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奇祭「ウンナー」について語らせて(2023年版)

 伊是名島を代表するお祭りの一つに「ウンナー」という奇祭があります。
 ウンナーは島内の4地区(部落)で行われ、各地区の違いがあります。その中でも伊是名地区がめちゃくちゃカッコよかったので、ちょっと語らせてください。


ウンナー基本情報

 ウンナーは豊作を祝うお祭り。旧暦の6月17日以降、4つの地区が、勢理客・仲田・伊是名・諸見区という順番で、各土曜日ごとに開催されます。※地区ごとに変動アリ
 祭りは東(アガリ)と西(イリ)に分かれて争います。バチバチの戦いという訳ではなく、そこはお祭りらしくより騒いだもん勝ちみたいな雰囲気。

大まかな流れ

 まず拝所で祈願をしたあと、アガリとイリそれぞれでゴールとなる公民館を目指して練り歩きます。
 アガリとイリが公民館に到着したあとは、歌ったり踊ったりするガーエー(方言で争い・喧嘩などの意味)でひとしきり盛り上がったあと「スナイ」が行われます。

 スナイは男性2名1組が板に乗り、それを祭りの参加者で担ぎ上げ、アガリvsイリで取っ組み合いをするイベント。勝敗は板から落ちた回数で決まるとか、決まらないとか…。

 そのあとは来年の豊穣を願う綱引き対決。一応住民は、アガリとイリの住み分けがされているらしいのですが、他地区の人も観光客も参加するので勝敗は運次第という気がします。ただ、勝ったらめちゃくちゃスッキリします。

 綱引きが終わったあとは綱を丸く囲んで土俵を作り、子ども相撲が開催されます。子ども相撲は地区の子ども達が年齢別で対戦し、勝ったら景品、負けたら参加賞がもらえるほっこりしたイベント。それを観戦しながら酒を飲むなどして、各々でフェードアウトという流れ。

今回は公民館前から参加スタート

 観光客や他地区の人は、だいたい公民館前のガーエーから参加。いい感じに温まってるアガリとイリが到着すると、さらにドンチャンして盛り上がります。

この日のためのウンナーTシャツも各地区で販売。2023年の伊是名地区は黄色だった様子。

スナイは部落ごとに違いがある

 実はスナイがいちばん盛り上がると言われるのは仲田という地区で、わりとガチ目にぶつかり合って板から落ちていくので、見てる方もハラハラドキドキが止まりません。
 なんかこの感じ知ってるぞ…あ、プロレス観戦したときこんな気持ちだったなと思いました。目を覆いたくなったり声援を送りたくなる感じ。
 ちなみに板に乗る人は事前に打診があるそうですが、仲田の板は身内(主に女性)から反対されがちです。そのくらい見ていて危ない。

 今回見に行った伊是名地区は、スナイの前に支度という組踊の演目があります。演目内容は毎年変わるそうで、まったり見られるかと思いきや別の意味で興奮しました。

組踊も板の上で
 ウンナーは旧暦の6月、新暦にすると大体7月末や8月頭に当たり暑い時期に行われますが、支度の演者さんは組踊の化粧をして、衣装の着物を着ています。
 化粧のせいか涼しげに着物を着こなしているように見えて、凛とした風貌がカッコイイ‼︎
 板を担ぐ人は出来るだけ水平に上がるよう、息を合わせて板を持ち上げます。
 このとき板だけが綺麗にスッと持ち上がり、夜の街灯に照らされた板上はスポットライトが降り注ぐ舞台のよう。
 持ち上げる側の呼吸のピッタリさや、板の上で堂々とたたずむ演者さん。とても美しく、これだけでも見る価値がある光景でした。
 これが翌日には軽トラか漁船にのったおっさんかもしれない。と思って見ると、カッコ良さのギャップにも萌えます。

壮観‼︎
アガリ(東)とイリ(西)の板がゆっくり近づきます。
近づくまでそのままのポーズ。

 組踊の作品の一部が演じられるらしいのですが、台詞は方言で何言ってるかわかんないのが悔やまれる。
 人力で支えている板の上ということもあり、一つ一つの所作が慎重で丁寧に進められます。

刀を振り上げて戦うところで終演!マンガだとめっちゃいいところで終わるやつ。

全てがカッコイイんです
 上の人は台詞を覚えるプレッシャー、下の人は演技中できるだけ動かず支え続ける力強さ、どちらもすごくてカッコイイ‼︎とめちゃくちゃ感動した演目でした。
 また終わったあとは、声をかければ一緒に写真を撮ってもらえたりするので、観光の方には旅の思い出にオススメです。

スナイもあるけど近づくだけ
 支度のあとはスナイ開始。コロナ禍で4年ぶりの開催ということもあり「久しぶりで怪我したら困るから近づくだけですよー」とアナウンスがありました。安心感のあるスナイですが、おそらく物足りないフラストレーションがこのあとの綱引きで爆発してるのかもと思われます。

スナイは支度と違い、板をワッショイワッショイと揺らします。

綱、ちぎれる
 綱引きはなんと綱がちぎれて引き分け。近年はウンナーのためにやって来る観光客も増えたので、参加者が増えすぎて綱がちぎれてしまうとの話でした。後日別の地域も見に行きましたが、やっぱり綱切れで終了。なんとも歯がゆい結果でした。

大人のビールを代わりに持つ子ども達。シュールな絵面です。

今年は4地区開催なるか!乞うご期待
 2023年は台風接近で2地区が中止、メインと言われる仲田のスナイも見られませんでした。今年こそはコロナ禍と台風を経て5年ぶりの開催なるか、仲田地区のウンナーにも注目です。

スナイと子ども相撲用に砂が撒かれます。

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