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アカデミー賞受賞式を見て思ったこと

アカデミー賞受賞式を、毎年見てるわけでは全くないですが、今年はちゃんとWOWOWに入会して、リアルタイムで見ました。

ということで、第92回アカデミー賞受賞式を見て考えたことをちょっと書いてみようと思います。


個人的、史上最高アカデミー賞受賞式

ちなみに、記憶に一番残っているアカデミー賞は、ヒュー・ジャックマンが司会をした2009年の第81回アカデミー賞受賞式です。
これを見て以来、ヒュー・ジャックマンのファンです。

今見ると、『グレイテスト・ショーマン』(2017)みたいな雰囲気でした。

そういえば、ザック・エフロンもその授賞式で『ハイスクール・ミュージカル』の歌を歌ってました。
そう考えると、ますますあの受賞式が『グレイテスト・ショーマン』に繋がっている気がします。
あと個人的には、アン・ハサウェイが客席から舞台に上がって歌ったのが、クライマックスでした。
(アン・ハサウェイが好き。。)
もちろん、ヒース・レジャーの受賞にも胸を打たれましたが。

その後、『レ・ミゼラブル』(2012)でヒュー・ジャックマンとアン・ハサウェイが共演してるのも、面白いですね。

と、いろいろ書きましたが
兎に角、
アカデミー賞受賞式は、俳優たちのド派手なドレスアップを見てるだけでも楽しいし、ファッション、アート、コメディ、ミュージカル、ヒューマンドラマというすべての要素が詰まったエンターテインメントとして成立しているのがすばらしいし、感動します。



第92回 アカデミー賞受賞式

多様性の欠如について

で、今年のアカデミー賞受賞式についてですが、、

皆さまもご存知のとおりで、全米視聴者数が過去最低とか、多様性が感じられないノミネートとか批判的な見方もあった一方で、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞を受賞するなど話題に事欠きませんでした。

多様性が感じられないという点では、
『ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語』の監督グレタ・ガーウィグなど、高い評価を得ていた女性監督がいたものの、
監督賞にノミネートされたのは男性のみ。
非白人俳優でノミネートされたのも、『ハリエット』のシンシア・エリヴォ1人だけと、
確かに偏った印象をうけるノミネートでした。
アカデミー賞の歴史が始まって92年という長い年月が過ぎてもまだ、時代が変わったことが実感しづらいことをプレゼンター2人がジョークに昇華していたのは、"さすが!"という感じでした。

ちなみに、
そのプレゼンター2人のやりとりの中に、
"今年のアカデミー賞には、なにかが足りないね。"
"確かに、、なんだろう?"
"。。。"
(2人で)
"ヴァギナだっ!"
観客爆笑・拍手
みたいなのがあって、同時通訳の方がそのまんま"ヴァギナ"って言ったので、
多分、生まれて初めてテレビ放送で"ヴァギナ"っていう単語を聞きました。。
(字幕版では、変えられてましたが)

最初に素晴らしいパフォーマンスを披露したジャネール・モネイが
"クィアで黒人の私がここに立つことができて光栄よ!"
みたいなことをパフォーマンスの途中で叫んでいたり、
受賞式の最初に、
"かつて先住民の土地であったロサンゼルス ドルビー・シアターからお届けします"
みたいな前置きが流れたり(どっちもうろ覚え)
アカデミー会員はともかく、受賞式に参加している人達からは先進的な感覚を感じました。

そんな後に、オリンピック開会式にアイヌ舞踏が採用されなかったというニュースを見たりすると、日本はこういう感覚が遅れているのかな、とどうしても思ってしまいます。。

スティーブン・キングの発言

特に気になったのは、アカデミー会員でもある、作家のスティーブン・キングが、
"芸術において多様性を考慮したことは
私は一度もない。クォリティだけだ。
それ以外は間違った行為だと私は思う。"
と発言して波紋を呼んだことです。

原文はこちら

そのまま読んだ分には、なにも問題ない発言かなと思いました。

例えば、企業が
"女性の役員が少ないから、役員の◯割を女性にすることを目標とする"とか言うと、役員になった女性に対して"女性ってだけで選んでもらえて、いいよね。"っていう男性がいたり、本人も正当な評価を得て役員に選ばれたのか不安になる、みたいなことをよく聞きます。
(そもそも、そういう数値目標を立てることにも疑問はありますが。。)

