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NOAH元日・日本武道館のダブルメインイベントについて思う事

はじめに

2023.1.1に日本武道館で行われる、プロレスリング・ノアのビッグマッチ。


2022.1.1に、日本武道館では初となる【元日のプロレス興行】で約3,000人を動員したノア。

2度目の元日武道館は、『グレート・ムタvsシンスケ・ナカムラ(中邑真輔)』というプロレスファン大注目カードが組まれたこともあり、アリーナ席と1階スタンド席が既に完売という盛況っぷり。
(2022年元日には有り得なかった現象…)


元日まであと10日を切り、年内最終興行も終えた2022.12.24、全対戦カードと試合順が発表されました。


元日武道館ではGHCヘビー級選手権試合・『清宮海斗vs拳王』が組まれ、戦前より『ムタvsナカムラ』を超えるべく2人が火花を散らし合っていたものの、当日は全11試合中、10試合目に『清宮海斗vs拳王』、11試合目に『ムタvsナカムラ』という試合順に…(ダブルメインイベント)。


私がノアを本格的に見始めた2019年以降、スペシャルシングルが実現しても、GHCヘビー級王座戦だけは、組まれれば興行の一番最後を締める存在だった。

そして『清宮vs拳王』は、2018年1月の後楽園ホール大会におけるGHCヘビー戦から、2019年の両国ビッグマッチ、GHCナショナル王座やシングルリーグの決勝トーナメントをかけた闘い、2022年の名古屋ビッグマッチと、幾度となく因縁を重ねた、今のノアにおける看板カードでもある。


今回決まった王座戦にしても、2022年9月のリマッチにあたるものの、火力は落ちることなく火花を散らし合い、『ムタvsナカムラ』があっても、メインで最後を締めるに相応しい内容を前哨戦で示せていたと、私は強く思っている。


私は、武藤敬司が2023年2月に引退してしまう状況だからこそ、『清宮vs拳王』を始めとした今現在のノアを牽引する選手の存在を打ち出さねば、先は無いと思っている。
この発表には、正直悔しさを感じた。


実際、このリリースが出て以降、ノアファンを中心に試合順に対して批判や怒り、失望もTwitter等で聞こえてきた。


その一方で、横たわっている現実にも目を向けねばならない気がしている。

この件は、『清宮vs拳王』が最後を任される立場として不適格だとか、熱が足りないとか、【団体の努力不足】だとかで簡単に斬れる問題でもないと、私自身感じているからだ。


【見てもらう】ための現実

ここからは、私の個人的意見と感想…。

武藤引退が控えているとはいえ、2023.1.22のムタファイナルや2023.2.21の武藤ファイナルでもない元日武道館で、『清宮vs拳王』の王座戦よりノンタイトルの『ムタvsナカムラ』が興行の最後として起用される現実。


一方で、このニュースを知った時、私の頭に思い浮かんだのは2022年秋の生観戦で見た光景だった。


2022年9月の大阪ビッグマッチでは『グレート・ムタ大阪ファイナル』、2022年10月の有明ビッグマッチでは【ノアで約2年半ぶりの声援解禁】が銘打たれ、セミファイナルとメインは以下のカードが組まれた。

●2022.9.3 エディオンアリーナ大阪第1競技場
・メインイベント 清宮海斗vs鈴木秀樹
(『N-1 VICTORY 2022』優勝決定戦)

・セミファイナル 拳王&征矢学&タダスケvsグレート・ムタ&グレート-O-カーン&NOSAWA論外


●2022.10.30 有明アリーナ
・メインイベント 清宮海斗vs藤田和之
(GHCヘビー級王座戦)

・セミファイナル 武藤敬司&丸藤正道&稲村愛輝vs棚橋弘至&真壁刀義&本間朋晃


武藤やムタの引退ロードを組んだ興行で、メインカードにリーグ戦の優勝決定戦やGHCヘビー王座戦を据えたノア。
それでも、当日生観戦していて、ムタや武藤の試合が終わった直後に帰ってしまう観客が少なからず見受けられた。


私は、そういう観客の存在を批判したいわけでは無い。

ただ、現実として、若い力を押し出し、対外的に引きの強いカードを持ってきたとて、武藤やムタ目当てで来ている人には、刺さるどころか、そもそもメインすら見てもらえていないのである。


実際、大阪は『清宮vs鈴木秀樹』目当てで関東のノアファン以外の方も遠征していたし、有明の『清宮vs藤田和之』も戦前の盛り上がりの面で文句は無かった。
そんなカードですら、このような事態に陥っているのだ。


この現実に対して、【選手の盛り上げが足りない】とか【団体に責任がある】と言う人もいるだろうし、2005年のノア東京ドーム大会の例(※『小橋建太vs佐々木健介』ではなく『三沢光晴vs川田利明』がメイン)を出して批判する意見も私は実際見かけた。

