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Four Tops『Reach Out』(1967)

アルバム情報

アーティスト: Four Tops
リリース日: 1967/7
レーベル: Motown(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は429位でした。

メンバーの感想

The End End

 ベースラインがずーっと絶品。リズミカルなベースとタイトなドラムにゴージャスなコーラス、ハッピーなピアノとホーン隊……今まで抱いていたモータウンへのイメージにかなり近い作品だと感じた。洗練された/もしくは漂白されたリズム&ブルース。
 そして、これとディスコやファンクとの間には少し距離がある気がする。なんとなくこれの発展形がディスコやファンクなんじゃないかと思っているけど、どうなんだろう。

桜子

 これあんまり好きじゃなかったー!開かれている音楽で、テレビとかラジオで流れてそうと思った!音楽聴きにきた人じゃなくても、誰もが聴きやすいような大衆性は感じたけど、私に刺さるポイントも見つからなかったって感じ!でも、ジャクソンズ、ジャクソン5好きだからその源流を感じられて嬉しかった!

湘南ギャル

 いまいちこれといった感想が浮かばないのは、偉大すぎてソウルの雛形になってしまったからなのか。お約束みたいな流れが続いているだけな気がして、とっかかりを探せない。ていうか、ランクインすんのテンプテーションズじゃなくてフォー・トップスなんだ。モータウン周りの趣味がRS誌と絶妙に噛み合わないな。

しろみけさん

 模範的なボーカルグループのスタイルなんだけど、ウォール・オブ・サウンド以降を意識したストリングスやパーカッションの増強など、10年ほど前の作品群と比較しても手札が明確に増えている。ただ、ベースを空間の中央に配置したり、そもそもボーカルはドライめに処理するなど、踊れる歌ものとしての作りはむしろこちらの方がフィル・スペクターの作品より素直に楽しめる。こういう競争というか、手法の借用をしつつ新しいポップスのスタンダードを団体戦でやっていくのはたまんないね。

談合坂

 みっちりした録音に仕上がってはいるのだけど、なんだかコンサートホール的な品の良さみたいなものを感じる。ライブ文化の音楽を聴くのに求められるような体力が必要ない。それと、ところどころに現れるメロディラインの響きがJポップ?歌謡曲?的でなんだか落ち着く。旋律そのものだけではなくてTVショー・テーマパーク的な全体のサウンドにも因っているのだろうけど、お茶の間的な空気が流れていて居心地がいい。

この流れで聴くとそのまま(ロカビリー流れの)ビートルズmeetsヴェルヴェットアンダーグラウンドみたいに聞こえます。きっちりしすぎてもいないけど明確な意図とソングライティングはある。楽しい。

みせざき

 ボーカルが力強い、力が入っている。しっかり枠にハマりきった中での表現をしている。また裏に入っているシンセのようなストリングスと多重なコーラスにより夢心地のような雰囲気にさせる。少し歌詞を見ながら聴いたら面白かった。タイトルナンバーの「Reach Out I'll Be There」はとてつもなく孤独を歌っている。望みが無く、信じる人もいないと嘆き叫んでいる。このボーカルの力強さは実は孤独や寂しさから来ているのだろうか。

六月

 この企画ではR&Bの男性ボーカル・グループは意外と出てこなかったし、自分もそれまでの音楽リスナーとして聴いてこなかったジャンルであったから、新鮮に聴くことができた。
 祝祭というか、ひたすらに陽的なものがそこに流れ続ける作風は、ちょっと自分の趣味には合わないなと思って、何度か再生をストップしてはまた気が向いた時に聞き直してみたりして、そんなにトータルタイムが長いわけでもないのになかなか通して聴くことができないアルバムで難儀した。しかし、詳しくは書かないが、家族関係で​​だいぶ追い詰められて落ち込んでいる時があって、その時ふとこのアルバムの再生ボタンを押し、流れてきた陽気な音楽を聴いた瞬間思わず泣けてしまいそうになった。こういった音楽でしか元気を与えられないくらい、周りに絶望しか存在していない時は人生にはある、というかほとんどそんな時間しかないから、こういう音楽は必要になるのだなあと思い直した。

和田醉象

 結構何度も聴いてみたんだけど珍しくピンとこない。イヤホンからだとあんまりだったからスピーカーでも聞いてみて、ちょっといいかな、と思えたけどそれ以上でも以下でもないな。
 どれも良い曲だし、レベル高いアルバムだと思ったけど、出会い方の問題だったかな。。。一部を除いて、モータウンの音楽が殆ど同じに感じられる!!

渡田

 ブルース/ソウルを聴くのは得意じゃないけどこれは好き。コーラスや楽器が派手すぎないのが気に入ったのかもしれない。フレーズとか音の鳴りは正直チープにも感じたけれど、その上に気持ちのこもったシャウトが乗せられると、正にR&Bとしての、"ブルース"たるアンニュイを感じる。
 田舎のクリスマスを思わせるような、ささやかさを称えた綺麗な曲ばかりだ。

次回予告

次回は、Pink Floyd『The Piper at the Gates of Dawn』を扱います。

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