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詩とか

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2022年10月の記事一覧

詩(いち、に)

「彼は混合ということにのみ讃辞を送っている」
 

「テノチティトラン──では、メカパルやワカルで運んだ。だがベルナル・ディアス・デル・カスティリョによると、赤い街を囲む水路はすでにカヌーで満たされていた。おれはそれには乗れなかった」
トオヤマくんが言った。
「おまえも乗れないだろう」
 
           *
 

「サンタ・テレーサの遺棄された醜い教会のはずれ、死のたえず打ちよせる沼地

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詩(はじめの)

洪積

おれたち人間は 生きることにたえられない
背に張りつめるしじま 翻り 愛するものよ
おまえは 錆びついた絵筆で
むき出しの層理面をなぞった

《くすくす、と彼女は笑った。》

かつて水が ささくれた地平を覆い 細く青く
とけだす瞳をこらすと ことばもマタ黒い波に
浮かんでは沈み ふるえる 瞼をぬらした
ああ汀にひそむ死者よ 歌うとき 暗い胸底に
ねじくれた法螺貝吹きどよもし 歌え

かつて

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