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Beatles『Meet The Beatles!』(1964)

アルバム情報

アーティスト: Beatles
リリース日: 1964/1/20
レーベル: Capitol(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は197位でした。

メンバーの感想

The End End

 ミュージック・マガジン編でヒッキーを聴いた時のような、"ルールが変わっちゃった"感じがある。最も、恐らくはそう見せるためのリストなのであって、ビートルズ以外にもこれを準備した人はたくさんいただろうとは思うけれど。
 でもこの、なんというか肩の力の抜けた感じ、あるいは不敵なムードは他には無かったんだろうなというのも想像がつく。意図的に歪ませたであろうエレキギターがやっと出てきたのも嬉しい。

コーメイ

 威力十分。1曲目の「I Want to Hold Your Hand」で、新しい音楽が来たという印象を強烈に植え付けた。複数のアルバムからシングル性の高いそれらを抜き取ってきたような抱き合わせ感や後期の芸術点の高さから見ると、評価が低くなるかもしれない。が、従来、少なくとも今までレビューを書いてきた作品には無い音楽が、屹立している。このBeatlesの地力を体感するだけでも、歴史を辿る意味があるのではないかと思わせる体験であった。
 曲に関して、なによりも楽しい。ファンという贔屓目がある。しかし、このアルバムを流すと、音が活き活きと踊り出す。とくに、フロント3人に味付けするリンゴのドラムに感銘を受けた。アップテンポならば、盛り上がりを見せ、しっとり甘い音楽ならば、静かだけれども、存在感のある演奏がなされている。
 そのようなアルバムであった。

桜子

 こう、時系列追って聴くと感動します!ポップな歌謡曲が出てきた!
 ただ単に普段からビートルズの楽曲を聴いているからだと思うけれど、これまでと何が違うって言われたら、やっぱり聴いてて歌いたいと思わせる力だな〜。色んな音楽の要素を織り交ぜて新しい解釈をしているだけでカッコいいのに、このメロディセンスでポピュラー音楽のスタンダードとなってしまったのが1番すごいと思うところだー。

俊介

 初期の彼らはすごくアイドル的だったと聴くけど、こんな凝った曲を作れる彼らがアイドルでいれるような場を用意した世間が気になる。てなるほどに現代のこの耳を迷わせる。
 こんな素敵な曲がグルーピーを席巻してたと思うと、明らかに昔と今で音楽との付き合い方とか向き合い方がちがうのかなと思う。

湘南ギャル

 ハモり気持ちい〜〜〜!ビートルズのハモりが気持ちいいのは別にこのアルバムに限ったことではないけれど、初期のコーラスには疾走感とエナジーを特に感じる。モータウンを聴いて元気になる時と、気持ちの動き方がほぼ同じ。それにしても、ここから2年でラバーソウルになるの意味わからなさすぎる。そこも疾走感えぐい。

しろみけさん

 これまでのポップスが洗練と豪奢さを魅せるレースだったとするなら(というかそう聞こえた)、別のレースが始まった予感がする。というかレースじゃない。アマチュアリズムとダミ声のシャウトとプレイングのブレが、4人のキャラクターと混ざり合って、全部大アリのアリにひっくり返っちゃった。モータウンのシンガーみたいに歌いたかった、けど甘く太い声が完全には出切らない、その可愛げ。「I Wanna Be Your Man」のドテチテしたドラムなんて可愛くて仕方ない。“4人はアイドル”ってマジでそうだ。

談合坂

 年代では多少前後しているにせよ、この企画の選盤の起点はかなりここに拠っているのだというのは確かに聴いていて理解できるように思う。プレスリーまでは遡っておくことの意味が見えたような気がする。改めて時代を気にして向き合ってみると、モノラル版でも普段からよく知っている"普通"の聞こえ方がしてくることに感動した。

