見出し画像

Ray Charles『Modern Sounds in Country and Western Music』(1962)

アルバム情報

アーティスト: Ray Charles
リリース日: 1962/4(日付不明)
レーベル: ABC-Paramount(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は127位でした。

メンバーの感想

The End End

 抜群に音が良い!ストリングスやホーンセクション、こんな風に録れたらなあ。張りつくような倍音の出方がとても素晴らしい。
 シナトラのディズニーランドみたいなノスタルジックなサウンドが、R&Bを通過していくらか粗野で通俗的になったようなイメージ。どちらも"アメリカっぽい"と感じるけれど、こちらの方が今の私にはずっと親しみやすいな。

コーメイ

 "アメリカって言ったら、こんな音楽思い浮かべるな"と思わせるアルバムであった。1曲目の「Bye Bye Love」で、腰をフリフリしながら歌うコーラス隊・自ら奏でる音楽に乗るバンド・そして楽しくソウルフルに歌うレイ・チャールズが、想起された。このイメージが全体を通じて肌に触れて来た。
のみならず、1960年代前半の"元気な"アメリカが、アルバムのそこかしこから感じられた。
 音楽の要素を言おうかと思ったけれども、なぜか映像ばかり思い浮かんでしまった。そのようなアルバムであった。

桜子

 ラグジュアリーな世界だー!管楽器の音はとびきり元気で、ストリングスの音はとびきり甘美で......こころの景気まで良くなるー!迫力も、醸し出すムードも壮大すぎる。音楽聴いているというより、ショー観ているような気持ちになる。

俊介

 あんまり個人的に響くところが多くない。カントリーと大所帯のオーケストラの組み合わせに慣れてないからか。
 どこを切り取っても悪くないと思うと同時に、さして良いと感じることもない。すごいBGM的だ。リアルタイムで聴いてたとしてもそう感じてる気がする。当時の人たちも根をつめて聴きてた訳では無いと考える。てかそうであって欲しい。どうかお願いします。

湘南ギャル

 甘ーーーーーーーい!英語に達者じゃない私でも、愛について歌っていることがしつこいほどわかる。好きか嫌いかで言えば好きではないけれど、美しくて壮大な部分以外は絶対に見せないという気概はかっこよく思う。良い頑固さがある。これ山下達郎聴いた時のレビューとあんま変わらんな。

しろみけさん

 あからさまにゴージャスなショーが始まりそう。レイ・チャールズはシンガーというよりコンダクターで、喉一つでホーンやストリングの馬力を引っ張っている。パワフルさが漲っていて、バラードですら全然湿っぽく聞こえない。ただ胃もたれしてしまうというか、2曲ずつくらいじゃないと聞けなかった……。本当にいいお肉は少量でもお腹いっぱいになる、的な?

談合坂

 楽しい~~!ラジオ・テレビがギラッギラに輝きを放っている時代の空気ってこんな感じなのだろうかみたいなことを思う。彩度の高いソリッド塗装にホワイトリボンをツヤテカに光らせたなっげークルマが走っているような"アメリカっぽい"景色が浮かぶ。これが良い表現なのかは微妙なところかもしれないけど、ポピュラー音楽という言葉がすごく似合うなと感じる。

 豪華絢爛という言葉の中にあるケバケバしいニュアンスを消した、どこまでも豊かな音楽。ホーンやストリングスが毛布みたいに耳を包む感じだ。ディズニーランドにある「ビッグバンドビート」という名前のミッキーがライブをするアトラクションのことをすごくすごく好きだったのですが、このアルバムはそれに近いニュアンスがある。というかそのままかも。

みせざき

 聴いているだけで自然に乗りだすことができ、ソフトながらノリが良いボーカルが気持ち良かったです。特に「Hey Good Lookin」のようなアップテンポの曲が好みでした。バックバンドの管楽器も雰囲気に合わせて柔軟に対応してる感じもGoodです!

六月

 いわゆるアメリカの古き良き音楽って感じのサウンドがずっと流れている感じで、何が良いのか、何がすごいのか全くわからなくて、これは他のアルバムを聞いた方がいいやつだなと、今作以前のアルバムやessentialプレイリストやらを聴いてみると、全部ここまでいろんな音楽をやっている人間がいるのかってくらい一曲一曲で作風がまるきり違う。そごで、ああ、この人が「アメリカの古き良き音楽」なる虚像を一人で作り上げたのだとピンときた。そう考えると凄い。ただ全くノれなかったけれど。こんなことこんな偉人に言って良いのかわからないけれど、器用貧乏という感じがするアルバム。

和田醉象

 情念的なんだけどすごく柔らかい声。聴いてて疲れる声とか、圧迫感を感じる声ってあるけど、これはずっと聴いてられる。なんだけど、耳あたり良すぎて逆に集中力が持たない。集中して聴いてないけど、お店とかで流れていたらすごく落ち着くだろうな。

渡田

 リズムや音は派手なのだけれど、不思議と穏やかな印象がある音楽。うかつに聞いていると、今日が休みの日だと錯覚してしまいそう。
 レイ•チャールズの低いながらも透き通ってよく響く声は、華やかな雰囲気でソウル色の強い曲ではショーの司会者のように聞こえ、静謐でゴスペル色の強い曲では堂々とした聖職者のように聞こえた。どちらにしても、日常とは違う特別な場所を思わせる声をしていた。
 こうした音は、やるべきことを忘れてゆっくり休める日に聴いてこそ、その気楽な気分をさらに穏やかにしてくれたり、何をしようか楽しみにする気分をさらに増幅してくれたりするものだと思う。

次回予告

次回は、Bob Dylan『The Freewheelin' Bob Dylan』を扱います。

#或る歴史或る耳
#音楽
#アルバムレビュー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?