うそ

横断歩道の真ん中で
君が捨てた嘘を見つけた

どうしようもなく気になって
僕は気まぐれに拾い上げた

中を見ることさえせずに
僕はポケットに忍ばせた

それから夜が更け朝が来て
嘘は僕に笑うから

なんだか心地が良くなって
僕は不思議と駆け出した


嘘は案外転がっていて
僕はすっかり虜になる

君が嘘を捨てるから
僕はすっと跡を追う

何一つとして分からない
君と君の捨てる嘘


そうして僕のポケットは
気付けば張り裂けそうなほど
膨れ上がっていたけれど

いつしか息も絶え絶えに
脂汗すらかきながら
それでもずっとやめられず

僕は今でも続けてる

この身を保つためだけに

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