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Beatles『A Hard Day's Night』(1964)

アルバム情報

アーティスト: Beatles
リリース日: 1964/7/10
レーベル: Parlophone(UK)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は263位でした。

メンバーの感想

The End End

 「I'll Be Back」が良い曲すぎるな。そして前作を聴いても思ったが、この垢抜け方はどこからきているんだろう……
 曲が良いのはもちろん、演奏のテクニック的に高度なことがあまり行われていないから、いっちょ真似してみるか!という気持ちになる。そのへんの若者にギターを持たせる力を確実に持っている。
 ただ、私はこの企画で初めてビートルズにちゃんと触れるのだけど、まだ夢中になる取っ掛かりは掴めずにいるのが正直なところ。

コーメイ

 本アルバムは、Beatlesが白黒の時代の代表的作品であろう。つまり、アメリカにもBeatlesここにありという印象を植え付けたアルバムと思われる。
 まず、Johnの存在感が強いアルバムである。1曲目の「A Hard Day’s Night」から始まって、彼独特の声がアルバム全体を覆っていた。Paulも良いラブソングを書いて、歌っているものの、この時点ではJohnの力量が上回っていたと思わせた。
つぎに、Ringoのハイハットのうまさと、「Any Time at All」における効果的なスネアの使い方が、収穫であった。前者は、とくに「A Hard Day’s Night」で確認される。盛り上がる箇所にて、ハイハットをもって曲に絶妙な味付けをしていた。後者は、冒頭でバンとスネアを鳴らした後、Johnのざらついた、しかし、人を引き寄せる歌声が、始まる。のみならず、冒頭の歌詞に戻る際、スネアを鳴らす点が、麻雀卓の縁で牌を整える印象を与えている。なぜなら、整理して、また戦うぞという気持ちと共通すると思われるからである。この繰り返しが、曲にメリハリを付けていると思われる。
 さいごに、「I’ll Be Back」で静かにアルバムの幕を閉じた点も、良い。理由は、中期の静寂に近づいている印象を受けたからである。これを聴いて、今後のグループの方向がどうなっていくのかという期待を他の同時代の名盤と比較することによって、新たな面白味が出てくると思われる。

桜子

「Things We Said Today」の転調感?違和感無く場面変更する感じ、ビートルズの好きなところだなぁ。さらにそこでピアノアレンジが加わって、あっという間に元に戻るシンプルさ、潔さがカッコいいわー!

湘南ギャル

 前回扱ったビートルズは、既存の音楽の枠を拡張していくイメージだったが、今回は自らの手で枠を生み出し始めたように感じた。我々はこの枠がさらに進化していくことを知ってしまっているので、基礎むき出しのようなこの作品は少し物足りなく感じてしまう。アップルミュージックが変な邦題表記をやめれば、もうちょっと一曲一曲に愛着が持てるかもしれない。

しろみけさん

 4人はアイドルって、働きすぎ! みんなヘロヘロなの見え見え、全曲レノン=マッカートニーの作詞作曲でボーカルも固定されてるし、二人がホテルで向かい合って作ってすぐ出したとしか思えん爆笑 でもそれでいいっていうか、アメリカでめっちゃ人気になってから世界中回ってその間に映画も撮って……それでもウチらのために曲作ってくれんだもん!
 なんか似た髪型の5人組も最近デビューしてて、そっちも弟っぽくて可愛いんだけど、こっちの方が推しがいあんし! はぁ、次いつロンドンでやんのかな……。

談合坂

 この企画は自分ではあまり積極的に通ってこなかったビートルズを聞き通す良い機会になっているのだけど、もっと(流石だ……!!!)って感じの印象があるのかと構えていた割にはどれもこれも知っているしなんだかすっきりしているな、という域をなかなか出ない。そして、それこそが凄まじさだなと思う。これまで自分が聞き慣れていた"普通さ"がこの地点に存在していることこそがすごい。

 リード曲「A Hard Day's Night」の最初のコードが鳴った時点で、というか再生ボタンを押して「あのコードが来るんだよな」と待ち構えるコンマ数秒の時点で名作以外の何物でも無い雰囲気が漂う。この企画の流れで聞くと、ビートルズはバンド演奏における"作曲"の意識を明確に導入した人達だといえそう。これまでのミュージシャン達は演奏がゆったり揺蕩う中で変化をつけていたからこそ、ビートルズのカチッとした展開の作り方が新鮮に聴こえる。久しぶりに聴くと既に後期ビートルズで見られるオリエンタルなスケールの使い方などが随所に見られるなど、聞き返すたびにいろんな発見がある。

みせざき

 Viva John Lennon、、私の思うジョン・レノンの最高地点はここなのでは、とつくづく思う。後期ビートルズの曲も踏まえ、ジョンは変わった作風を好むという印象があるが、本作では実にシンプルで誰もの心を奪うシンプルな名曲を作りまくっている。ポールまでもを完全に脇役にしてしまう程の疾走感だ。「If I Fell」や、最後の「I'll Be Back」など大好きな曲目白押しだ。

六月

 前回はコーラスワークに比重が置かれていたのが、少しだけ後退して、その代わりにだんだん楽曲や、演奏にずっしりとした存在感が増してるのがわかる。だんだんとアイドルからミュージシャンになってきているような感じ。でもここからまだまだすごくなっていくんだもんな……「 I'm Happy Just to Dance with You」の何のエフェクトもかかってなさそうなギターが好きです。こういう今にも弾けそうな、真似しやすそうなところが世界中にミュージシャンを生まれさせていったんだろうな、と予想できる。

和田醉象

 これは僕が勝手に感じてることだけど、この作品から先は、次のことをやる安定性を備えていると思う。最初の作品に感じる危うさを感じない。まだ初期の作品だけど、もうスタジオ作業に慣れて、仕事としてこなせている彼らの自信をうかがえる。
 決して退屈になったというわけではなく、アーティストとしての余裕が出てきて、それが純粋に音楽を作る楽しさや喜びに還元されているように感じる、ということだ。アコースティックな佳曲も、ジョージ・ハリスンによる曲も同様にアルバムのハイライトとして見られるくらい、全体の完成度と安定性が体現されたとてもすごいアルバムだと思う。『Help!』までのアルバムの中では一番好きかも。

渡田

 キャッチーなリズムとフレーズで四人の個性を楽しめる。まだアイドル性を強く感じるけれど、サビに入る時のうねるようなメロディや、不規則なコーラスとかは後のアーティスティックな作品への繋がりを感じた。
 後のアルバムと比較して、それらとの違いや、わずかな共通点を探すのが楽しい。そういった聴き方をしていて気付いたのが、ドラムの印象の変わらなさ。力強く響くわけでもなく、それでいて機械的なわけでもない、小さく響く強烈な個性を放つ訳ではなくとも、確かな人間性を感じるドラムはこのアルバムの頃からずっと変わらないものなのだと思えた。

次回予告

次回は、Ronettes『Presenting the Fabulous Ronettes Featuring Veronica』を扱います。

なお、メンバー「俊介」の参加が前回の更新を持って最後となりましたことをお知らせいたします。これまでの多大な貢献に感謝!

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