コンセプトワーク

今回、私が関わるある地域でのツアー事業について、コンセプトの言語化をすることになったので、どうせならそれをnoteで書きながら作ってみたいと思います。
どうなるか、今は全然分からない。

狙い

何人かでの議論をこれまで3回ほどしたので、これを素材・土台として、編集的にコンセプトを言語化しよう、というのがこのコンセプトワークの狙いです。

まず、私が最近大切にしているのは、動機を出発点にする、ということです。あたりまえですか?そうですか。
今回は主要メンバーの原初的な動機の発露として「その地域の持続可能性に貢献したい」という発言を拾います。

活動の動機は「地域の持続可能性に貢献したい」

一方で、事業としてツアーをする、ということが大まかに決まっています。「地域の持続可能性に貢献したい」という動機に対して、具体的な貢献の仕方のひとつとして「ツアー事業を行う」。ここのあいだをきちんと繋いで、意味のある事業としたいですね。

さて「地域の持続可能性に貢献」といっても、今は都心から月に1度遊びに行ってるだけの部外者である私達は、そんな上から目線で偉そうに何か言えるとは思っていません。なんらか貢献できたら良いな、サポートできることは無いかな、と思っているだけです。

ただそう言っていても進まないので、思考のなかでいろいろ考えてみましょう。
まずは地域の持続可能性のどこに貢献したいか、すべきか、できるか、みたいなことですね。さきほど言ったように、地域の持続可能性の全体をデザインするみたいな、おこがましくかつ夢物語ではなく、相当難しいけど努力と幸運があれば私達にもサポートできるかも、というようなラインで考えましょう。

地域のCOMMONS コモンズ

メンバーのディスカッションのなかで響いたのは、地域の持続可能性のなかで大切なもののひとつに、COMMONS コモンズ、というものがあるのではないか、という発言でした。なるほど。

COMMONS コモンズについて深く語るような知識は私には無いので、このコンセプトワークのなかで私なりに使う言葉の定義としては一旦は、「地域住民が大切だと共通で考えるものごと」=COMMONS コモンズ、という曖昧で大くくりの言葉としておきます。一旦は。

一方で現状は

さて動機や目指すべき方向性はなんとなく分かってきたのですが、翻って足元・出発点はどうでしょうか。その地域の現状はどうなのでしょうか。ご多分に漏れず、毎年人口が減っています。都心から割と交通の便がよいこともあり、移住者も意外と多いのですが、あまり横の繋がりが強く無いようです。

ディスカッションメンバーのなかにも移住された方がいるのですが、やはり地元のひとや他の移住者の方とのコミュニケーションはこれからのようですね。

このあたりの現状を深堀りするのは大切ですが、我々のような立場の者では限界がありますし、また動きながら分かってくることもあるのだと思います。ここは思い切って行動し、行動しながら考察したり修正したりしていきたいと考えています。

コモンズの具体化

地域の持続可能性について、私達は地域のコモンズを大切だと考え、そこに貢献できる何かを実践したい、という曖昧ですが大所が固まってきました。では地域のコモンズとはなんでしょうか。共有地、というものが言語の定義から考えることができますが、ではいったい現代の共有地とは何を指しているのでしょうか。語源的な共有地を抽象化させたり、その機能や意味を取り出してみると

・みんなが使える
・構成員にメリットがある(全員、平等ではなくて良さそう)
・デメリットが無い、または少ない(こちらは公平性が大切か)
・持続可能である(無くならない)

ふむふむ。特別な人間ではなくみんなが使え、メリットをもたらし、デメリットが少ない、すぐに無くなったりしないものごと、的なものですねー。すごくベタな例を挙げると、自然景勝などの観光資源などが分かりやすい感じです。

美しさ、というキーワード

ここからは少し発想を飛ばしてみたいのですが、ディスカッションで私が気になったキーワードは「美しさ」でした。あるメンバーがその地域は美しさがあるのだ、と言っていたのです。たしかに私もその地域に行くと、里山的な美しさを感じます。しかしそういった目に見える美しさの背後にある、目に見える美しさを越えた美しさがありそうです。ややこしいな。

美しいという感覚には、普遍性を感じます。またロジックを必要とせず他者との共有を可能にします。これはコモンズを発見するための、トリガーになるのではないでしょうか。

しかし「美しさ」は身近にあると気づきづらいものですよね。そのメンバーは古びた小屋に美しさを感じているようなのですが、その小屋の持ち主や近所に住む人は、美しさに全く気づいていないように見えます。

