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5.Stage5 - 35km ついに最終日/Wadi Rum Ultra2018


いよいよ最終日。

公式記録上ではDNF(Did Not Finish)になっているんだし、電波もバリバリ通る居心地の良いキャンプ地に一日いて良かった気がしていますが、なぜか「お前ももちろん走るよな」的な空気が流れています。

ロキソニンなしではヨチヨチ歩きで、ちょっと離れたトイレに行くのでさえ苦行であることを十分に知っているくせに、お前も出ろ的な空気は何でしょうか。


本日は一斉に8時スタートです。

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みんなものすごい勢いで飛ばして行きます。イタチの最後っ屁ってこういうことなんだなと複数日に渡るステージレースに出るといつもそう思います。体力温存する必要ないし、早く終わらせたいですからね。

私はのんびりと最後尾から歩いて行きます。

スイーパー代わりの救急車とコースフラグの回収車をバックに従えるいつもの光景です。電波が通るような文明世界に戻ってきたので、最初の10kmはなぜか舗装された道路があったり、電線があったり、線路もあったりと、ここは砂漠ですか?と疑問を呈せずにはいられない環境でした。


今日は30kmなのでさっさと終わると思っていたのですが、足の状態と、足場の状態で苦労させられます。もうすぐCP2に差し掛かるというところで、大会スタッフでもある主催者の母ちゃんがやってきて衝撃の発言をします。

「時間がないから、ここからCP2まで車で行って、そこからレース再開するのはどう?」

はぁ?いや、あり得ないでしょう?

いくら公式記録上ではDNFだけれども、一旦スタートラインを切ったからには最後までちゃんと自分の足で行きたいし、今日は制限時間はないって言ってましたよね?

時間がないから、ってどういうことですか?レース中の選手にこんなこと言って動揺させる大会スタッフってどうなの?って思うんですけれども。

「もし、CP2を撤収したいのであればすればいい、私はそのまま歩きます。」

と答えると、主催者の母ちゃんはフッと呆れたような笑みを浮かべ、

「そういうことじゃないのよ。後ろの救急車の人たちは次の予定があるのよ。」

とますます意味不明なことを言う。

「じゃあ、救急車の人は付いていなくてもいいですから。」

「それは規則でダメなのよ。」

と、ただでさえ時間がないと(主催者の母ちゃんが)言っているのに、こんなことで時間を取られる。不毛すぎる。

「あなたは先に進んでいて」と主催者の母ちゃんは救急車の中の人たちと話し始める。

一体何なの、このレース。

あんまりの歯痒さやら悔しさやらで歩きながら涙がポロポロ溢れ出てくる。しばらくすると、車で主催者の母ちゃんがやってきて、

「話はつけたわよ、そのままあなたがゴールするまで救急車は後ろから来てくれるわよ。」

となんかやけに恩着せがましく言われて、思わず「ありがとう!」って言ったけど、違うよね?おかしいよね?変だよね?

CP2についてドクター達の顔見たらまた悔しくて涙がポロポロと溢れ、事情を知らない彼らは「制限時間はないから自分のペースでゆっくり行っていいんだよ。」と慰めてくれます。

そんな彼らですが、私がCP2を抜けた後、最後の10kmを3人で猛ダッシュして走って抜き去って行きました。実は昨日に続いて、これで2回目です。

砂漠を走ってみたいという気持ちはわかりますが、私がこんなに必死で足を引きずって歩いているのに、診てもくれずに、自分たち楽しんでるんだ?
色々おかしいよ?


そういえば、ほとんど砂地で砂丘というものが皆無だったワディ・ラムですが、ようやく砂丘らしきものがありました。

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これを登って行くのかと思いきや、平行に歩いて行く感じで、ほんの一瞬で砂丘は終わりました。うーん、サハラ砂漠のような大砂丘とかはやっぱないようですね。


ガーミンが30kmを示しているのに、なかなかゴールが現れません。

おかしいな、と思っていると、コースの先にサイモンと主催者の母ちゃんが待っていてくれました。サイモンに聞いてみると、

「ああ、ごめん、ごめん。コースの申請をした時は30kmだったんだけど、インドの映画撮影とバッティングしてしまって、迂回するようなコース取りになっちゃったんだよ。途中で撮影隊とか見なかった?」

なんて呑気なことを・・。

この「あと5km」ってやつは永遠に長く感じるやつですよ!

「もう、ここでリタイアします」と喉まで出かかりましたよ。


最後の2kmからは主催者のジェイミーがやって来て一緒に歩いてくれます。ここからはなぜか集落の中を歩いていくという。

日本からの参加者が欲しいというジェイミーだが、こんな運営だとちょっとお勧めできないわ、と思いながら、後できっちりフィードバックしてあげよう。2人で色々話しながら歩きます。

ゴール地点ではランナーやスタッフ総出で出迎えてくれていました。

なんだよ、こんなサプライズ、泣かせてくれるなよ!と思わずワンワン号泣する私。

何だか、このレースでは色々本当に泣かされました。

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