『らしさ』によせていく

昨日は、M-1グランプリがありましたね。ぼくは録画して途中までしか見れていないのですが(笑)、途中までしか見ていなくても非常に興味深く見ました。

ぼくは、以前から島田紳助の伝説の講義が収録された『紳竜の研究』をお勧めしているのですが、それもお笑いが好きだという事もあるんですが、芸人が生き残るための戦略と、自分のような自営業者や設計者が、建築人生の中で生き残っていくことって似ているように感じているんです。

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そういう意味で、M-1を笑いながら見ていると同時に、そういう視点でも見てしまっている訳です。

M-1が始まった、2001年ぼくは学生でしたし関西にいたので、もっとお笑いが身近でした。それ以降もある程度時間があったのでテレビも良くチェックしていたので、そこに出演する芸人さん達も知っている人が多かったのです。
2021年現在はライフスタイルも変わりましたし、色々と多忙を極めていて、日常の中で芸人さんの活動をチェックする時間が無くなってしまいました。

そんなわけで、昨日行われた2021年のM-1も初見の芸人さんが多かった。そういう状況で、漫才を見ているからこそ気づくことも色々とありました。

そのなかでも強く思ったのは、「らしさ」と「ネタ」の相関関係です。

具体的に言うと、初めて見る芸人さんが「どのような風貌・髪型・服装をしている人か」、そしてその人たちが、「どういうネタを行うのか」ということが凄く気になりました。

ぼくが感じていたのは、その芸人さん”らしい”ネタであるほど、何かそのネタに説得力が生まれて笑えるという事です。

もちろん、意外性によって笑えるパターンというのはあるのですが、初見で見ていると、その人が与える印象とネタの整合性が高いほど説得力が生まれるからなのか、笑える気がしたんです。

もしかすると自身が生まれもったキャラ(らしさ)に合わせて、ネタを寄せていくことで、笑いを生み出しやすくなるのでは、という仮説が浮かびました。

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そんな事を考えながらM-1を見ていたのですが、似たようなことを、著名な漫画編集者が昔語っていました。

その内容を良く訳すると「漫画のキャラにセリフを言わせる際に、そのセリフを言いそうなキャラデザインでなくては説得力が出ない」というような事でした。

なるほど。例えば、グルメ漫画を描いていて、料理評論家のようなキャラを作るとすれば、その人はどのような風貌をしているべきでしょうか? 僕が考えても、激やせしているような風貌ではなく少しふっくらしたキャラの方が適していそうなことは分かります。

これも、人物と内容の相関関係が、人々に与える説得力に影響があるという事を違う切り口で語っていると言えるのではないでしょうか。

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