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#3 恋庭で自分を知ろう / 会話が全然盛り上がらない!(その3)

会話が盛り上がらない「モヤッと」から「自分の価値観」を知る

 今回は、前回の話まとめるところから始めます。
 会話が盛り上がらない!となったとき、それがどうして盛り上がっていないと感じるのか?は人それぞれ千差万別です。
 ある人は「相手が『そうですね』としか言ってくれないから」、またある人は「返信までの間隔が長すぎるから」と感じています。
 しかし、その様々な事例に共通しているのは「モヤッとしたから盛り上がっていないと感じた」と言うことです。

 「盛り上がっていないからモヤッとした」のではありません。
 「モヤッとしたから盛り上がっていないと感じた」のです。

 この前提に立てば、必ずそこから「自分の価値観」を導出することができます。
 感情が何らかの形で動いたときというのは、自分の価値観の琴線に何かが触れたときだからです。

 例えば……

 「相手が『そうですね』としか言わないからモヤッとする」人は「会話を『そうですね』で終わらせるべきではない」という価値観を持っている
 「返信までの間隔が長すぎてモヤッとする」人は「一日に何往復がぐらいのメッセージをする時間は確保するべきだ」という前提を持っている

 ……という具合に考えることができます。
 このあたりの価値観や前提は、実はほとんどの場合、自分自身にとってもブラックボックス(無意識)になっているものです。
 まずはこれを、ケースに応じて少しずつ自分に対して明文化し、可視化してみましょう。

自分の価値観を知ると、何が変わるの?

 結論から言うと、全てが変わります。
 大袈裟ではなく、ほんとにぜんぶ変わります。

 僕の場合を例にしてみましょう。
 前回書いた通りで、僕は話が盛り上がっていないとき「自分ばかりが頑張って話を続けようとしている、だから寂しい」と感じることがあります(僕は「モヤッ」というよりは「寂しい」と感じることの方が多いです)。
 ここから逆算して、

「誰かと会話を一緒に楽しみたいという価値観を持っている」
「一方的な会話をすることは寂しと感じる価値観を持っている」
「僕だけが話を続けようとしていることに違和感を覚える感性を持っている」
「恋活なんだからお互いに話を続けようとする努力をするべきだという前提を持っている」

 ……と言ったことが自己覚知できます。
 この導出のコツは「起こった事実と感じた感情だけを手かがりにして考える」ことです。
 この辺の話はまたいずれ詳しく書きたいと思っています。

 さて、上記のようなことがあらかじめわかった状態で、また会話が盛り上がっていないなぁという場面に出くわしたとしましょう。
 例によって僕はなんとかして会話を盛り上げようとしていますが、イマイチ僕だけが空回りしているような状態になってしまい、そして「なんだか寂しいなぁ」と感じます。

 ここで「なんだか寂しいなぁ」という自分の感情を、自分でキャッチできるかどうかがとても重要です。
 「話が盛り上がらないこと」ではなく、それによって「なんだか寂しいなぁ」と感じたことをキャッチするのです。
 ここから思考が展開し始めます。

 なぜ僕はこのとき「寂しい」と感じたのでしょうか?
 それは、僕は相手と会話を楽しみたいと思っているのに、相手は会話を楽しんでいるふうではないからです。
 また同時に「そう言えば僕はマッチングした時点で、まだ会話が始まっていなくてもなんかすでにワクワクして楽しい気持ちになってたんだな」という自分の気持ちにも気付きます。

 従って、この「寂しさ」の本質は「温度差」である、ということになります。
 すると、

 「自分はマッチングした時点でなんかすでにワクワクして楽しい予感がしてるけど、相手はそうでもないらしい」

 ということに、ここではじめて思い至ります。
 「自分と相手は、違う価値観を持っているのだ」という当たり前のことに、ここでようやく気付くことができたのです。

 そして、

 「だとすれば、それはなぜだろう?」
 「なにかマッチングしても楽しく思えない理由があるのだろうか? そして楽しくないのにいいね!をしてくれた理由は一体何なのだろう?」

 ……という感じに、僕の場合は思考が展開します。
 これは僕が生来「初対面の相手に対して強い興味と関心を持つ性格だから」です。
 だから、相手と会話を一緒に楽しみたいなぁと思っているわけですね。

 さて、驚くべきことに、この時点で僕の感じた「寂しさ」は、すでにさほど重要な問題ではなくなっています。
 今ここに、より鮮明に存在しているのは「相手への興味」になりました。

 僕の中で「寂しさの自覚」から始まった思考は、やがて「お相手はいまどんな気持ちで恋庭をしているんだろう?」という興味関心に展開したのです。

 ちなみに、このケースでは僕はお相手に「ひょっとして、恋庭でメッセージのやり取りするのってあんまり楽しくないですか? ○○さんがどうにも楽しくなさそうに見えてしまって、話の組み立てが下手だったかなぁと心配になってしまいました」って言っちゃいました。

 すると、意外とそこから「こちらこそすみません、文章のやり取りが苦手で……」という感じにお相手の自己紹介が始まったのです。

 はい、会話が続くようになったので寂しさはなくなりました!
 お相手もいきなり突っ込まれてびっくりされたことだと思いますが、結果的にはこれのおかげで割と早い段階で腹を割った話ができたのでとても楽しかったです。

 さて、この一連の流れは僕の固有の思考の展開によるものなので、これを一般化しようとしても「会話を盛り上げたいなら相手に関心を持ちましょう」ぐらいのアドバイスに留まります。
 無為ではありませんが、このままでは必勝法といえるほどでもありません。

 やはりミソは「自分がどんな価値観でどんな感情を持つのか」を自覚することなのだと思います。
 自分なりの思考の展開のルートを構築する必要があります。

 次回は「恋庭で自分を知ろう / 会話が盛り上がらない!(その4)」で、自分の価値観を自覚するための手順をもう少しだけ一般化してお伝えできればと考えています。

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