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Crosby, Stills & Nash『Crosby, Stills & Nash』(1969)

アルバム情報

アーティスト: Crosby, Stills & Nash
リリース日: 1969/5/29
レーベル: Atlantic(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は161位でした。

メンバーの感想

The End End

 はじめは何枚も聴いたフォーク・ロックかあ、と思いながら聴いていたが、それに加えてR&Bのような、よりリズムにプライオリティが置かれたアンサンブルで成り立っていることが次第に耳を惹いた。たまに挟まる拍子の変更も合わさって、ドラムの生み出すノリがグイグイとバンドを引っ張っている。
 それは少し、スティーリー・ダンやキリンジのようなムードを湛えていて、特に後半の楽曲たちはとても面白く聴けた。これならライブハウスで出会っても退屈しないかも。終始ベースがデカいのも嬉しい💓

コーメイ

 全体的に落ち着いた雰囲気の中で進行していきながら、ときどき、打楽器で激しさを出しているアルバムであった。静かな空気は、ボーカルの澄んだ声に依るものが大きく、Beach Boysのように響くのではなく、水のような透明感がある声色が随所で耳にした。しかし、先述したように、たださらさらと流れるわけではなく、打楽器で味付けしていた。このバランスが、本アルバムの特筆すべき点であった。

桜子

 みなさん歌が上手ですね〜豊かなボーカルハーモニーに駆け抜けるようなアコースティックギターがナチュラルで、爽快です。私はよく夜にゆったりと音楽を聴くのですが、これは朝か昼に聴きたいですね。清々しい気持ちになれそう。

しろみけさん

 カントリーロックの面をしておきながら、その円環の中には収まらない野心を静かに感じる。「Marrakesh Express」での両耳から聞こえてくる鋭いギターの音色が気持ちいい。スライドギターの伸びやかさをオーバードライブをかけたギンギンのトーンで代用するのは地味な発明。「Pre-Road Downs」の逆再生といい、彼らが急速にエクストリーム化するロックンロールと独特の距離感で持って接していたことが伺える。こういうシーンの巡り方は理想的だと思う。

談合坂

 なんだか質感が高い。ボーカルの重なりだけではなくて、ギターなんかも含めてテクスチャがかなり整っていて触り心地がいい。当時のマスターを引き継いでいるのか定かではないけど、ローがすごい出ているのもこれはひと味違うぞという印象をもたらしている。ジャケットに写っているようなラップサイディングの平屋のお庭でアコギを鳴らして……な音楽と構造こそ似ているかもしれないけど、中身はまるっきりステレオレコードと大口径スピーカーの音楽をやっていてかっこいい。

 逆再生ギターソロ??こういう素朴なサウンドとグッドメロディを軸としたバンドにも技術的な進化が自然と入り込んでいるんだなと実感。そして曲名が抜群に良い。「Lady of the Island」、「Helplessly Hoping」、「Long Time Gone」…。どれも景色と情景と物語が同時にパッと頭に浮かび、それを補完するようにマイナー調の歌唱が耳元を過ぎていく。うっとりしてしまった。

みせざき

 イージーリスニング音楽のような耳に分かりやすいイメージも感じるが、聴き込んでも味を増していくような音楽にも感じる。ロックでもあるし、カントリーさもあるし単純に聴いてて楽しくなる気がする。ギターも音抜けが良くて分かりやすい音色なのでその点も良いと思った。

六月

 初めて聞いた時には、アコースティック・ギターの音、特にアルペジオが他の楽器よりもとりわけ強調された形で耳に入ってくるのを感じた。ほぼほぼ、歪んだギターはもちろんのこと、ギターソロなんてものは出てこないんだけども、これはそれらと同じような心持ちで制作された純然たるギター音楽なんだなと思った。それでいて同時代の他のロックよりも牧歌的な雰囲気がなくて、結構緊張感のある、いい意味で重たいような雰囲気が流れているのが良かった。「Helplessly Hoping」だったり、「Guinnevere」とかに、Elliott Smithみを感じて好きです。

和田醉象

 スーパーグループ物って合わないんだよな〜。曲ごとに個人の色が強く出てしまうし、それによってまとまりのないことになる。俺としてはグループ自体が進化していくところを見たいのであって、最初から個が強いのはあんまりって感じだった。
 だけどコーラスワークはかなり好きだった。「Suite: Judy Blues Eyes」路線で最後までまとめてくれたらよかったのに!

渡田

 第一印象に反して意外とカントリー要素以外も多い?
 繰り返されるフレーズにはどこか機械的な緊張感があったし、引き伸ばしたギターソロは魔術的ポストパンクに通じるものを感じた。声も、カントリー調の低くて深みがある声だけでなく、淡白な高音のパートもしっかりある。
 カントリーとして聴かず、70-80年代の音楽の部分的なルーツとして聴くと、色々発見できる。

次回予告

次回は、Elvis Presley『From Elvis in Memphis』を扱います。

#或る歴史或る耳
#音楽
#アルバムレビュー


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