2. Superace Alishan / Day2: 50km 獲得標高2,450m
2日目。
初日に力を出し切ったイロキくんは左膝を更に痛めてしまい、リタイアを決断した。私は左膝に若干の違和感というか、痛みがあるものの歩く分には大丈夫だ。
つか、イロキくんのあの姿(杖や人の支えなしでは歩けない状態)を見たら、症状が悪化したら即リタイアしようと思った。
今日も暗闇の中、6時スタート。
他に何人か出走を取りやめたようで、スタート地点で見送ってくれた。
まさかのいきなりの階段下り!!
とにかくひたすら下りまくるのだが、着地する度に左膝に鈍痛が走る。
いつになったら終わるのか、延々に続く(ような気がした)階段下りに絶望する。というか、今まで階段でこんな気持ちになったことはないぞ。
長い長い階段の下りが終わって安堵する。風光明媚な景観を楽しむ余裕ができた。
コウモリのアパートのような岩にたくさんの穴が空いている。これ、どうやってできたのかな?近くをコウモリが飛んでいた。
吊り橋を渡る。
後から人がやってくるとめっちゃ揺れる。ビビったわ。
吊り橋からの眺め。
いいトレイルですわ。
って、ゆっくりトレイルを歩く分には膝には負担はかからないので、今日のロングステージは制限時間をめいいっぱい使う作戦に出たのだが、ふと気がついた。
そういや、チェックポイントの関門あったよね。
ゼッケンに高低図と関門時間が書いてあったはずと見てみると、、
ゲゲッ!!
CP1(13km)の関門は3時間だと?!
ちょ、今日は50kmのロングステージで、制限時間は14時間でしょ?なのに、なんでCP1の関門がこんなタイトな設定になっているわけ??
と、刻一刻と関門の時間が迫ってくる。こういう時に限って、ひたすら登りなのだ。前日、途中まで抜きつ抜かれつしていた韓国人選手達が追いついてきた。
というか、前日は3人いたはずなのに、2人だ。
リーダーのヨーヨーの姿が見えない。彼は前日、私と同じく左膝を痛めて、今朝、しっかりテーピングをして膝を固定していた。が、やっぱりダメなのか?
「彼は決して諦めないからちゃんとゴールする。」
とカンさんは笑顔で言いながら、抜き去っていった。いいなぁ、この信頼感。
そして、山中でスタートから3時間経過。
CP1まであともう少しのはずだが、関門に間に合わずDNFか。ということは、前日のイロキくんみたいにリタイア(変顔?)動画を撮影してFacebookに投稿しなくてはならんのか、、っていうか、いつからこんなしきたりみたいなもんできた?
よし、CP1に着いたら、さっさと「敗者の弁」を撮影して投稿しちゃおう。
(イロキが撮影に加わるとろくな事にはならんことは目に見えておる。)
と、腹を決めて、CP1に到着。
そこには大会主催者のケビンがいて、私に話しかける。
「CP2までは10kmだからね。」
「え?制限時間すぎているからもう終わりじゃないの?」
「いや、関門はないよ。なるべくみんなにゴールしてもらいたいからね。」
いつの間にか関門の制限時間が撤廃され、ルールが変わっていた。
この説明がいつされていたのかすらも分からん。少なくとも英語ではその説明は聞いていない。とにかく、いい方向にルールが変わっていたので、よしとする。
CP2まではひたすらロードの下りだ。
もうこれは重力に体を任せて、足を前に出していけば良い、楽ちんだ。途中で何人か台湾人のランナーを抜いたのだが、その時の彼らの姿が興味深かった。
傾斜のある下りを彼らは後ろ向きでポールをつきながら下っている。抜き去る時に「それって台湾スタイルの下りのテクニックなの?」と聞いたら、「そうだよ、やってみる?」と返された。
いやいや、まず傾斜のある下りを後ろ向きで行くのが怖いっす。丁重にお断りした。
下りきって落ち着いたところでブツブツ言いながら、ビデオ撮影をする。撮影していたら、背後から車の音がしたので、一旦撮影中断し、車が通り過ぎるのを待っていたら、その車は大会車両だった。
ボランティアの若者達が乗っていて、「頑張って」「愛してますー」と日本語で粋な応援をするではないか。
そういえば、昨日はチェックポイントで、私が日本人だとわかると、
「あー、ちょっと待ってください。」
と何か言いたげな様子。彼が思い出すまで数十秒待っていると、
「私は日本のアニメが好きです。」とな。
「私も好きだよ。今はSPY FAMILYが好きかなー。」と返すと、
「私はサスケが好きです。」だって、サスケ?知らんなー。
とまあ、とにかく、皆さん日本が大好きなご様子で嬉しいではないか。
CP2を抜け、CP3まで緩やかに上っていく。
まだトレイルに入る気配はない。集落と集落を結ぶ道路をひたすら登っていく。
あー、このお寺(でいいのかな?)は台湾ぽいなあ。
そして、ムササビが見ることができるらしいトレイルの入り口があったが、残念ながら、このトレイルはレースのコースに組み込まれていない。
ひたすらロードの登りで疲れてきた。
ここで再び、先を行っていた韓国人選手2人と遭遇し、その後も抜きつ、抜かれつとなり、これがゴールまで続く。
CP3を抜けてから、やっとトレイル区間に突入だ。って、あれ?なんか既視感が・・・。
その既視感が確信に変わったのは、日本の神社の遺構を見たときだ。やっぱり昨日のコースを逆走しているんだな。
しかし、ほんとキツい。思わず、ビデオ撮影しながらぼやく。
昨日登った山の頂上にまたやってきた訳だが、今日もガスって何も見えない。
疲れていることもあって、マジでぼやきしか出ないな。
CP4は昨日「ここは桃源郷か?」と思った場所のそばにあった。残り10kmだ。
余程のアクシデントがない限りは制限時間内にゴールできそうである。
最後の10kmはほぼほぼロードの下りだったのだが、最後の最後でトレイル区間に突入、しかもダメ押しの階段地獄で、日が暮れ、辺りがだんだん闇に包まれる。明るいうちにゴールしたかったのだが仕方がない。
トレイルを抜けると、今度はロードをゆっくり登り、やっとこさのゴール。数分前に先にゴールしていた、韓国人選手2人とハイタッチして喜びを分かち合う。
あー、疲れた。
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