#5 恋庭で自分のコミュニケーション感覚を知ろう!(その1)
導入
前回までの「恋庭で自分を知ろう / 会話が全然盛り上がらない!」編では、実際に「会話が盛り上がらない」という状況から自分の価値観を掘り起こすまでの一連のシミュレーションを試みてみました。
あれを読んでティン!と来た方も、まったく来なかった方もいらっしゃると思いますので、今回は恋庭という少し特殊な教材にまつわるもう少し概論的、システム的な話をしてみたいと思います(最初は#1のノートのおさらいから始めますので、内容が大きく重複しています)。
普段のコミュニケーションあれこれ / 目は口ほどに物を言う?
対面コミュニケーションの有名な先行研究として「メラビアンの法則」があります。
これによると、僕達が対面で誰かとお話するとき、お互いに相手から受け取る情報(≒受け取る印象)の影響力の比率は
言葉:口調:表情=7:38:55
となるそうです。
言葉は発した音声の意味内容、口調は語り口やスピードなどの聴覚情報、表情は顔や身振り手振りなどの視覚情報です。
ざっくり言って、日常の対面コミュニケーションの場合、言語そのものが運ぶ情報・印象は全体のわずか7%に過ぎず、93%をそれ以外の非言語のあれこれが媒介しているということになります。
「目は口ほどに物を言う」というやつです。
「目が笑ってない」とかもこれに類する現象かもしれません。
言語情報と(目を中心とした)表情にズレがあるとき、多くの人は表情の方の情報・印象に重きを置くんですね。
恋庭はとてもユニークなコミュニケーションツール?
結論から言うと、恋庭はあなた(プレイヤー)に対して、非常に特異なコミュニケーション空間を提供しています。
この場合の特異とは、メラビアンの法則が適用されるような日常生活でのコミュニケーション形式とは大きくかけ離れている、という意味です。
その理由を一つずつ見ていきましょう。
まず、恋庭での最も積極的でありふれた意思疎通の形式は「メッセージ」です。
メッセージは、文字と絵文字(顔文字)、そしていくつかのスタンプによってのみ、意思疎通を可能とします。
システム上、メッセージとアクション(アバターの動作)をシームレスに併用することは一般的ではないので、やはりベースは文字によるコミュニケーションだと言えます。
これはすなわち、普段の意思疎通で使っている要素の93%分がごっそり省略されているということに他なりません。
メッセージのやり取りでは、あなたの声も表情も相手には伝わらないからです。
その伝わらない分を代替するために、多くの人は純粋な言語と共に絵文字や顔文字、スタンプなどを併用して、擬似的に視覚情報を付与しているわけですね。
だから、メッセージに絵文字や顔文字が無いと、いきなり無機質、無表示、無愛想な印象になるのです。
また、度重なる誤字・脱字や慣用句の誤用、助詞・副詞のミスなどは、口頭での言い間違いと比べて結構致命的な悪印象に繋がってしまったりします。
印象に対する文字の占める割合が大きいゆえに、当然そういう問題も起こってくるでしょう。
ともあれ、やはり普段の対面コミュニケーションと比べると、その意思疎通の形式は大幅にデフォルメされていると考えなければなりません。
この認識をおろそかにしていると「初対面の人と、文字だけのやり取りでどうやったら仲良くなれるんだ……?」という大きな疑問にぶち当たることになります。
一方で、このことをちゃんと認識している人は、普段よりもことさら言葉遣いや表現に気を遣ったり、相手の言葉一つ一つを丁寧に拾い上げることで、大きなアドバンテージを築くことも可能です。
さて、ここまでは恋庭における「言語的コミュニケーション」の特異性に注目してきました。
次回「恋庭で自分のコミュニケーション感覚を知ろう!(その2)」では、恋庭における「非言語的コミュニケーション」の特異性について、更に深堀りしていきたいと思います。
恋庭のコミュニケーションを極めてユニークなものにしているのは、実はこちらの非言語的な要素の方だったりするのです。
そして、多くの人が頭を悩ませるのも、こちらの方の問題だったりします……
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