多様性を意識するあまり、正しい評価ができなくなるのは間違いだと言いたかっただけなのかなと思うのですが、かなり批判的な意見が多く出ていました。
スティーブン・キングの小説を数冊読んでいて、映画化された『ショーシャンクの空に』が好きな自分としては、あまり批判的に見たくないという気持ちも若干あるんですが。。

アカデミー賞選考対象となる作品における
映画監督の男女比でいうと、
実際の数字は知りませんが、5:5ということはまず無いはずです。多分。。

まずは、希望すれば誰でも同等に教育が受けられて、
才能があれば、同様のチャンスが与えられるという環境を整えることが先決なのかも知れないと思うのと、
ひとまず監督賞のノミネート5枠のうち、1枠でも女性監督が入れば、映画監督を目指す女性が増える可能性はあるので、今後の映画界の未来を考えての選考ということで考えると、、でも、それが正当な評価なのかというと、、難しい問題ですね。

"正当に評価されるべき作品や俳優がノミネートされた結果、多様性のあるノミネートになっていた"ということが当たり前になる日が早く来ることを願います。
そうすれば、こんな議論も必要ないはずなのに、議論がヒートアップするということは、まだまだ不公平感を感じざるを得ない空気があるのでしょう。残念です。

一方、トランスジェンダーに対する理解も進んでいるので、数年後には、演技賞に俳優枠・女優枠があることに疑問が出ていてもおかしくない気がします。


長編アニメーション賞に感じた懸念

なんとなく、不安に感じたのは長編アニメーション賞のノミネートでした。

『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
『失くした体』
『クロース』
『ミッシング・リンク(原題)』
『トイ・ストーリー4』(受賞)
と、5作品のうち2作品はヒット作の続編です。

『ヒックとドラゴン』は3作目、
『トイ・ストーリー』は4作目で、『トイ・ストーリー3』に続く受賞でした。
前作までしか観てませんが、どちらも好きだし、(特にヒックとドラゴンが)ストーリーや映像、音楽ともに素晴らしい作品だと思います。

ただ、新しいアニメーション作品が次々と生まれる時代ではなくなってきているのかな、という懸念が生まれます。
(金銭面でも、新しい才能という意味でも。。
この2つは密接に関係しているので)

そういえば、『アナと雪の女王2』は含まれてませんでしたね。歌曲賞にはノミネートされてましたが。
でも、ヒット作の続編がヒットするというジンクスはまだ崩れていないようです。
少なくとも長編アニメーション界では。
ディズニーでもジブリでも有名監督作品でもないアニメーション作品のヒット作がうまれる時代はやってくるのでしょうか?

それに加えて、
『この世界の片隅に』などで知られる片渕須直監督のインタビューを読んで、日本のアニメーションの将来に不安を感じている人がいることに不安を煽られました。

片渕須直監督のインタビューはこちら

ひとまず個人的には、フランスの作品『失くした体』が気になったので、観てみたいと思います。


WOWOWに入会してまで見たアカデミー賞ですが、感想を書いてみると案外内容がないですね。。
まあ、自分の感性の問題だと思いますが。。

でも、『ジュディ 虹の彼方に』でジュディ・ガーランドを演じたレネー・ゼルウィガーが最優秀主演女優賞を受賞した瞬間が見られただけで、見た甲斐があったと思いました。
『ザ・エージェント』(1996)の時からずっと好きなので。
早く観たい映画の1つです。

あと、公開が延期となってしまいましたが、衣装デザイン賞を受賞した『ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語』も必ず観に行きます。
ムック本はすでに購入済みです。
観たい映画がたくさんあればある程、
元気になれますね。
生きるための未来の約束みたいな。大袈裟か。

今年のアカデミー賞受賞式は、個人的に好きな女性の俳優(ノミネートされた側も、プレゼンターとして登場した側も)、監督、ミュージシャンの美しくパワフルなシーンがたくさん見られたので、ひとまず満足できるものでした。


今回の写真は、アップリンク吉祥寺で撮影しました。わくわく感を演出してくれる空間で、大好きです。ホットジンジャーもおいしいです。

こんなときだからこそ、好きな映画館で映画を観るということで応援をしていきたいと思います。
自分の好きな場所と時間は守っていきたいので。

アップリンク代表の浅井隆さんのnoteも
よかったら。。
https://note.com/asai_takashi/n/nd75b4a736e87

日本アカデミー賞の主要3部門受賞した『新聞記者』をアップリンク吉祥寺で上映中だし、今度観に行こうかな?