プーマブルーの心地よい深み
古いジャズについてばかり書いていたのでたまには、現在進行形なものを 。
今活躍している若い男性ボーカルで一番好きなプーマブルーの、昨年2023年リリースの『Holy Waters』を紹介します。もうすぐ来日だしね。東京も大阪もチケットはすでにソールドアウトらしいですが。祝。
プーマブルーことジェイコブ・アレンはカテゴリー分けの難しい人。ロンドンのシーンから出てきた人だけど、ジャズ色は割と控えめだし、個性的な発声だし(デビュー当時はチェットベイカーに例えられたりもしてたけど)、ホワイトネオソウル?とでもいいたい感じの音楽ですが、それはある意味プーマブルーはプーマブルーでしかない真にオリジナルなアーティストなのだということだとも思います。
私はデビュー当初からかなり好きです。同じタイプの現代のロンドンシーンでよく一緒に名前の挙がるトム・ミッシュやジェイミー・アイザックも好きなアーティストですが、私はちょいクセの強い(もちろん良い意味で)プーマブルーも大好きです。
けだるく繊細なヴォーカル、漂うようなギター、スカスカのビート、時折入るブルージーなサックス、そして心に響くキャッチーで美しいメロディー。
ヴィム・ヴェンダース『パリ・テキサス』や、90年代中期のウォン・カーウァイ作品、ソフィア・コッポラ『ロスト・イン・トランスレーション』、デヴィッド・フィンチャー『ファイトクラブ』、そしてデビッド・リンチの色彩…、プーマブルーの発言に出てくる映画はどれも私も好きな映画でした。そして、それらの映画の持つ空気感が彼の音楽にもしっかり宿っているようにも感じました。
さて2枚目のアルバム『Holy Waters』。正直、初めてサブスクで聴いた時はこれはちょっとダークだなぁと思いました。
元々、けだるさや、内省的な感じが持ち味でもあるプーマブルーであるとは思っていましたが、さらに深く重くなったなーと。しかし回数を重ねて聴いていくうちにだんだんと馴染んでいき、やがてその深みが心地よく感じるようになっていきました。
今作はバンドでの制作にこだわったそうですが、同時に以前からの魅力も変わらず健在で、やはり私の好きなワン・アンド・オンリーなプーマブルーワールドでした。
しばらく後でやはりフィジカルでも欲しくなってCDを購入しライナーを読んで知りましたが、今作のテーマは「死」だったそうです。そりゃより深ーい感じになってるわけだ。
そこまで深くいけば後は上がるだけ。次作はもう少し明るい感じになっていくのかな〜と、今からもう次作も楽しみになっています☕️
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