#文化を嗜む Vol.1 金彩ワークショップ イベントレポート
懐石料理、びいどろ、着物、歌舞伎……。古くから続く文化は多種多様で、時代と共に形を変えながら現在まで残っています。
金彩は、染め上がった絹の生地に金や銀の箔、金粉等を接着する技術。友禅染をより華やかにする加工の一つで、安土桃山から江戸初期にかけて確立した伝統的な工芸です。
今や定番となったrenacnattaの金彩イヤアクセサリーは、金彩をイタリアのシルクに施すというもの。金彩ワークショップではrenacnttaの金彩イヤアクセサリーと同様に、イタリアのシルクに金彩を施していただけます。
昨年に行ったMakuakeでも、リターンの一つとして金彩ワークショップの企画をしていましたが、コロナウイルスにより開催は中止に。今回、念願かなっての開催となりました。
嬉しいことに募集を開始からすぐに満員に。1部につき8名、3部制での開催となり、計24名の方に参加いただきました。代表・大河内と金彩作家の上田奈津子氏のあいさつから始まり、早速筒を持って金彩の練習へ。
まずはティッシュの上に、線をまっすぐに描く練習から。描く方向や角度によって、描けないことがあります。なので、その感覚をまずは練習。
「のりが出ません!」というトラブルにも、上田先生がひとりひとり対応してくれます。
ティッシュの上で描く感覚を掴んだ人から実際にイタリアのシルクへ。デザインをしっかりと決めてきた方から、お手本をみながらその場の感覚で描きはじめる方まで。この時間はみんな真剣で、ほとんど話すことなく黙々と作業をしていました。
柄をなぞったり、文字を書いたり、思うままの絵を描いたり。自由度が高くて少し不安という方もいましたが、上田先生に相談しながら描くことができるので、みんなするすると仕上げていきます。
描いたあとの糊は白いのですが、それが透明になるまで乾かします。糊が乾いた状態で箔が付くというのは少し不思議な感覚。乾かしている間は、上田先生の実演を楽しむ時間。
細かくしなやかな技術に、さっきまで静かだった参加者の方々が驚きの声を漏らします。筆者も思わず、撮影しながら感動のため息が出るほど。
「わたしもああいうの挑戦すればよかった〜!」などと言いながら、席に戻り、今度は箔を貼ります。透明になった糊の上に、箔を置いてティッシュで軽くこすります。
ゆっくりはがすと糊の上に金箔が。自分の描いた線の上にキラキラと光る金箔がのっているのを見ると、みんな思わず「すごい!」と熱気が高まります。金箔をのせて、こすってはがして、を何度も繰り返すことで糊にもれなく金箔がのるようにしていきます。
できあがった金彩をながめながら、みんな嬉しそうに話します。
「糊で描いただけのときは出来栄えが不安だったけど、箔をのせるといい見栄えになった」
「思うように描くことができない部分もあったけど、難しさと楽しさを体験できた」
持ち帰ってもらった金彩を、写真に撮っていただいたり、額にいれて飾っていただいたり。ワークショップの参加報告をSNSにも投稿してくださったみなさま、ありがとうございます。
伝統工芸と聞くと、なんだか少し堅苦しく、無知の自分が踏み入れてはいけない領域な気がしてしまうこともあるかもしれません。しかし、その技術が生まれた当時には “あたらしいもの” であり、その時代によって変化を遂げながら今に残っています。わたしたちが今生きる時代に生まれている、新しいなにかと何ら変わりはないのかもしれません。
古くから続いてきたからすごい、というだけでなく、シンプルに金彩を見て「綺麗だ」と思う。気に入ったから身につけるし、気になるからやってみる。日常の延長のひとつとして、金彩を身に着けてもらえるように、もっと多くの人に知ってもらえたら。
今後もワークショップは定期的に企画していきます。年内にもまた企画中なので、気になっている方はぜひご参加いただけたらと思います。
金彩イヤアクセサリーは現在販売中です。
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