 『With the Beatles』の曲を中心に再編集されたこのUS向けの作品がランクインしていることからも、この頃のビートルズはアルバム単位で聴くよりも彼らのポップセンスから繰り出された珠玉の名曲を素直に堪能するだけで事足りてしまうというか、十分過ぎるということがわかる。この企画で50年代から60年代初頭の作品を何作か聴いてきたが、初期のビートルズの持つ泥臭さはビートルズ以前の音楽から連綿と続いていたのだとわかる。

みせざき

 『Please Please Me』も『With the Beatles』も無く、『Meet the Beatles』からしかレビューが書け無いのは悲しい、、。あと曲順はやはり好みでは無かった。M1、M2、M4は全部私の中で一曲目感が強くてどうも馴染めなさそうな感じがした。。
 ただ、この頃アメリカ人が皆『Meet the Beatles』を聴いていたというほど、絶大な影響力があったのは疑いようも無いだろう。後のカードコバーンが自身のフェイバリットアルバムに本作を挙げていたりと、この後のアメリカ発のポップス・ロック界に伺えるメロディーセンスの系譜は本作からとも考えられるだろう。
 ポール・マッカートニーのさり気ないメロウバラードであるM9は個人的フェイバリットだ。あとどちら作か忘れたが、M5も大好きだ。『With the Beatles』がやっぱり好きです。
 言うまでもなくビートルズが全てのスタンダードで、いつ聴いても心を鷲掴みにされるメロディー、サウンドで古さを全く感じない。素晴らしい。

六月

 えっ!もうここでビートルズ!?次々と新しい音楽が生まれてくる、この時代の凄まじさよ。
 聴いてみて分かるのは明らかに時代が変わった!ということ。今までは一人のシンガーが圧倒的な声でもって引っ張っていったのが、ビートルズでは複数人が同時に発声するという、ハーモニー、多声という概念が、斬新な技法としてロックンロールに加わってきたなという感じ。それがオーディションやら事務所のスカウトみたいな寄せ集めではなく、それが幼馴染の友人たちで結成されたグループとして出てきたんだからすごい。奇跡って起こるんですねえ。
 よくよく聞き込んでみるとR&Bやフォークやらカントリーやらワールドミュージック的なものまで、色々な音楽が入っているように聞こえて、あの港町でどこへも行けない中、すごい色々な音楽を聴き込んできた人たちなんだって思う。こういう音楽マニア的なアウトプットの仕方が出てきたのはここからなんじゃないか?と予想。
 小学生の頃初めて聴いた時は古臭い音楽と思ったけど、今はNewJeansを聞いてる時くらい何もかもが新しくて仕方ない。宇野維正の言ってたことは間違ってないですよ。

和田醉象

 どの曲も知っているけど、聴き慣れない順番だから面白い。ほとんど『With the Beatles』だけど。だけどなんでこの内容なんだろう。冒頭3曲の選出理由……。
 Beatlesのハモリというか声のユニゾンが本当に好きなんだけど、それが思う存分久しぶりに楽しめた。普段よく聞くのは後期の曲だからあんまり初期目の曲は聴かないのだ。1曲1曲が短いからサクッと聴けて良い。
 なんでBeatlesのコピーバンドをやっておかなかったんだろう。今更ガニ股でギターの位置高くして鏡の前に立ってみる。

渡田

 突然自分の知っているルールの音楽が現れた。
 先週まで60年代のブルースやジャズを多くレビューをしていたのもあって、落語を聴いていたところにコントが出てきたかのよう。
 キャッチーなフレーズが繰り返される中、楽器の音は独特のうねりがあって所々で耳を引きつけてくれる。低い声色、にやけた声色、シャウトが混ざり合って、曲と同時にメンバーの個性を楽しむことができる。歌詞は、男の子と女の子がいて、愛し合ってるだけの小学生の時みたいな恋愛の内容なんだけど、だからこそ全ての人の感性を呼び起こせるんだと思う。
 ビートルズが現れたことによって、音楽というものが楽しいものだと知り、音楽が自分のものになった人がたくさんいたのだと思う。

次回予告

次回は、Beatles『A Hard Day's Night』を扱います。

#或る歴史或る耳
#音楽
#アルバムレビュー


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