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スズキの南蛮漬け ブルゴーニュの正統派シャルドネの伸びやかな果実味

海外駐在中に仲良くしていた他社の友人(私の3つ年上だがタメ口の仲)と、帰任後しばらくが経つがときどき飲みに出かけている。今回は浅草のくずし割烹、しま正に集合した。
友人は午後休みだったので集合前にすでに数杯ひっかけてきていて、カウンターに座った瞬間からオジサン全開でシラフの私に下ネタ砲を炸裂する。メニューを選びながら、このメニューはどんな味なのかな~などと会話していると女将がカウンター越しにさりげなく説明してくれる。友人の下ネタはしっかりとスルーしてくれているが私は冷や冷やして落ち着かない。出来上がった友人は下ネタを止める様子はなく、私は急いでビールを数杯飲み干し、酔いで自分を鈍感にしていく。
食事の注文は魚料理に鱸(スズキ)の南蛮漬け、鱈の白子さっと煮、カマスの塩焼、アイナメとナスの揚げ出汁、土鍋 牡蠣の炊込み。加えて肉料理を数品。
ワインはロワールのものを注文したところ在庫がなく、代わりにブルゴーニュ ペルナン・ヴェルジュレス村のシャルドネのものを勧められた。メニューでは9,000円少々だったが、最初に選ぼうとしたロワールのワインと同じ6,000円で良いと言う。ありがたくブルゴーニュを頂くことにする。
 
まずは鱸(スズキ)の南蛮漬けが提供される。

“南蛮”は室町時代から江戸時代にかけてスペインやポルトガルなどの国々を指す言葉であったが、南蛮諸国のエスカベージュという揚げた小魚を酢漬けにしたタパスがあり、南蛮貿易によって九州に、そして全国に広まったものとされる。
過去にはシシャモのエスカベージュにワインを合わせている。

料理は揚がったスズキが酢に浸かっていて、その上に細切りのタマネギとネギの千切りが乗り、柚子の皮が少々。爽やかな柑橘香がプラスされている。南蛮漬けの酢とタマネギと合わさり、口内は非常に爽やかに。下ネタオジサンのトークを散々聞いた後、心地よい口直しだ。
 
ドメーヌ・ロラン・ペール・エ・フィス, ペルナン・ヴェルジュレス, ブラン, 2017, 約6,000円(レストラン価格)
Domaine Rollin Pere et Fils, Pernand-Vergelesses, Bourgogne, France

フレッシュな柑橘の香りを伴いつつも収穫から5年を経て程よい落ち着きも同居。
風味には透明感高く、ピュアでのびやかな果実味が魅力的、微かな塩味やミネラルのニュアンスにも富む。最近、イタリアワインにはまっていたこともあり、正統派ブルゴーニュから遠ざかっていたが、やはりブルゴーニュは良いと全身がウェルカム・モードだ。
スズキの南蛮漬けに合わせる。酢、タマネギ、ネギ、柚子で爽やかに味付けられたスズキの揚げ。上品で柔らかな脂のスズキは揚がったことで風味が凝縮し、やや強めの味付けにもしっかり渡り合う。そこにワインの伸びやかな果実味が絶妙に調和し、塩味やミネラルのニュアンスはスズキの磯の香りに見事にシンクロした。相性: ★★★★☆

この後の料理にも同じワインを合わせていく。

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