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21.右目

中学2年の視力検査で絶望した。

それまで両目1.5を維持して来たはずの鳥居は
原因不明で突如右目だけが0.3になった。

左目の検査では、機敏に答えていた私が、
右目の検査にうつった途端
上からふたつ目の割と大きな丸を「…見えません。」
と答えると、
先生は「真面目にやりなさーい」と言ったが。
私は大真面目に「ん〜…見えません」なのでした。
何度やってみても、
あの黒い円のどこが欠けているのかが、
先生の顔が怒っているのか、呆れているのかさえ
まるでぼやけて見えなかった。

母と眼科へ行くと、先生には
稀に成長過程で片目の視力が落ちることがある。
と言われた。それだけしか言われなかった。
後で調べると不同視と呼ぶことがわかった。

眼鏡に憧れたことはあったが、
右目が悪くなったと気付いた時から
左目だけを閉じると見える
ぼんやりとした世界がショックだった。

眼鏡を作るのに、
カラフルな小さい気球を穴から覗いたり、
眼の球にシュッと風を当てられたり、
度数を決めるためにヘンテコな眼鏡を数分間装着して、
頭が痛くなったり気持ち悪くなったりしないか見たり。
面倒だなということを終え、

中学2年生にして眼鏡デビューである。

初めの頃はかけていた方が見えやすい、と思っていたが
驚くほどに似合わない。
だが付けたり外したりすると不同視なので、
目の疲労も気持ち悪さも酷かった。

失った私の視力を取り戻そうと、
ブルーベリーを必死に食べたこともあったが
そんなことで戻るのであれば誰もがそうしている。

高校生になると、眼鏡からコンタクトへと変えた。
右目にだけレンズを入れると何だか、
生活のバランスが取り辛い気がしたが、
眼鏡よりもずっと楽だった。

右目の視力はいったいどこへ飛んでいったのだろうか
どうせなら代わりに聴力が覚醒するとかして欲しかった

まぁこれも運命か、と思ったら
おしゃれ眼鏡でも作ろうかしらという気になっている

ちなみに眼鏡フェチである。
普段眼鏡をかけている印象がある方が
眼鏡を外した時のギャップとかには
グッとくるものがあるよね、

何の話…

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