えるほどに。

若い頃、5年間付き合っている人がいた。大好きで大好きで、その人以外誰も目に入らなかった。2人の前に立ちはだかるどんな高いハードルも自ら進んで越えていった。越えなくていいハードルまでも越えた。一体自分がどこに向かっていたのかは分からない。ただ若さゆえ、これが真実の愛だと信じて止まず、ただ盲目に彼が大好きだった。しかしその恋の終幕はとてつもなく大きな傷と引き換えに、音もなく崩れ去った。

あれから数十年以上経った今でも、その人以上に好きな人はもう現れないと思っている。ならばもう一度その人と結ばれたらいいのではないかと思う反面、相手に特定の誰かがいなくても、今一度手に入れたいとは思わないのだ。そう、あの大恋愛は完全に終わったのだ。

あつい熱ほど冷えた時の感覚は大きい。その感覚の落差があるように、大恋愛の結末ほど、元通りにすることが出来ないくらい激しく壊れるのかもしれない。走馬灯のようにかけめぐる輝かしく幸せな1ページたちはあんなにも鮮明に蘇るのに、その場所に戻りたいとは思えないほどやるせない気持ちは他にない。

一般によく恋愛では、その恋愛期間と同じ歳月が経過した時にその傷が癒え、いい思い出に変わるといわれたりするが、大恋愛においてはきっとそれが終わった瞬間に、その賞味期限を迎える。2度と口にしてはいけない朽ちた果実は、ものすごい速さで風化していく。

大恋愛で身を焦がしたその先は天国か地獄か…一度は試してみる価値があるのか、ないのか…?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?