#7 恋庭で自分のコミュニケーション感覚を知ろう!(その3)
ケーススタディの準備
前回までのノートで、恋庭における言語/非言語コミュニケーションの様々な特異性について検討してきました。
ざっくりおさえておきたいポイントは
①恋庭のコミュニケーションは現実のそれとは大きく違う
②顔が見えず声が聴こえない分、文字の果たす役割が大きくなる
③それ以上に、文字以外の様々なプレイスタイルが相手に強烈な印象を(良くも悪くも)与える
この三点です。
さて、ここまではシステムの概論でした。
ここからは、自己覚知のためのケーススタディです。
なんで収穫してくれないの?! その時あなたは……
一週間に何回かはTwitterでも見掛ける案件ですね。
「なぜか相手が全然作物を収穫してくれない!」というケースです。
あ、今回は先にこれの解決方法を書いておきます。
「お時間あるときに収穫おねがいしますね!✨」と一言メッセージを送る。
以上!
……いや、これ以外にやりよう無くないですか?
これで「わかりました!」と返事が来て、フレンドさんがちゃんと収穫してくれるようになったら解決。
そうならなくて「合わないなぁー」と思うなら、フレンド解消。
とりあえず、目の前の事例の解決はこれで十分だと思います。
しかし、これはあくまで事例の解決であって「問題の解決」ではありません。
まずはこの事例の問題の本質を分解するところから、改めてケーススタディを始めましょう。
事件は恋庭で起きてるんじゃない!
じゃあどこで起きてるのかと言うと、そこはもう表題でネタバレしてる通りです。
恋庭の収穫で起こっている出来事は「自分のコミュニケーション感覚」の問題へと還元されるのです。
どういうことなのでしょうか?
まず、今回生じた「事実」に注目しましょう。
「相手が作物を全然収穫してくれない」というのが、今回の事実、事例です。
では、それによって「自分の中」では何が起こったのでしょうか。
少なくとも、何かしら思うところがあるからTwitterに呟いてみたりするわけですよね。
このケースでは「モヤっとする!」って方が多いように見受けられます。
つまり「相手が作物を全然収穫してくれないから、『私は』モヤッとする!」が問題の本質です。
例によって今回も『私は』と言うのがミソです。
モヤッとするのは他でもない自分の話ですから、まずはこれをキャッチしましょう。
さて、では改めて問います。
なぜあなたは「モヤッとしている」のですか?
相手が全然収穫してくれないから……じゃない!
え? 違うの?
……となってしまった方がいらっしゃったなら、このチャプターの意義はまさにそこにあります。
そうです、違うのです。
相手が全然収穫してくれないことは、あなたの「モヤッと」の原因ではありません。
あなたの「モヤッと」の原因は「相手が作物を全然収穫してくれないときに、それを相手に伝えないでモヤッとするというコミュニケーションのクセをあなたが持っているから」なのです。
ややごちゃっとしている文章なので、もう少し一般的な表現にすると
あなたは、自分が期待した動きを相手がしてくれないとき、それを相手に伝えるより先にモヤッとして立ち止まるというクセがある
ってところでしょうか。
上で書いた通り、モヤッとした瞬間にこれを相手に伝えれば、モヤッとし続ける事態を自分で打開することができるはずです。
しかし、あなたはそのコミュニケーションのクセゆえに、そうはしなかった。
これは「良い」とか「悪い」とかの話では、もちろんありません。
あくまで単なる「クセ」です。これをニュートラルに捉えるのが、とても大切なポイントです。
別にそのクセを改める必要は一切無いのです。
ただ単純に「自分には相手が期待した動きをしてくれないとき、モヤッとして立ち止まるクセがあるんだなぁ」と自分で認識することが大事なのです。
自分を「モヤッと」させ続けるのは、相手ではなく自分のクセなのだと認識することが、次の思考の起点になります。
では、こんなクセが自分にあると認識できたなら、これを恋庭にどう活かせばいいのでしょうか?
モヤッとしたくないときの処方箋
もしあなたがモヤッとしたくないのなら、頓服薬として一番有効なのは「自分がモヤッとした原因を知ること」です。
なんか矛盾してるようにも思えますが、自分がモヤッとしている原因が相手の行動ではなく自分の思考のクセにあると思い至れば、なんかその時点で少しモヤッとは軽減されます。
少なくとも、原因がわからないモヤモヤからは解放されるからだと思います。
加えて言うと、自分の思考を変えたり展開させる方が、相手と交渉して相手に行動を改めさせるよりもずっと省エネです。
原因が自分の中にあった方が、対処が楽なのです。
その上で、それをわかった上で、改めて相手に「お時間あるときに収穫お願いしますね!✨」と伝えられれば、ここで初めて問題は解決します。
この時点で、上記のメッセージは「相手を期待どおりに動かすための交渉」ではなく「自分のモヤッとを解消するための儀式」に近いものになっているはずです。
また、その1でも書いたとおり、メッセージの文字が持つ力が通常よりも強いので、こちらの意図もよりストレートに相手に伝わりやすいです(逆に言えば、イライラモヤモヤしながら作った文章は内容に関わらずその感情まで含めて相手に伝わりやすいです。気を付けましょう!)。
あとは、お相手の動き方次第でどうするかを考えればいいのです。
勿論このときも、ここまで紹介してきたことと同じ手順で思考を展開させるのが望ましいです。
恋庭で自分のコミュニケーション感覚を知ろう
改めて表題に立ち戻ります。
僕がケーススタディの教材として恋庭がとても有効だと思うのは、最初に書いたとおり「意思疎通の形式がデフォルメされていて、自分の感覚がはっきりと感じ取りやすい」からです。
今回で言うと、相手がゲーム目的を果たしてくれないときの「モヤッと」が「モヤッと!!!」ぐらいには感じられるというのがポイントかな?と思っています。
相手の姿が直接見えないぶん、文字からも、文字以外からも色々な情報を読み取る体験が自然に得られます。
そしてまた、ゲーム自体の没入感も相まって、普段よりもそれらの情報に対して敏感になることができます。
逆に、恋庭で生じる様々な問題にモヤッとしている方が多いのは、この普段と違う感覚をなかなか明確には認識できておらず、しかも普段よりもより鋭敏になる自分の感覚のクセを計算に入れていないからではないかと想像しています。
なので今回のチャプターでは、恋庭の持つ特異なコミュニケーション空間の特性の解説と、それを利用して自分のコミュニケーションのクセ、コミュニケーション感覚を掴むケーススタディを同時に行ってみました。
これは恋庭以外でのマッチングアプリでも応用できる内容だと思うので、もし何かのお役に立てば幸いです。
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