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Cream『Disraeli Gears』(1967)

アルバム情報

アーティスト: Cream
リリース日: 1967/11/10
レーベル: Reaction(UK)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は170位でした。

メンバーの感想

The End End

 "割れちゃった"みたいな歪み方はアンプによるものなのか、マイク以降のプロセスによるものなのか気になる。これだけガサガサなのにウォームなムードたっぷりだから面白い……ウォームというか、ホットだな。これは。
 歌えるリフをたくさん作れるって紛れもない天才だ。手数で圧倒するやり方を採らずにここまでの名声を得ていることも、その事実を補強している。

コーメイ

 幅広い音と多彩な工夫のあるギターを組み合わせて作成されたアルバムであろう。押すところは、押す、引くところは、引くといったメリハリが効いていた。これらは、バックのドラムも呼応して、その傾向が強化された印象であった。

桜子

 正直な感想、退屈だと感じたのが1番の気持ちだった。なんか、気持ちがダレるし、聴いてて落ち着きもしないし、一度も聴いたことないのに既聴感があって、驚きもなかった!でも、特に「Dance the Night Away」とかは、ムードが好きだった。妖艶で、雰囲気をとても大切にしてると思って、そこが好きだった。

湘南ギャル

 これでスリーピースバンドなの意味わかんねー。いろんな色の音が満ち満ちに詰まっている。曲の至る所で耳に残るギターリフをいちいち挟めるの、手数の多さがすごいね。ジャケのドギツさからは想像できなかったが、古典的なブルースとロックの狭間という感じで、割りに落ち着いた気持ちで聴くことができた。

しろみけさん

 B.B.キングほど甘くはないけど、ジミヘンほどのじゃじゃ馬でもない。クラプトンのトーンがその間の、どちらとも取れる絶妙な塩梅だからこそ、ソロもバッキングも一様に映える。スリーピースとして、ここからどうとでも発展できる余地がありながら、この3人以外に要るものが思い浮かばない。1000年噛んでも味がするね。

談合坂

 初めてギターを手にした子どもの頃何かお手本になるものはと家にあるCDを漁るなかでクリームの「Crossroads」を聴いて以来、クラプトンは私のギターと洋楽経験の原点として存在しているので、それなりに思い入れがあります。やっと登場する音楽を自分事として置けるようになってきた……
 こうして改めてアルバム通しで聴いてみると、私はボーカルも含めてクラプトン好きなのだなと気付かされる。声がというのではなく、作曲なりリードボーカルなりにクラプトンが入ってる曲になるとフレージングが一気にギタリスト:エリック・クラプトンのそれになることにいちいちテンションが上がってしまう。逆に言うとそれ以外の部分がそれほどピンと来なくて、初期の楽器経験がベースやドラムな人にはまたそれぞれの聞こえ方があるのだろうか、みたいなことを思ってみたり。

「Sunshine Of Your Love」におけるギターのリフを歌のメロディがなぞりながら曲が進み、途中それぞれが袂を分ち、また合流する一連のシークエンスを通して、転がって重なってまた転がっていくロックンロールミュージックの真髄が見えてくるんですわ。でもクラプトンのギターって教則本みたいでそんなに惹かれないかも!

みせざき

 既にジミヘンが現われていることを考えると、このアルバムでクラプトンが弾いているギターの一番の特徴はフロントピックアップで倍音豊かで艶やかなトーン、俗に言うウーマン・トーンであることが分かる。早いパッセージは決して多くは無いが、ペンタトニックを正確に使いながらロックギターの最も基本的かつ強力的な表現を一番高次元な形で実現している。また、曲のバラエティは意外に幅広いがその中でも曲の枠内に収めるための短いフレーズを弾いている点は、80~90年代以降のギタリストへの影響も大きいと思う。
 音色はこの後のブルースブレイカーズ時代やソロ時代の方がもしかしたら好みかもしれないが、少ない機材でピックアップの変更、歪みの加減調整、ワウのみでここまで多彩な音色を表現できているのは本当に凄いと思う。Less is moreを最初期に既に完成形で表現してしまったのがクラプトンなのではないか?崇めたい。

六月

 エリック・クラプトンを聴かない人生を歩んできました。その理由としては、すぐにバンドを結成したり解散したりする統一感のないディスコグラフィーもあるし、そもそも純然たるギター音楽に興味を持てないのがそもそも根本としてあった。この企画がないとマジで聴くことのないままに一生を終えるんだろうなと思うアーティストの筆頭格だったので、これを良い機会として、いつもよりもより集中して聴き始めた。
 とはいえ、このバンドはエリッククラプトンのワンマンではない、むしろ同等の存在感を持ったメンバーたちが、そこから生まれる緊張感で聴かせるバンドとは知っている。そのWikipediaかどこかで読んだ解説のとおりに、このアルバムでは、クラプトンのギターはベースとドラムと全く同じ立ち位置で、前にしゃしゃり出ることなく存在している。三人それぞれが均等に渡り合っているスリーピースバンドが大好物なので、スリリングな展開で意外と楽しく聴けたし、汚れた感じ泥臭さもある感じで結構好きかもしれない。

和田醉象

 覇気のないジミヘンみたい。要するに、ジャケの派手さとは裏腹によりルーツ思考(クラプトンだから当然なのかもしれないけど)でゆったりしている。プレイの精密さ緻密さに着目したほうが正しい聞き方なのかもしれないけど残念なことにあまりハマらないな…ファズがなったときに音が曇っちゃっているのもがっかり感につながる。歌も落ち着いているし、すごいうまいわけでもない。こういう古典を必ずしもちゃんと通る必要もないなと逆に感じてもしまう次第。
 ただ、『Blue Condition』がこの企画でも聞いたSOUL FLOWER UNIONの『月が笑う夜に 導師はいない』の元ネタであることに気づけてよかった!!!(ソウルフラワーのことは俺以外覚えていないと思うけどね!!!!)

渡田

 激しいギターの音の中でも、不気味さ、艶っぽさが両立できるということに驚いた。
 ハードロックバンドだと思っていたし、実際ギターの音色はその印象通りだったけれど、全体は甘い雰囲気にまとまっている。派手さはないが、緊張感のある静かな歌声や、輪郭を欠いたまま転換していく音作りがそう感じさせたのだと思う。

次回予告

次回は、Love『Forever Changes』を扱います。

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