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1.ジョージア 2022 / Day1: Passing through Algeti National Park (39.5km)


レース初日。
なんだか雲行きが怪しい。霧が出てきたので、スタート時間をずらすかもしれないという話があった。

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が、予定通り8時スタート。

Photo Credit: Racing The Planet
Photo Credit: Racing The Planet


選手が一斉に草原の中を駆け出していく。
私は2018年のサハラマラソンで一緒だった日本在住、ウェールス出身のクリスおじさんの後をピッタリくっついていくことにした。

クリスおじさんは世界中のステージレースに参戦しまくっている猛者で、サハラマラソンばかり出続けている私に、
「世界にはもっとすごい景色があるんだから、他のレースにも出た方が良い。」
と言い放ち、私の4 Deserts Grand Slam+挑戦のきっかけとなった人だ。



と、スタートしてから1時間もしないうちにこんなことに…..

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集団ロストだ。
濃霧でコースマーキングのピンクフラグを完全に見失ってしまったのだ。


予兆はあった。
スタートしてからすぐ辺りが霧に覆われ、ただ何も考えず前のランナーについて行ったら、途中からマーキングを見ていないことに気がついた。慌てて、来た場所を戻り、無事にコースに戻れた。

この霧やばいな、気をつけないとな。


と思った矢先に、再び、コースマーキングを見失ってしまったのだ。
クリスおじさん、イギリス人選手、日本人選手のWさん、そして後ろからやってきた何人かの選手とどうしたものかと立ち止まっていたら、

ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!

深い霧の中からホイッスルの音が聞こえてきた。その音がする方向に向かうと、前方を走っていたランナー達がいたのだ。次々に合流するランナーが増え、結局25人(レース参加者41名中)集まった。



運よく電波が届いて、ランナーの中にGPSを持っていた人がいたので、グランドスラム仲間のアメリカ人選手、ジョンがwhatsappを使って、大会本部に現在地の位置情報を送り、連絡を取っていた。大会車両が迎えに来るので、その場所を動かず待機しておくようにと指示を受けていた。


が、いつまで経っても大会車両が来る気配がない。もし、コース上でマーキングを見失っているだけであれば、スイーパーがやってくるはずだが、その気配すらない。


レース初日、しかもレースは始まったばかり、混沌を極めてきた。


その場を動かずにいると寒い。
寒さでガタガタ震え出す選手も出てきた。みんなで固まって暖を取る。



話は二転三転して、大会運営の手際の悪さにイラつき始める人たちも出てくる。結局、CP1のGPS位置情報をもらい、皆で移動することになった。

元軍人で責任感ありまくりのジョンがリーダーシップを発揮する。この場にいるランナーの安全を確保しつつ、慎重にルートを探しながら、歩みを進めていく。こういう時に出てくるよね、その人の本質というか、人間性が。


分岐に到着。

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左に進めばあと5kmくらいでCP1に着くはずで、右に行けばあと数100mで道路に出るがどうする?

ここで多数決を取るジョン。

みんなの答えはもちろん「左!」だ。

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残り5kmくらいと思われるCP1へ向けて歩みを進める。



霧がはれてきて、村らしき集落に入った。

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おおおおーっ、ついにコースマーキングのピンクフラグがあった!!
安堵したのか、和やかな雰囲気になった。


5時間ほど彷徨ってようやくCP1に到着した。
そこにはレーシング・ザ・プラネットの創始者マリーの姿があった。みんな、一斉にマリーに詰め寄って、あーだこーだと不満をぶちまける。

「とにかく早くCP2へ向かいなさい!」とマリーの一喝。

ここまでリーダーシップを発揮して、みんなを無事にCP1に届けたジョンはどっと疲れが出たのか、簡易椅子に座って動かない。

「ありがとう、ジョン。本当に感謝している。」
とお礼を伝えて、先に出発する。この日のジョンの行動は一生忘れないと思う。


って、CP2までに向かうトレイルが地獄だった。
余分に6km既に歩いて、色々あって消耗しているところに急登、山登りである。

Photo Credit: Racing The Planet


バッキバキに心が折れながらも、ゆっくりと国立公園内のトレイルを進む。


CP2に着くと、ここで朗報がもたらされる。
「CP3に着いたらマイクロバスが待っているから、そこからはバスでキャンプ地まで向かうわよ。」

CP3からゴール地点までは約6km。
コースロストして遠回りした距離も約6kmだし、ここで上手いことバランス取れてるじゃん、とほくそ笑む。


CP3まであと9km頑張ればいいんだ、と思うと元気も湧いてくる。


国立公園を抜けて、集落へ入る。

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CP2からは村から村へ渡り歩いていく。
天気が良かったら、草原の緑が太陽の光に反射してキラキラ輝いて、さぞかし美しかっただろうなあと思いながら、テクテク歩く。


ようやくCP3に到着したが、ここで悲報がもたらされる。
「あと残り6kmがんばってね。」
えっ?マイクロバスに乗って、キャンプ地に向かうんじゃないんかい!?膝から崩れ落ちた瞬間だった。

いやね、あと6km歩こうと思えば歩けるよ。
でも、CP2でマイクロバスのお迎えって聞いたもんだから、モチベーションというか、気持ち的にはCP3がゴールのつもりで向かっていたわけよ。この気持ち、どうしてくれますのん?


ボランティアスタッフに文句を言っても仕方がないので、気持ちを切り替えて、ラストスパート、残り6km頑張るわ….。


再び、村へ入る。

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Photo Credit: Racing The Planet

村の素朴な風景に癒される。


が、村の道路は舗装されていないので、雨上がりはぐちょぐちょのドロドロの道と化す。最初は水溜りを避けていたが、一旦、ハマって、靴がぐちょぐちょになったら、もうそんなことはどうでも良くなった。

Photo Credit: Racing The Planet
Photo Credit: Racing The Planet
ジョン、ありがとう。



村を抜け、草原の中に今日のキャンプ地が見えた。

Photo Credit: Racing The Planet



約12時間かけて、ステージ1をクリア。
いやもうまじで色々あって、ほんと疲れたわ。



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●第1ステージ
[開催]2022年6月19日(日)
[距離]39.5km
[スタート] 現地時間 8:00

ガーミンの記録
コースロストにより6km余分に歩いていた
集団遭難した日だった
13km地点が例の分岐地点


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