Artificial Flowers

亡くなった立川談志師匠の

”人間は不快感の解消、不安からの逃避で生きているもの”

その不快感の解消を己でするのが「文化」
他人の造ったもので解消するのが「文明」

快適さを精神において追求するのが「文化」
快適さを物質に頼って求めるのが「文明」


まず、この考えを頭に叩き込んでおくべきなのだろうと思う。

この数十年間の日本ってのは、金、物質、目に見える「形」としての幸せの追求をひたすら行ってきたと言える。

それって、戦争特需でもあったってことなんですけどさ。

焼け野原になって、モノが無くなった、家が無くなった。それを取り戻さなきゃいけなかったからこその文明の発展だったと言える。

三種の神器、白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機・・・それがカラーテレビ、クーラー、自家用車に変わり。

その「文明的な価値観」を扱ってる製品が飛ぶように売れ・・・そのテレビやラジオの中で扱われていたものが「文化」を「文明的価値観」で消費したって事なんだよな。

けど、それは「かつての日本の文化」ではなくて「アメリカやヨーロッパの文化の借り物」であり「自分たちが育んだものではない根無し草の文化」でしかなかった、という事でもある。

ただでさえ借り物でしか無かった薄っぺらい内容を更に希薄にしていくんだから。 文明的価値観で作られた似非文化

80年代頃から「本当にそれでいいのか?」という疑問符が出てきて、遅まきながら色々な考察を進めようとした矢先に、バブルがはじけた。

そこで、文化を育もうとした流れが、バッサリ切れた。

ほら見ろ、やっぱり金が大事だ、と言いながら・・・文明的価値観で作られた似非文化は拡大していった。

けど、結局、文明的な価値観で作られた文化モドキでしかないものは、だからこそ「文明の衰退と共に消えていくしかない」ってこと。

最初から最後まで、その民族に根差してない価値観を考えもなしに身にまとっていただけだから、いつまでたっても板につかない。

その上、その文明が、再び、崩壊の危機に至り。

本当は、その文明の危機を救うヒントになるはずの文化の側が、いつまでたっても、文明の危機を救う事ができないでいる。

だって、それは、文明の上にしか咲かない「造花」でしかない。

そういう「文明的な生活」に慣れ親しみ過ぎて、カネで買える文化しか育んでないからだ。

だから、金回りが悪くなったら消えていこうとしてるだけのこと

文明の質の劣化に先立って、似非文化の質の劣化が起こり・・・音楽を始めとするアートが、日本に根付いていたようで、実は根付かないまま「昭和の残光」として空虚に消費されていただけの事でしかない。

「文明的価値観で作られた仇花」だ。

博愛で接しなきゃいけない政治に対して、文明的価値観に満ち溢れた「金のない奴を卑下して、金のある人だけ優遇する」差別的な愛を持ち込んだ挙句。

新自由主義とは、そういうものでしかなかったし、ロックとは、人間性を否定する人たちと、新自由主義を拡散しようとする人たちへの全面的な反抗姿勢であったことを忘れてしまった。

その癖、文化に妙な博愛主義を求めてる。文化と文明の匙加減さえ、逆だったりして

何で、この国、おかしなところだけ世界と全く反対の要素に物事を固めたがるんだろうね。そこだけは、常日頃から、疑問符がついてならないのよ。洋の東西を問わない、人間の本質的な動きは、文化とか文明とは、また別な所にある。その本質の追求、ってものを追求する学問も、また存在してるんだけどね。

で、何遍言っても分かんないのね。歴史を勉強してないから。

その先は、崖だの滝だのしかありませんけど、引き返すには遅すぎたのかねぇ。危険なほどの川の流れに乗ってるから。必死に逆方向にこぐしかないのに。

おお!速く進める!とか勘違いして、滝方向にこぐバカがいるか。
その先が滝だからこそ、流れは速い
のだ。

「文明的価値観」に飼いならされて育った文化の形骸

或いは、究極の文明であるところの壮大な都市空間に住むには、住む人間にも「ある種の鈍感さ」が必要になるから、いざという時の危険を察知する能力というか、それこそセンス(感覚)が失われる。

ノイズ、気配、そういった音が、四六時中ひっきりなしに鳴り響いている空間で眠れるほど、人の神経はそこまで図太くはない。

そんな空間で眠れるためには、ある種のずぶとさとか、タフさが必要になるのも事実だろう。田舎の静かな空間で過ごしてきた少年少女にとっては、見るもの聞くモノが斬新ではあったとしても、それは常に心を苛む刃でもあるのだった。

都会という文明の中で、かつての田舎的な素朴なライフスタイルを提唱し、それを文化と呼ぼうとする動き。

文明という都市の中に、文化という本当の花を置くことが出来なくて、
部屋の片隅に一輪の造花を飾って、それを無理に文化と呼ぼう
としてた。

だからこそ、それは枯れないし、自力で変わる事も出来ないまま。


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