ただ、ここ数年でファンになった私に言わせれば、「思い出と戦っても勝てねえんだよ(by武藤)」という思いはある。


これはNOAHに限った話でもない。
私が知る限り、2019.11.3の両国ビッグマッチ・『DDT ULTIMATE PARTY』でも同様の事例が起きている。

DDTグループの4ブランド(当時)が集結した同興行のメインは、『竹下幸之介vsHARASHIMA』のKO-D無差別級王座&EXTREME王座のダブルタイトルマッチだった。


一方、セミファイナルでは、DDTマットで多くの実績を生み新日本プロレスでも活躍したケニー・オメガの、新日退団後初となる日本での試合が組まれた。


『竹下幸之介vsHARASHIMA』は、NOAHでいう『清宮vs拳王』のような団体の看板カードの一つであったが、それでも、セミ終了後に帰ってしまう観客はいた。

帰られてしまう原因の全てを、選手や団体だけの責任にしてしまうのは酷である…。


骨の髄までしゃぶりつくすススメ

どんなに試合順に賛否が分かれようとも、2023.2.21に武藤敬司が引退を迎えるのは決定事項だ。

そして、武藤の引退まで、この記事を執筆している時点で残り2ヶ月を切っている。


2021年2月に武藤がノア入団を果たした会見で、武藤がこんな言葉を残している。

武藤敬司「未来のことはわからないけど、もしかしたらこのリングで朽ちていくのかわからないですけど、契約したからには、この団体に骨の随までしゃぶってもらいたいと思っております」


引退は大きな喪失だし、近年ノアが進出できなかったような会場(ドルフィンアリーナ、横浜アリーナ、東京ドームetc)に連れて行ってくれたのも、武藤敬司の存在なくして有り得なかった。


迫りくる現実を目の前にして、一ファンが出来る事なんて限られているし、何かを引っくりかえせる力はない。

ただ、このまま終わるくらいなら、ファンだって骨の髄までしゃぶりつくせばいいのではないか、と私は思うのだ。
言い方はアレかもしれないが、武藤引退というトピックで注目されている状況を、こっちも利用して良いのではないか、と。


無論、このまま引退という【特需】に期待して動かずにいたら、ノアは下がるだけだろう。
【特需】の今だからこそ、ノアの魅力だとかを周囲に伝えて、「ノアを見てみようかな?」というキッカケを増やす必要がある。

今は危機感もあるけれど、ある種、チャンスだ。


どんな事象でも、文句を言うだけよりは、1人でも積極的に誘った方が遥かに有意義である。

実際、私もバーなどで会話の中から、フォロワー様を今回の元日武道館にアプローチする事がある。
2022年の元日武道館は、これでフォロワー様に来ていただくことが叶った。

今年も人をお誘いしたのだけれど、その時の決め文句は「『清宮vs拳王』があります!」ではなく、「『ムタvsナカムラ』があります!」だ。
実際、感情を無視しても、そっちの方がフックとしては有効だったりする。
それで1人でも来てくれる方がいるなら、これほど嬉しいことはない。


個人的感情に添う事と、形振り構わずやるのは別問題だ。
今は人を増やす段階なのだから。


それなのに、何故「私は行きません!(キリッ)」とか「武藤目当てで行く人が苦手!」なんて御気持ち表明したり、公式に今回の件に対する不満を直接リプで送っているのか…?
そっちの方が、個人的にはキツいし、極端な話、新しく入りたい人も入っていけない空気さえ感じてしまう。

新規で付いてくれる人ファンの可能性を、今通っているファンが否定したところで、そのジャンルは衰退するだけだろう。


まとめ~【打席に立たないホームランは無い】けれど…~

私は元日武道館の試合順発表直後までは、「順番アレでも、メインで内容示せればOKや!」なんて考えていた。


でも、上述した出来事が横たわっている現状、見てもらえないことには評価の土俵にも立てない。


よく、ヒットやホームランは、打席に立たなければ生まれないという話を聞く。

ただ、私がそこに付け加えたいのは、そのヒットやホームランは、ボールを投げるピッチャーの存在がいなければあり得ないのではないか、という点だ。
ホームランを打つためにも、投手という"相手"が必要不可欠なのだと私は考えている。


思い返してみると、リデットエンターテインメント→サイバーファイトグループに親会社が変遷する前後、新日本プロレスや全日本プロレス、DDTグループが持っているような動画配信サービスがノアには無かった。

それでも、サイバーエージェント傘下に入り、WRESTLE UNIVERSE(旧名:DDT UNIVERSE)という配信サービスを得たことで、2020年のコロナ禍の無観客期間中に話題を集め続け、注目されるキッカケにもなった。

配信面でのデメリットが解消された今だと薄れてしまうことだけど、知ってもらえるかどうかは、ファンが思っている以上にデカい。


試合順がどういう思惑かというのは外だと分からないけれど、目当てが終わって帰られてしまう現状を鑑みると、「最後を『ムタvsナカムラ』にしてお客さんを留めておく判断でも分からなくはないよね」なんて考えてしまう私なのでした…。


結論:『清宮vs拳王』は鉄板カードなので、お時間ある方がいましたら、そのお時間をノアに何卒!!!🥺🙇

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