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Byrds『Mr. Tambourine Man』(1965)
アルバム情報
アーティスト: Byrds
リリース日: 1965/6/21
レーベル: Columbia(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は287位でした。
メンバーの感想
The End End
ディランはフォークとブルーズ/ロックを見事に溶け合わせていたけれど、こちらはさらにその先の景色を見せてくれているような気がする。
Wikipediaに"ビートルズへのアメリカからの回答"という言われ方をしていたと書いてあったけれど、確かにこの時点までのビートルズはまだ達していない音像を鳴らしているように感じた。
このグニャグニャした感じ、すごく"ロック"だ!という気がするな。
コーメイ
寒い夜半過ぎに、暖炉の前でこのアルバムを聴くと、さぞかし良いだろう。なぜなら、Dylanには無かったじんわりと暖かくなる音が、アルバムを通底していたからである。バリバリしたギターも確認された。が、その音も薪が燃え尽きて崩れるそれに似ていると思ったため、"まあ、このような効果があった方が、色んな音を楽しめていいじゃないか"との感想に行き着いた。このようなアルバムであった。
桜子
音像が好きだなぁ〜弦楽器の音が丸くて、暖かくて、耳が痛くない感じ。キックスネアの音とかも、他の楽器と調和していて耳に飛び込んで来ない感じが好きだ。高島平に住んでた頃にこのアルバムと出会っていたら、荒川の土手で体育座りしながら延々と聴いていたと思う。
湘南ギャル
好きだ!これはビーチ・ボーイズにも共通することだけど、コーラスを特徴としたサウンドという軸の中で、これだけ幅が広い楽曲を生み出せることに驚く。「Mr. Tambourine Man」のような繊細な美しさ、「I’ll Feel a Whole Lot Better」のような素朴な明るさ、「It’s No Use」のようなトゲトゲのかっこよさ、そういうものが同じアルバムに収められてるという事実だけで白米が食える。ボブ・ディランには悪いことを言うんだけど、雛が初めて見た鳥を親だと思ってしまうのと同じで、「Mr. Tambourine Man」はバーズのぶっといコーラスを聴かないと満足できない。
しろみけさん
表題曲をはじめ、ボブ・ディランのレパートリーをビートルズ登場以降のバンド編成によって組み直した演奏が特徴的。現代まで繋がるフォークロックの、基礎どころかほぼ全てが出揃っているようにも感じた。12弦のリッケンバッカーが、清涼感とサイケデリックのちょうど中間にある心地よさを演出している。あと、ギターのアルペジオが素朴に気持ちいいって、みんなここら辺で気づき始めたのかも。
談合坂
どの時間帯でもいい感じに聴ける。夜中にスマホのスピーカーで流しても、昼時にヘッドホンで聞いても、夕方にカーオーディオでかけても同じように良くなる。そういう特別感の薄さこそが魅力になっているんじゃないかと感じた。なぜだかこれはビートルズでは味わえない感覚のように思う。決して素朴で退屈なんてことはないのに、不思議。
葱
ドラッグ的な(やったことはないですが)酩酊感やドロドロ感まで踏み込まず、その手前の心地よさを感じる段階でブレーキをかけつつ主旋律とコーラスが生み出す甘美なハーモニーや12弦ギターが生み出す不思議なうねりで包み込んでくれるような作品。ヤードバーズとバーズが頭の中でごっちゃになっていたから"リードギターでっせ!"的なプレイがないのには驚いたものの、ジョニーマーを思わせるアルペジオの響きはギタープレイの点でもアイコニックな作品だといえそう。元ネタ探しに勤しむつもりは無いですが、例えばTHE YELLOW MONKEYの「RAINBOW MAN」なんかはこの作品を参照しているのだろうな〜と思う瞬間もあり、聴いていて発見が多い。
みせざき
よく考えるとこの時代で12弦のエレキギターでアルペジオを終始かき鳴らすギタリストというのはかなり異様なことなので無いのかと思った。
私はR.E.Mが好きなのでザ・バーズを聴いたら何か共通項を見出せるのでは無いかと思ったが、意外にバンドサウンドのある程度の共通項のみでそれ以外は別物に感じた。
ザ・ビーチボーイズを聴いた後なので気になったが、ハモリ方がどこか音程の微妙なズレ?ビブラート?が目立ち、こちらはまた違った種類のハモりで興味深かった。
六月
うーん、前回のボブ・ディランのアルバムがしっかりフォークとロックを折衷することに成功していてめっちゃよかっただけに、聴き始めた時は、フォークとしてもロックとしても中途半端なところにあるような、ディランよりも先進的でないというか、何というか穏やかすぎると思ったのだけれど、全くの別物だと思って聴き進めるとメロがすごくええので、楽しめた。ただやっぱり、ボブ・ディランをフォークのオーソドックスとしてみているからか、これがフォーク・ロックですと言われると少し違和感をもってしまう。サウンド的にもフォークってよりかはビートルズの方が近いように感じてしまうけど。
和田醉象
表題曲は原曲の方が良いね。Bob Dylanにあった語りかけている感じがない。これをとっかかりに売れたって言うけど、当時の人はどう感じたんだろうか。(普通に全然違う曲になった物珍しさで注目されたんだろうか)
そこから後ろは12弦ギター的な、もやがかったみたいな不思議空間になる。すごい歌がうまいわけでもなく、あっと驚く曲構成というわけでもないけど、雰囲気に飲まれる感じはある。
渡田
程よく響くギターの音、ドラムの音、歌声……を、穏やかなフォークロックの音として聴くこともできるけれど、その印象の中にもっと怪しい雰囲気が混じっている。
穏やかな歌声に対して、楽器の音は時々過剰にうねったり、尾を引いて響いたりして、そうなると呪術的な雰囲気が出てくる。淡々とした歌声が呪文のように思えて、タンバリンの音はおまじないの鈴の音に思えてくる。
音一つ一つの要素はフォークロックのそれなのだけれど、組み合わさり方が複雑であるせいで、そこにあるはずのない妖艶な印象を潜ませているように感じた。
次回予告
次回は、Beatles『Help!』を扱います。
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