楽曲レビュー① 「Creepy Nuts/Bling-Bang-Bang-Born」

なんとなく食わず嫌いな印象だったCreepy Nuts。

食わず嫌いというか「"Creepy Nuts"の対象リスナーに自分は入ってないよなあ..」という印象。("R指定個人"として客演に入ったりする曲は別)

なんだけど、ついこの間友達とスノボに行ったときに車内でしきりに流れていた"Bling-Bang-Bang-Born"がなかなかに喰らったのでレビューしてみたい。

前提として、この曲はアニメとのタイアップとして作られた楽曲らしい。アニメ主題歌なので1サビ終わりがちょうど90秒

曲調は"ジャージークラブ"(以下"ジャージー")。特徴的な5つ打ちとドアの軋む音が終始鳴り続けている。

まず全体として、ジャージーの特徴をしっかり押さえながらポップスに昇華しているアレンジ力がすごい。R指定さんのラップも相まってポップになりすぎず"ジャンル:ジャージー"としてちゃんと機能してる印象。

そしてなんといってもラップがすごい。(今更なんだけど...)

じゃあ、どんなふうにすごいラップなのか?

まず前述にもあるとおりタイアップとして書かれてるので前半90秒の間は人物像がやや曖昧に書かれている。なんとなーくタイアップアニメの主人公を想像できるかなという程度。

対して、タイアップ用の90秒が終わった2バース目以降、途端にガッツリR指定さん自身を歌ったラップが繰り広げられる

内容もヒップホップ然としたR指定さん自身のflex(※簡単に自慢的な意味)した内容で人物像もかなりハッキリとした輪郭を持って書かれている。(この書き分けのスキルがすでに凄すぎる)

学歴もない、前科もない、余裕でBling-Bling
通常、一般社会で生活する上で他人に対して「私前科ありませんよ〜」なんて明言する必要はない。
なぜなら前科がないのが"当たり前"だからだ。
あえて言及することによって「前科はないけどアウトローに近しい文化圏にいますよ ≒ 私は"ラッパー"ですよ」ということを暗に示しているのだと解釈できる。

また、「高級車は買える、免許は無い、愛車Green,Green」のラインは、「高級車買えるほど自分は売れた」というかなりラッパー然としたflexなんだけど「免許は持ってない」。
ここで一旦自虐的な内容が入ることで、僕らリスナー側は「..いや免許持ってないんかーい」とツッコミを入れたくなる。
...と思った矢先ツッコミ終わったところ不意を突くような「愛車Green,Green」のラインがやってくる。
免許は持ってないけど全国ひっきりなしに飛び回って、おまけに毎回新幹線グリーン車移動だからもはやグリーン車が愛車だよね?笑」という「俺ら人気もあるし、金もあるぜ?」とも取れる完璧な内容のflex...

この「flex→ボケ→と見せかけてflex」をたった一行で表現しきるラップスキルについガンフィンガーぽんぽんです。

その間楽曲にしてわずか2秒..!!

タイアップとして作られながらもここまで面白おかしくflexしたヒップホップ然なラップをかましてくれるCreepy Nutsに脱帽ですまじで...

あとは個人的にタイアップとして企業やオーバーグラウンドの土俵に乗りバビロンたちの期待に応えながらもちゃんとやばいラップしているところにめちゃくちゃヒップホップ感じるぜ...(サウンドもそう)

こんな感じでBling-Bang-Bang-Bornを聴いてましたとさ...

Ren Takahashi

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