"流行語"の定義が分からなくなった事について
はじめに
年末になると、必ず訪れる【1年の振り返り】。
『流行語大賞』なんかは、振り返りにおける一つの代表例だろう。
一方、毎年のように『流行語大賞』の候補を見る度、「こんな言葉って流行ったっけ?(初めて聞いた)」という感覚に陥る事も多々ある。
(新語と思われるものでも然別)
私自身、世情に疎い自覚はあるけれど、インターネットのニュース等でも聞かないような言葉が、"流行語"とカテゴライズされているケースは少なくない印象を受ける。
(単純に、選考側が今後流行らせたいのかな、みたいな)
でも、最近、この違和感の正体が私なりに分かった気がする。
それは、【方向性がそれぞれ異なるフレーズが、"流行語"として一緒くたに纏められている】事に原因があるのではないか、と。
性質も向きも違う言葉が、"流行語"として並ぶ違和感
上記の『流行語大賞』で、2022年にノミネートされた候補を見ていると、世相を反映した新語が含まれているとはいえ、私自身初めて聞いた言葉が多く存在している。
今回の"流行語"候補を例に取ると、私の中で大まかに3つのパターンがあると感じた。
①その年に聞かれたであろうワード(=新語)
インボイス制度、オミクロン株、きつねダンス、メタバース、リスキリング
②友人・知人など、周囲で実際に使う機会が多かったワード
「村神様」、「ヤー!パワー!」、「ヤクルト1000」
③後世に語りたい名言
「青春って、すごく密なので」
個人的に"流行語"と聞くと、冒頭で引用した「多くの人々に広まっている」意味合いを感じるので、この中では②のような気がしている。
だが、実際の所、人との会話には出てこなくとも見聞きはした①のようなフレーズだったり、③のような名言までもが、一括りに"流行語"として捉えられている節も感じてしまう。
個人的に①~③は、後年振り返った時に『1年を代表するワードやトピック』として貴重な資料になると思うけれど、『市井に広がった"流行語"』という観点で見ると、どうにも違和感が拭えない。
最近、私の好きなプロレスで、『#プロレス流行語大賞2022』という企画が行われているのだが、こうした傾向は本家の流行語大賞以上に顕著だ。
極端な話、選手がリング上やバックステージで放った胸を打つマイクさえも、"流行語"の括りで投稿する事例が見られるのだ。
(「名言大賞ではない」という主催からのアナウンスはあるけれど…)
こうしたフレーズは、名言大賞ならトップを獲れると私は思う。
これは批判や苦言というより、「名言は名言として分けて評価したい」のであって、「流行したか否か」で見た時の違和感に拠るものだ。
私自身、今年プロレス会場で聞いた中で、印象的だったマイクがある。
ジェイク・リーの言葉は、後年も語っていきたい名言の一つだと私は思っている。
一方、周囲の人と話す中で使ったり、Twitterで複数回ツイートしたりするようなカテゴリからは大きく外れるフレーズだとも感じている。
(所謂、流行語ではないという感覚)
正直、ファン有志が自然と使い出して広まったフレーズの方が、選手が放った名言なんかより流行っている体感があるから、余計にそう思ったのかもしれない。
(2022年に東京女子プロレスファンがツイートした「乃蒼ヒカリちゃん!!!」の方が流行っていた実感あり。)
その点で考えると、ついつい真似したくなるキャッチーさと、ツイートに組み込める汎用性の高さを備えたワードは、"流行語"として非常に強いと私は思うのだ。
2022年のプロレス流行語大賞で言うならば、アレックス・ゼインの「共有しますか?」が、私は断トツだったと思っている。
レスラーでなくても、美味しい食事写真とセットで使えるフレーズの汎用性は、ついつい真似したくなる好奇心に駆られるほどだ。
(もしかしたら、私だけかも知れませんが…)
真似したくなるのは発信元の魅力も大きいと思うけれど、"名言"となると、普段の会話にテンプレートとして組み込みにくい実感がある。
誰でも真似しやすい・使いやすいフレーズは、自然と周囲にも流行しやすい。
まとめ
流行語に上がるワードであっても、人それぞれ違いが見える。
今回の疑問を通じて、私はそんなことを感じた。
例えば、ビジネス関係の話をする方とかには「リスキリング」というワードは馴染み深い言葉なのかもしれないけれど、そこにイマイチピンと来ない方がいるかもしれない。
(私はピンと来ていない)
逆に、上述した「共有しますか?」がプロレスファンに刺さっていたとしても、非プロレスファンに刺さっていない可能性の方が高い気はする。
だからこそ、ジャンルの壁を超えて流行った「倍返し」は本当にスゴかったのだと私は思う。
皆様が選ぶ今年の"流行語"は、どんな言葉でしたか…?
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