ツアーの意義

ここにツアーをやる意義が有る気がします。外部の人が美しさを発見し、地域の人がコモンズとして認識し、地域で蓄積していく。このプロセスが地域のコモンズを増やし、地域の持続可能性をサポートしていけるかもしれません。

ここまできたら、どのようにツアーで来るひとに美しさを発見してもらうか、美しさを発見できるようなツアーとはどんなものか、ということも考えましょう。

ただこの地域に来てくれれば、その美しさに感動する、ということもあるかもしれませんが、そういう幸運頼みではなく、何か再現性のある方法はないのかな。

うーん、ちょっと「美しさ」がもつビジュアルなイメージに偏ってしまっていますね。もう少し抽象的な意味の「美しさ」を考えたいのですが、言葉の強さに持っていかれてしまいました。少し戻って考えてみます。

戻って考えてみる

コモンズを発見(再発見)し、認識し、蓄積していくということを目指してツアーを行う、というところまではいい感じだと思うんですよね。そうすると、ツアーでどのようなことが起こると良いか、というところですね。

そういう意味で言えば、ツアーでコモンズが浮かび上がってくるような、自ずからコモンズが現れてくるような、そういう現象が起きると良いなと思います。

何がコモンズなのか私達(や地域の人たちも)にはまだ分からないので、ツアーを行っていくなかで、自ずからコモンズが現れてくる。そういうプロセスが良いですねー。

そうするとツアーに来てくれるひとの多種多様な行動によって、周囲の人がコモンズに気づく、そういう流れかもしれません。なるほど。

贈与とコモンズ

ああ、急に話が飛びますけど、コモンズはツアー客に対して「贈与」というかたちで現れてくるのかもしれません。なんか今ピンときました。

そうか、ここでツアー客と地域の関係が結ばれるのだなぁ。ああ、なるほどです。ポイントは贈与と負債と関係性ですね。

つまり、ツアー客は(まだ未発見の)地域のコモンズから贈与というかたちで何かを贈られ、それに気づいたときには返せない負債として贈り物を受け取ってしまっているわけですね。よって関係せざるを得ない状況で地域との関係性を築いてしまうわけです。ほほー。

仮説を立てます

とすると、どうもツアー客が結ぶ地域との関係性が、コモンズを浮かび上がらせる、顕現させることに繋がっていきそうです。それが私の見つけた仮説ですね!

たぶんコモンズからツアー客への贈与がもたらるものの一つに「美しさ」という感覚があるのでしょう。たぶん。

よし、そうすると私が考えるツアーコンセプトは、いかに関係性を持ってもらえるツアーとなるか、ということになりそうです。

コモンズの在り方

さて、ここまでコモンズを具体的な何かとして考えてこなかったのは、以上のようにコモンズ自体を浮かび上がらせるツアーをこれから行うからであって、今現在はコモンズとしてまだ未発見であるというスタンスだからです。

ですが、地域のコモンズにもうひとつ機能というか、意味というか、付け加えておきたいものがあります。

それはコモンズと少し似たcommunisコムニスです。ラテン語で一般の、公共の、地域社会の、という意味を持っています。さらにもう少し深堀りして、sensus communisセンススコムニスまで行きたいです。共通感覚としてのセンススコムニスです。私は中村雄二郎氏の「共通感覚論」で知りましたが、それは五感を統合し、感覚に意味をもたせるような働きをすると、私は解釈しています。

つまり、地域のコモンズはひとつひとつのコモンズの集合であるのだけど、一方で個別のコモンズを組み合わせて統合的に利用し、その利用それぞれに意味付けをするようなことも、重要な機能なのです。

それはスピノザ的な自由と親和性が高い考え方です。選択肢が無数にあるという意味での自由ではなく、能力が十全に発揮される状態という意味での自由です。(私の解釈です)

地域に関わるひとが、そのひとのやりたいことを十全にできるように、地域のコモンズを自由に組み合わせて統合的に利用できるようにすること。これが私が目指したいコモンズの在り方ですね。あーようやくここまでこれました。

まとめ

動機は
「地域の持続可能性に貢献すること」
そして
「COMMONSコモンズを発見することで持続可能性をサポートする」
ことを目指します。そして
「コモンズの贈与によって結ばれるツアー客と地域との関係性が、未だ見ぬコモンズを自ずから浮かび上がらせる」
という仮説をたて
「関係性を持ってもらえるようなツアーの実現」
を具体の目標とします。
さらに発見されたコモンズは
「地域に関わるひとが、そのひとのやりたいことを十全にできるように、地域のコモンズを自由に組み合わせて統合的に利用できる」
そういう状態を目指すことで、地域の持続可能性に貢献できれば思います。

おわり

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