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Crosby, Stills, Nash & Young『Deja Vu』(1970)

アルバム情報

アーティスト:Crosby, Stills, Nash & Young
リリース日:1970/3/11
レーベル:Atlantic(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は220位でした。

メンバーの感想

The End End

 ただでさえとても良かったCS&NにYまで加わって、いよいよ手がつけられない作品が出てきた……!ドラムの抜き差しや、クリシェの階段を最後のひと踏みだけ外してみるとか、気の利いたディテールが満載ですっごく楽しい。
 個性と個性がぶつかった時の煌めき、拡がりが発揮されていながらも散漫な作品だという印象は全くなく、ものすごい奇跡の産物だわ……!

コーメイ

 やさしくありながら、しっかりとした足跡が確認されるアルバムであった。まず、ボーカルが、透明度が高い声質であったけれども、しっかりとした味が付いていた。つぎに、バックの演奏が、さわやかでありながら、なかなかどうして激しい印象であった。この両者の絡み合いが、本アルバムの特徴であると思われる。

桜子

 心地良く柔らかな懐かしさを感じるのに、既聴感はあまりない不思議な感覚……!安心するのに、ダレないので、いつまでも聴き続けられる気がします。「Deja Vu」の歌い出しのコーラスなんて、ゾワゾワしますよ……!野口桜子も、こんなボーカルコーラス入れた曲をたくさん作りたいぞ〜!

しろみけさん

 以前までのクロスビー(こんな文句をいう時が来るなんて!)では"上品"だったり"カラッとしてる"くらいの温度感で抑えられていたエグみが、ニール・ヤングの参加で何段も深いところまで到達するようになった。毎朝飲める浅煎りから神経を凝らして淹れる深煎りの一杯に、こういう何をするにも"ガチ"になっちゃう天才と出会うのだけが楽しみなのよ。

談合坂

 なんか、楽曲についてはもう何も言うことがないという感じがする。これまで聞いてきたアメリカの西の風の到達点はこういう場所なのだろうかと思わせるような、隙のなさが存在していると言うべきだろうか。ただ一点だけ、ギターがかなり"ギタリスト"のそれになっているのが"やってる"なと思う。「Deja Vu」のリードギターとかこの空気に併せるには渋すぎて笑ってしまう。隠しきれない巧さを楽しめるのはこの隙のなさのおかげか。

 ぶっちゃけ、こういうの飽きました!遠くで鳴るオルガンの音を頼りに揺蕩うように楽器陣が音を編み、多重コーラスが美しい。そ、そうっすよね、分かりますけども……。ただ、それを『Deja Vu』=既視感と名付けることで批評性を獲得しているのがなんとも憎い。

みせざき

 全体的に鳴りがとても綺麗に感じる。音だけで無く、要所要所で適度に主張をしていくという感じ。ニール・ヤングが入ることでロック調の雰囲気が所々に入り込む気持ちよさも感じる。あまり古いロック、という一面だけで無く、何回も噛み締めながら味わい続けて良さをまた獲得できそうだ。

六月

 ジャケ写からもう懐古趣味全開なんだけど、Neil Youngのあの轟音なギターが入ってるせいか、不思議と嫌には感じないサウンドになっている(そもそもCSNもそんなに嫌いではなかったのもあるけど)。「Almost Cut My Hair」とかめっちゃカッケェー!ってなるし、全体的にリラックスとは真反対の、危なげな緊張感のある雰囲気が音に含まれている気がするのも自分の耳に合っているのかもしれない。

和田醉象

 休日の起き抜けの太陽を浴びた時はとても嬉しいし、何をしようという気分になれるけど、それに似た喜びがこのアルバムには含まれている。「4+20」みたいな曲を聴いていて、何も感じないでいる方が難しい。
 俺が書いたわけでもないのにすごく嬉しい気分になる。ありがとうって感じやね。何かすごいものを見た気分。

渡田

 やっぱりカントリーミュージックはその輪郭だけ聴いただけで、ほとんど聞き流してしまうくらい自分と関係ない音楽なんだけれど、それでも耳の奥まで感じるリズムがあった。"Carry on"の最後の方とかの怪しいリズムなんかはとても好み。声を聴くとやっぱり自分の感覚からは離れていってしまうのだけどね。

次回予告

次回は、Leonard Cohen『Songs of Love and Hate』を扱います。

#或る歴史或る耳
#音楽
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