#8 恋庭で学ぶ「許す!」のススメ(その1)
前書き
恋庭で相手に腹が立ったり、モヤモヤしたり、それによって恋庭そのものへのモチベーションが低下してしまったとき。
相手を許せれば、楽になります。
逆に言えば、許せないから腹が立ったりモヤモヤしたりするのです。
恋庭に限らず、色んなところで耳にしたり見かけたりする、広く一般的なライフハックですよね。
寛容な心を持ち、相手を許す。
あるいは(正しい方法でもって)「相手に期待しすぎない」という態度をとる。
これができれば、色々なことがグッとはかどるようになるというのは、まぎれもない事実です。
だがしかし!!!!(急に大声)
そのためには、そもそもあなたが「許す」と言う行為、あるいは「寛容であること」を強制されて、それ自体にストレスを感じる状況から脱却しなくてはなりません。
なんでもかんでも穏やかな気持ちで許せるなら、最初から苦労はありませんからね。
「なぜワシが譲歩せにゃならんのだ」という自意識を無視して、ストレスを抱えたまま寛容を演じることはまったく本末転倒です。
なにより、これでは「自分を許せない」という状況に陥ってしまっています。超ストレスです。
では、なぜ恋庭においても「許す」が難しいことなのかと言えば、この恋庭というゲームをプレイするにあたっての「前提」というものを、実は多くの人が明確に自覚していないからなのではないか?と僕は思います。
なので、今回のチャプターではまず「許す!」の気構えを作るための、文字通り「前提」について、確認していきたいと思います。
みんな「コミュニケーションを恋庭で試みる」という縛りプレイをしている、という前提
#7まででダラダラと述べてきたように、コミュニケーションツールとしての「恋庭」は、その魅力的なゲーム性や出会いの場としての利便性と引き換えに、我々のコミュニケーションの手段にかなりの制限を設けています。
僕らの表情はアバターの笑顔によって代替されます。
僕らの声色は、ゲーム内チャットでは文字という情報に還元されます。
僕らの行動は、収穫や作付け、プレゼントといったゲームシステムに則った行動のみで表現されます。
つまり、現実にありふれた自由(と思われている)コミュニケーションに比べて、恋庭のコミュニケーションは相当デフォルメされている、ということです。
さて、ではそもそも僕らは一体なんのために恋庭をプレイしているのでしょうか?
恋愛・婚活・友達作りが目的の方は、とるもとりあえず「コミュニケーション」そのものが目的である、と換言できますね。
ゲーム(オブジェ強化、アバター収集)が目的の方は、しかしその達成のために、誰かと協力して恋庭を進めなくてはならないデザインになっています。
つまり、この場合も「誰かとコミュニケーションを取ることが必須となる」ということを了承して、ゲームに臨んでいると言えます。
要は、恋庭プレイヤーは全員漏れなく、この「デフォルメされたコミュニケーションしかできない環境」に望んで身を置いている、ということですね。
みんなが恋庭を継続的にプレイする限りにおいて、「恋庭というデフォルメされたコミュニケーション空間でコミュニケーションを取ってみる」という、いわば縛りプレイに興じているのです。
これが「前提」です。
この前提を忘れてしまうことの最大のデメリットは、恋庭でのコミュニケーションは常に「全ての意思疎通を可能としている」という重大な勘違いをしてしまうという点をおいて他にありません。
大幅にデフォルメされた情報しか伝えられない恋庭のコミュニケーションが、自分の思い、価値観、要求、要望を全て相手に伝えている……あるいは「伝わるべきだ!」と無邪気に信じてしまうこと。
この無邪気な信仰と、「(デフォルメされていて)伝わらない!」という現実の間に厳然と存在するギャップが、あなたから「許し」や「寛容さ」を奪い去ってしまうのです。
例えば
「恋愛目的でマッチングしたんだから、当然会話をお互い広げていく努力をすべきだ」とか、
「ゲーム目的でマッチングしたんだから、当然『会ってみよう』とかいう話はするべきではない」とか、
「恋庭を二人でやっていくんだから、当然最初のホウレンソウぐらいはすぐに収穫すべきだ」とか……
あなたがもし、これらの「当然〇〇すべきだ(すべきでない)」に違反する状況に直面したときにイライラしたりモヤモヤしたりするのなら、その理由は一つ。
その「〇〇すべきだ(すべきでない)」が、無条件に相手と共有できていると言う前提こそが誤りだからです。
率直に言って「言わなきゃ伝わらん」です。
言わないのに伝わってると思うから、その期待が裏切られてイライラモヤモヤするのです。
しかも、相手があなたの意に沿わないプレイングをしたとき、あなたの眉間に寄ったシワや深い溜め息は(幸いにも)相手には伝わっていません。
なぜなら、あなたのアバターは変わらずおしゃれな服装で、しかも笑顔のまんまだからです。
これが「デフォルメされたコミュニケーション」の実態です。
ここで、お互いのコミュニケーションが「伝わらない前提」「デフォルメされた前提」を持つことが、自分自身が納得した上で相手を許し、相手に寛容になるための第一歩になります。
「許す!」のススメは、ここから始まります。
次のチャプターでは上記に挙げた3つの「すべきだ(すべきでない)」の例について、具体的にどんなプロトコルで「許す!」に持っていくのかを示してみたいと思います。
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