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紅薔薇の歌。

松島詩子の歌う「紅薔薇の歌」。坂口淳作詞、林伊佐緒作曲で、彼女の円熟した歌声が堪能出来る一曲です。昭和7年にデビューして以降、各レコード会社での録音を重ねて歌手としての経験を積んだ松島詩子は、次第に艶めかしいエキゾチックな歌声を活かしたモダンな楽曲を得意とする様になります。昭和12年にキング専属となり、まず「マロニエの木陰」がヒット。その後も「マリネラ」「ガーデンブリッジの月」と次々ヒット曲を出しましたが、生憎世は戦争の時代へ突入して彼女も時局歌を入れる事に。終戦を迎えた時、幸いにもキングレコードは戦争の被害が軽微であり、そして松島詩子も歌手活動を再開しました🎤。

「紅薔薇の歌」は、共に会社を牽引して来た人気歌手の林伊佐緒が作曲しており、緩やかなブルースのリズムで書かれています。針を下ろすとか細いトランペットとギターのリズムによるイントロ、短い前奏の後で歌に入ります。♫わたしゃ恋の花よ…と、日陰に咲く薔薇の嘆きを綴った、やさぐれた歌唱であり、既に40歳となっていた松島の歌唱は一段と熟女感が溢れており、歌のテーマと相まって真に来るものがありました。三番構成の、それも然程気取っていない伴奏によるシンプルな歌ながらも、ツボを抑えた良曲と言えるでしょう。これのA面が鈴村一郎の「ジープは走る」で、レコードは昭和21年に発売されています😀。

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